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2017年10月28日 (土)

青森/津軽平野

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大間のマグロの翌日は雨になってしまった。
それでもレンタカーは2日間借りてあったから、この日は津軽をうろうろしてみることにした。

津軽に思い出なんかほとんどないんだけど、知識としては作家・太宰治のふるさとであることぐらい知っている。
そうかといってべつに太宰に興味があるわけでもない。
このへんが自分でもよくワカランだけど、よっぽど入れこんだ有名人でないかぎり、わたしはその生家だとか記念館なんてものを無理に見たいと思わない人間である。
人々が有名観光地や名所旧跡に押し寄せる心理もわからない。

それじゃなんのために旅行をするのだといわれそう。
具体的な物件に興味はないくせに、ばくぜんとそのあたりを徘徊して、全体の雰囲気を感じ取るようなことは好きだ。
だから外国に行ったときも徹底的に歩きまわる。
それこそ路地裏や汚い市場にまで首を突っ込んで、現地の生活を肌で感じるということはする。
わたしの旅はたいていそういうものである。

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というわけで、青森市内から田舎道、山の中の道をひた走って、右が金木町という標識にぶつかったときも、それじゃあ右に行こうかとは思わなかった。
太宰のファンにはもったいない話だけど、そのへんで車を停めて自動販売機で缶コーヒーを買っただけである。
場所はちょうど津軽平野のへりにあたる農村で、背後に小高い山並みが続き、目のまえは秋の取り入れ直前の、目路はるかに広がる稲田だった。

ちょっとなつかしい気持ちがした。
というのはこのあたりの景色が、わたしの生まれ育った北関東の農村風景によく似ていたからである。
わたしの郷里では、東京に近いせいもあって、もうむかしの風景なんてほとんど残ってないけど、この津軽ではまだ古い景色がそのまま残ってるようだった。
あの雨にぬれた稲のあいだを、子供のころのわたしが走っていないだろうか。
そんな詩人のこころもちになる気分のほうが、太宰治記念館を見るよりずっと価値があった。

津軽平野は広い。
雨のおかげで遠方がかすんでいたせいかもしれない。
道祖神のある一本松のたたずまいなんて、日本の原風景といっていいんじゃないか。
この日、太宰の思い出のなかによく出てくる岩木山はぜんぜん見えなかった。

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