ブーレーズ
ベルリンにできたピエール・ブーレーズ・ホールのこけら落としの演奏だそうだ。
P・ブーレーズと聞いてなつかしい思い出がよみがえってきた、というと、ちょっとオーバーだけど。
ずっとむかし、ロックやジャズに飽き足らなくなって、わたしが初めて購入したクラシックレコードが、ブーレーズ指揮の「ベルリオーズ/幻想交響曲」。
ほとんどクラシックの知識がないまま、異様なタイトルと、不気味なレコードジャケットの絵、そしてジャケットの裏に載っていた黒いタートルネックという、指揮者らしからぬブーレーズの写真に惹かれて買ったものである。
これを聴いてただちに感銘を受けたというほど、純情でもホラ吹きでもないけど、クラシックの出発点としてはわるくない演奏だったと、いまでも思っている。
そのあとでわたしが買ったもう1枚のブーレーズは、ジャケットに北斎の浮世絵をあしらったドビュッシーで、こちらはどうもあまり熱心に聴いたおぼえがない。
当時のわたしはクラシックの大海におずおずと乗り出したばかりで、音楽の内容以前のもの、たとえばジャズの影響で、ジャケットのデザインなどに惹かれることが多かったのだ。
昨夜はブーレーズについてググッてみた。
ウィキペディアの記述は、音楽理論のわからないわたしの手に負えるものではなかった。
ベルリオーズやドビュッシーは、この人の演奏ではわかりやすいほうかもしれない。
彼は何度か来日しており、あるとき日本の聴衆から、人生にとってもっとも大切なことはなんですかと質問され、いくつになっても好奇心を失わないことと答えたという。
納得である。
わたしもいいトシのおっさんのくせして、オランウータンを見にいって見られなかったり、ホタルイカを見物に行って空振りに終わったり、いまでも好奇心が多すぎて困っているくらいなのだ。
このトシまで独身をつらぬいたのも、社会の常識にとらわれるより、好奇心を満たすことに忙しかったからなのだ、きっと。
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