折口信夫
今朝の新聞に作家の折口信夫(しのぶ)のことが出ていた。
今年は彼の生誕130年だそうな。
ただ、今日の新聞を読んだかぎりでは、はじめて彼のことを知った若い人が、えらい堅苦しい学者であると解釈して、それ以上の興味を失ってしまうことはまちがいがない。
折口信夫のことを理解するためには、リョーシキあるうちの新聞は伏せていたけれど、彼が同性愛者であったということを知る必要がある。
そんなことは文学や民俗学の研究とは関係がないという人がいるかもしれない。
しかし彼は釈迢空というペンネームを持つ詩人でもある。
わたしは彼の詩(短歌)をはじめて読んだとき、ひじょうに面食らった。
そして難解な詩だと思った。
けっしていい詩だとは思わなかった。
しかしその後その見方が一変したのは、彼と教え子の藤井春洋(男である)との奇妙な恋愛について知ってからである。
よくあることだけど、文学というものは作家の人生や、その苦しみを知ったのちにはじめて理解できるということが多い。
早い話が、彼が体育会系人間で、倒錯したところのぜんぜんないカタブツの文学博士だったら、わたしがその詩に感心することは永遠になかったと思う。
おまえも同好の士かいと思われちゃ困るけど、彼の詩からは異端者の悲しみや、孤独者の苦しみが感じられてしまう。
自分が世間からはみだした人間であるという自覚は、本人を苦しめるし、知らず知らずのうちに同じ悩みをかかえた仲間を求めるものらしい。
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