青森/つまらん
目的のない旅というのはつらいものだ。
いったいわたしは青森まで何をしにいったのだろう。
いちおう出発まえに、「青森」「観光スポット」という言葉をキーワードにしてググッてみた。
まあ、青森にも他県なみにいろんな観光スポットがあることはわかった。 でも桜の季節じゃないから弘前には行かない。
八戸の朝市はおもしろそうだけど、日曜日にうまく日程をあわせられるかどうか。
ねぶたが青森では有名だ。
しかし祭りはとっくに終わったし、混雑のキライなわたしが、祭りをやっているときそんなものを観に行くはずがないから、こういうものはぜんぜん期待できない。
青森市内に三内丸山遺跡がある。
これは司馬遼太郎の「街道をゆく/北のまほろば」に出てくる。
縄文時代のこのあたりは、同時代の日本のどこよりも豊かな土地だったというもので、東北というとむかしから冷害による凶作、飢饉という印象しかないわたしには、本のこの部分がつよく印象に残った。
とはいうものの、わたしは考古学にもたいして興味がないのである。
これもあまり期待できない。
山でいえば日本百名山に挙げられている八甲田山、岩木山がある。
八甲田は歩兵5連隊の大量遭難で、岩木山のほうは太宰治の愛読者にはよく知られた山だ。
もう山に登れるほど健脚じゃないけど、このふたつの山は遠くから眺めることぐらいできるだろう。
今回の旅は下北半島を重点的に見てまわるつもりなので、奥入瀬渓谷や白神山地は最初からあきらめた。
これじゃやっぱり大間のマグロしかないか。
大間に行くならとちゅう恐山に寄れるかも。
でもわたしは無神論者で、あの世もこの世も信じてないのだ。
そこへもってきてエセ地獄みたいな景色は、箱根や雲仙、南アルプスの地蔵岳のてっぺんでも見たことがある。
けっして無理に見たい景色じゃない。
原因はやっぱりわたしがもう若くないってことだろうけど、それ以外にこの旅でしみじみと思ったのは、わたしみたいに好奇心につき動かされた旅人を満足させる場所は、もう日本にはひとつも残ってないんじゃないかということ。
どこへ行っても同じような風景と生活ばかりで、I can't get no satisfaction (オレは満足できない)なんだよ。
もちろん知性と教養にあふれた人なら、どんな場所にでも好奇心の対象を見出すだろうけど、単純なわたしは、不幸なことに海外旅行を知ってしまったのだ。
カリマンタン島やタイに匹敵するほど興味深いところを、わたしは日本ではどうしても見出せないのである。
いちおう到着した翌日からレンタカーを借りる予定で、その日の目的地は下北半島とそのとっつきにある大間、3日目に鯵ヶ沢から岩木山の周辺、4日目以降は現地で考えるということにした。
気がむけば五能線に乗って秋田に出るか、あるいはそのまま北海道に渡ってしまうかもしれないから、ホテルは3泊分しかとってなかった。
| 固定リンク | 0
« ユリコさんと週刊文春 | トップページ | 謀略 »
コメント