"自炊"をする
親戚からもらってきた古い本、「支那事変・戦跡の栞(しおり)」というものだけど、虫メガネを使って少しだけ読んでみたら、歴史好きのわたしにはなかなかおもしろそう。
ただ、やたら小さな本に漢字ばかりの古風な文章が、320ページも押し込んであるので、老眼のわたしには、メガネをかけた上にさらに虫メガネを使わないと、とても読むことができない。
これはとっても目が疲れることである。
どうしたらいいだろうと考えて、思い切って “自炊” することにした。
“自炊” というのはパソコン用語で、つまり紙の本の電子化を自分でやることである。
むずかしくはない。
スキャナーさえあればだれにでもできる。
“自炊” するためにはページを切り取って、本をばらばらにしなければならない。
ちょっともったいないかなと思い、この本を古書としてオークションに出したら、どのくらいするものか調べてみた。
この本はもともと、上、中、下巻の3部作だったらしく、全巻そろってもいいとこ3千円ぐらいの値しかついてなかった。
わたしがもらってきたのは上巻だけだから、売ってもたかがしれているだろう。
それで “自炊” を始めたんだけど、いやもう手間がかかって。
全ページのスキャンが終わるまで生きていられるのかと心配になってきた。
そうやって苦労して電子本にしても、一文にもならないし、おそらくわたしひとりが満足するだけで、世間に対してなにか貢献することもないだろう。
でもいいか。
スキャンした部分を読みながらスキャンを続けているんだけど、新しいページを読むたびに、日本軍とともに、当時の中国大陸を転戦しているような気分になる。
時空を超えた世界、ありえない異次元の世界、部屋にいながらそういう世界を彷徨できるのは本好きの特権だ。
ひきこもりぎみで、徹底的に地味な性格のわたしが、人生の終わりまでなんとか退屈しないで済みそうだから。
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