死にぞこない
お風呂で死にかけたぞー。
昨夜は、わたしは熱い湯が好きで、いつもどおり熱めのお湯にどぼりとつかり、いい調子で体を温めたあと、体を洗うつもりで湯船から出たと思いたまえ。
バスチェアに座ったとたん、ぐらぐらっと異様な苦しさにおそわれ、前のめりになってしまった。
なんだなんだなんだ。
タオルに石鹸をぬりたくったものの、目のまえがぼんやりして、吐き気までして、とても体を洗おうって気になれず、荒い息づかいのままふたたび浴槽の中へ転がりこみ、これはひょっとするとひょっとするぞと思う。
まっ裸で発見されるなんて、あまりみっともいいものじゃないな。
いや、死んでしまえばなんだっていいか、などと切れ切れに考える。
いったい原因はなんだ。
とうぜん考えるのは脳梗塞だ。
ためしに腕を伸ばして、左右の人さし指を目の前で何度か接触させてみた。
これはべつだん異常がなさそう。
するとアレか。
必死で湯からはい上がり、キッチンの椅子にへたり込んで、テーブルの上に常設してある血圧計を手首にまきつける。
やっぱりというか、わたしとしては信じられない数値が出た。
平常値を通り越して低すぎる。
もういちど測ってみたらエラー、さらにもういちど測ってみたら、最初と同じ結果だ。
つまりお風呂に入って血圧を急激に下げすぎたらしい。
熱いお湯に入ると血圧が目に見えて下がるので、それがウレシイと、ときどき血圧を下げるために熱い湯に入ることにしていたんだけど、それはあまり体によくないよと知り合いからも忠告されていた。
それをじっさいに体験したのは昨夜が初めてだ。
よろよろとベッドに転がりこみ、ひと眠りしたあと、目をさまして、いまこれを書いている。
朝イチで血圧を測ってみたら、わたしの歳の正常値をほんのすこし下まわる程度。
脳梗塞ではなかったらしい。
まだ生かしておこうなんて、運命の女神はまだわたしに何かやらせようってのか。
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