ビワについての考察
散歩コースのわきにビワが実っている。
先日、ひとつつまんで食べてみたら、なかなか美味しかった。
今度は大量に収穫に行こうかと思うけど、こういうものを勝手に取っていいんだろうか。
ビワが生えているのは、個人の敷地ではないし、公共の敷地というわけでもない。
いってみれば、調布飛行場の敷地であって、武蔵野の森公園の一画ともいえる微妙なところだ。
公園の一画に勝手に生えている木なら、実をつまんだくらいで犯罪にはなるまいし、飛行場は農家を経営しているわけではないから、自分の敷地にビワがなっても収穫なんかしないだろう。
放っておけば、実はそのうち腐って落ちてしまう。
ひかえめに考えても、わたしがビワを勝手に収穫してもかまわない条件は整っているようだ。
ひょっとすると、近所にもこのビワを虎視眈々と狙っている奥さんがいるかもしれず、早い者勝ちかもしれない。
しかし待て。
アメリカの同時多発テロ以降、なぜか飛行場のまわりは警備が厳重で、そのへんをやたらにパトカーが徘徊しているのだ。
パトカーの中の人間は職務質問が習性になっているから、わたしがビワを収穫していると、たちまちなにをしてるんだと問いかけてくるだろう。
資源のロスを見るにはしのびないのだと返事をしたって、盗人か善人かの二者択一しかない彼らには通じないような気がする。
いまさら窃盗の前科がついたぐらいでおそれる年じゃないけど、自分の意思に反して警察署にしょっぴかれるのもメンドくさい。
うーんと悩んだけど、イヌの散歩にかこつけて、今日の朝早く出かけてみた。
早朝のせいでパトカーには遭わなかった。
そのかわり飛行場警備のガードマンに出くわしてしまった。
彼はサクラの季節の深夜に、敷地内で写真を撮っていたわたしを見咎めた融通のきかない男だ。
でもイヌを連れて通行人をよそおったわたしに、微妙な場所にあるビワの収穫を禁ずるのも微妙な問題だ。
なにかいいたそうな彼の先手を打って、ひとつ食べませんかと勧めたわたしの作戦勝ち。
収穫量は30コあまり。
市販されているものより小粒だけど、味はけっして劣らない美味しいビワだった。
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