悲劇
北朝鮮兵士が軍事境界線から脱北したそうで、その映像も公開された。
でもふつうのニュース番組では、たいてい映像の一部だけしか見られないのに対し、わたしがよく観る「カイカイ反応通信」では、韓国映画「JSA」の高画質版だなんて揶揄してるけど、ほぼすべての映像が観られるようだ。
事情がわかっているだけに、兵士が境界線を突破するところは、映画以上にハラハラさせられる。
銃撃されて重傷を負って、それでもなんとか韓国側に救助された兵士だけど、家族はどうなるだろう。
板門店に派遣されていた兵士ということは、それなり厚遇されていた家族なのではないか。
一家がいつも通り晩飯を食おうとしていると、家のドアがいきなり蹴破られて、武装した警察の部隊が入ってくる。
◯◯(脱走兵士)の父親はいるか。
はあ、わたしですが。
母親はいるか。家族は揃っているか。
北の住人ならこのへんでもうヤバイと気がつくだろう。
そのころ◯◯の親戚縁者のところにも警察官が押しかけていた。
ひとりが体制批判につながりかねないことをしたら、その一族郎等まで罪に落とされるのは儒教の国の伝統だ。
このていどのことをいちいち正恩クンに図る必要もない。
マニュアル通り、家族も一族郎等も問答無用で強制収容所行きだ。
そうしなければ兵士の上司も同罪だから、ここはもう血も涙もない。
見せしめのために父親は機関銃の的かもしれない。
北朝鮮に生まれれば、こんなふうに幸せな家族の日常が、ある日とつぜん暗転することもあり得るのだ。
わたしもいま晩飯を食べたばかりだけど、北朝鮮に生まれなくてほんとによかった。
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