ジンクス
その頑固で古風なところが、博物館の化石標本なみだったわたしの兄貴が、去年の暮れに亡くなっていたそうだ。
ずっと疎遠になっていたから、いまさら感慨があるわけもない。
娘夫婦や孫にめぐまれて、食事をすませたあと、ぽっくり逝ったというから、死に方としては最高だったみたいだし。
わたしの家は伝統的に生まれた順番で死ぬらしく、うちの親父は9人兄弟の末っ子だったけど、戦争中に満州で行方不明になった兄をのぞけば、トリを飾ったのはやはりうちの親父だった。
だから兄貴より先にわたしが死ぬはずはないと、あまり明確な根拠もなく思っていたけど、この兄貴が死んでしまったから、もうわたしの番がいつ来てもおかしくないわけだ。
わたしは3人兄弟のまん中で、弟もひとりいるんだけど、そっちのほうは世間並みに順調に老化しちゃっている。
ひとり元気なのはわたしだけ。
わたしが我が家のジンクスを破ることになるのか、もうすこしでわかるだろう。
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