酸辣湯麺
今日の新聞に蘭州ラーメンの記事が出ていた。
習近平さんの一帯一路政策のせいか、はたまた日本のラーメン・ブームに習ったものか、中国の蘭州に古くから伝わるラーメンを、国際的な名物にしようという動きがあるらしい。
蘭州ラーメンというのは牛肉を乗せたラーメンであるという。
そんなものがめずらしいかどうか知らないけど、わたしは蘭州という街には行ったことがある。
中国の中央部にあり、このあたりで黄河とその両岸がぐんとせばまっていて、河西回廊とよばれるほそ長い交通の要衝である。
ときどき中国からメールをくれる知り合いも蘭州の出身だ。
いちいち日本語に翻訳するのがメンドくさいので、目下のわたしは死んだことにしてあるけど、またそのうちメールのやりとりを再開するかもしれない。
そんなことはどうでもよくて、今回はラーメンの話題だ。
蘭州ラーメンが牛肉というのは、これを考案した調理師がもともと回族だったからだという。
回族というのはイスラム教徒だから、いくら豚肉の好きな中国人でも、それを使うことはありえない。
わたしが蘭州に行ったころ、味をしめたのは蘭州ラーメンではなく、酸辣湯麺というものだった。
これは酢とラー油を効かせ、カタクリ粉でとろみをつけた麺料理で、その野菜主体のラーメンが、肉のニガ手なわたしの嗜好に合致したのである。
どんなラーメンか味わってみたければ、日本の「紅虎餃子房」や「揚州商人」で注文できる。
しかし中国人は日本人ほど職人気質というものを理解しないから、困ったことも起こる。
中国にいたとき、ある店で酸辣湯麺を注文した。
出てきたラーメンに、肝心の酢が入ってなかった。
文句をいうと、ウエイトレスが応えるのに、テーブルの上に置いてある酢のボトルをさして、これを入れれば酸辣湯麺になりますと。
なんだ、そうか、あははと、それでひっこむわたしもだらしないけど、あちらのラーメンはそういうものであるから、蘭州ラーメンがグローバルなものになるかどうか、予断はゆるさない。
| 固定リンク | 0
コメント