魚釣り
ふだんでも仕事のキライなわたしが、正月が近づくと、ますますやる気がなくなる。
仕事をしないと家でごろごろしているばかりである。
ヒマつぶしに困るから、今日は図書館で本を借りてきた。
とはいっても、いまさら人生の肥やしにしようってわけでもないし、読みたい本があるわけでもない。
なんとなくおもしろそうってことで、引っこ抜いてきたのが開高健さんのエッセイ集。
開高健といえば「オーパ!」である。釣り紀行である。
さらに酒とグルメもあるんだけど、考えてみたら、わたしに縁のないものばかりではないか。
わたしは釣りはしないし、好き嫌いが激しいので、とても食べ物にうんちくを述べるほどの知識も資格もない。
釣りなんかわたしの性格に合いそうな気がするんだけど、いったいどうしてこれまで無縁だったのだろう。
つまり、なんだな。
釣りをすれば、とうぜん釣った魚を見ることになる。
それがバケツの中なんかでアップアップしているのを見ると、もうダメ。
でも、可哀想で見てられないといったら偽善になってしまう。
わたしくらい、解体されてお皿に盛りつけられた、そういうものが好きな人間はいないのである。
人間に釣られなくても、魚なんていつ天敵に頭からがぶりとやられない保証はないのだと、わかりすぎるくらいわかっちゃいるけど、どうも人間には釣りをする人間としない人間の二種類があるようだ。
ひじょうに高雅で、哲学的でもあって、知識人の趣味にふさわしい道楽であるにもかかわらず、たとえば吉行淳之介や司馬遼太郎、村上春樹が釣りをしている光景は想像しにくい。
残念ながら、わたしもどっちかというと、しない人間のひとりのようだ。
せめておか釣りのほうで才能を発揮できればよかったのだが。
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