ひまわり
BSで放映されたデ・シーカの「ひまわり」って映画。
もう何度も放映されているのに、まともに観終えたことがいちどもないし、音楽以外はあまり気にしてなかった映画なので、批評はさしひかえる。
ただストーリーは知っているので、そのへんから思ったことを。
これは第二次大戦中にロシアに派兵されて行方不明になったイタリア兵と、生き別れになった奥さん(ソフィア・ローレン)の悲恋の物語。
どうも悲恋をまっ正面からとらえたといわれると、それだけでひいてしまうのがわたしの悪いクセだ。
イタリア映画なら、ましてデ・シーカの映画なら、もっと庶民的ユーモアを前面に押し出した映画にしてほしかったね。
戦争が終わったのに帰国しない旦那を探して奥さんが右往左往。
けっきょくわかったのは、旦那はロシアで知りあった娘と再婚し、いまは家族をもって幸せに暮らしていて、奥さんは泣く泣くあきらめるという物語だそうだ。
日本でも太平洋戦争が終わったとき、こんな話は山ほどあった。
これはなにかで読んだ話だけど、戦争中捕虜になって抑留されているあいだに、ロシア娘と恋仲になった日本人がいた。
現在の北朝鮮や、かっての日本なら、周囲から白い目で見られるところ、ロシア人というのはヒトがいいのか、日本人は多産系だと聞いている、ロシア娘と結婚してじゃんじゃん子供をつくってほしいといったとか。
多民族国家というのはそういうものらしいけど、人類愛がどうのこうのと屁理屈をいうよりずっといい話ではないか。
「ひまわり」では、マルチェロ・マストロヤンニのイタリア兵がそういうロシアに取り込まれちゃったわけだ。
イタリア人が多産系かどうか知らないけど、男は多情で、女を見ればすぐにくどくことぐらいは知っている。
そういう血が入れば、人間が陽気になるので、これはわるい話ではない。
え? いえ、これはコメディではありません。
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