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2017年11月 4日 (土)

青森/老いるということ

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三内丸山遺跡を見学したあと、ホテルにもどって考えた。
なんかぜんぜんアドレナリンの放出がない。
旅をしている喜びがない。
このあと北海道へ渡るか、五能線で秋田に移動したっていいんだけど、どこへ行ってもたいしたことはないような気がする。

今回の旅では無計画に飛び出して、日程がちょうど連休に当たっていることに気がつかなかった。
ホテル代が1日だけ、やけに高いなと思ったら連休のせいだった。
翌日は連休の最終日なので、旅を延長するとまた1泊分高いホテル代を払わなければならない。
楽しい旅ならかまわないけど、ぜんぜんそうではないから、わたしはとつぜんお金が惜しくなってしまった。

こうなると新幹線は便利だ。
歩いて5、6分の駅まで行って、明日の東京までの切符はありますかと訊くと、臨時便が空いてますとのこと。
これでさっさと帰京することにした。

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いったいなんだなんだ、この旅はといわれてしまいそう。
おもしろくもなんともない。
わかっている。
そんなことはわたしがいちばんよく自覚している。
反省しておくけど、青森駅のすぐそばにワ・ラッセという大きな建物があって、ここでねぶたや棟方志功の作品を見ることもできたのである。
ねぶたは展示されているものをいちおう見たけど、あまりおもしろくなかった。
棟方志功の版画とその評判は知っているくせに、ムシのいどころがわるくて、金を払ってまで見たいと思わなかった。

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どうも覇気の感じられない旅だけど、これが老いるということらしい。
最近は旅だけじゃない。
音楽を聴いても、本を読んでも、映画を観ても、街に出て知り合いと酒を呑んでも、楽しいことがぜんぜんない。
はじめて大陸中国へ足を踏み入れたときの感激、ひとりでトルコの空港に降り立ったときの興奮、美少女に案内されたロシアの幸福、近代化されたカリマンタンでさえぞくぞくするような刺激があったのに。
あの新鮮な喜びはどこへ行った。

このままではますます引きこもりに拍車がかかりそうだ。
すると心身ともに調子がわるい。
おかげで旅に出ようという意欲もますます衰える。
これじゃあ不都合の悪循環だ。
芭蕉を見よ。
最晩年まで旅への情熱を失わなかったではないか。
そういう人もいるかもしれないけど、芭蕉のころと現代では地理の目盛りがちがう。
江戸時代に東北へ出かけるということは、現在のわたしたちが外国に出かけるのと同じくらい刺激に満ちていた。
わたしだって外国ならまだまだ出かけたいという気持ちは持ってるんだけど、歳をとって、夢は枯野をかけめぐるになっちゃっただけ。

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今回の旅がつまらない原因は、年齢以外に、やはり日本国内にいるかぎり、どこへ行っても目新しいものに出会えないことだ。
風景にしても人々の生活にしても、みんなグローバル化というのか、どこかで見たようなものばかり。
なんか旅以外に人生の目標を考える時期かもしれない。
ひとつオンナ狂いでもするかと、これ本気で考えています。

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