プールにて
先日またプールで泳いできたんだけどね。
最近のプールにはウォーキングコースというのがあって、泳ぐのではなく歩く人専用コースが作ってある。
水中では重力がかからないから、腰の病気をかかえた人でも足の運動ができるということで、これはまあいいことだ。
もういいトシのわたしが、泳ぐのにへこたれて、ウォーキングコースを行ったり来たりしていたときのこと。
コースにほかの人がいないのを見計らって、最後の10メートルは平手をきってすいすいと泳いだ。
プールのへりにたどりついて顔を上げると、すぐ上に監視員が立っていて、まず発した言葉が
「お客さま、本日はご来場ありがとうございます」だって。
ここは公営プールだから、わたしはお客さまではないぞ。
むしろ、できたばかりの豪華なプールを、ホテルや遊園地のプールなんぞに比べれば、はるかに安い料金で使わせていただいている一般庶民だ。
ええ、感謝しています、こちらこそ。
彼のほんとうの用事というのは
「こちらはウォーキングコースとなっておりますので、泳ぐのはご遠慮下さい」というものだった。
「おっさん、ここで泳ぐんじゃねえよ」といわれるよりはいいけど、なんてまあ、ご丁寧な。
こういう言葉使いをするようにと、マニュアルで規定されているんだろうけど、わたしにはとても真似できない。
「お客さーん、ここで泳がれちゃ困ります」じゃいけないのか。
日本にやってくる外国人が、みんな日本のホテルやレストランの丁寧なおもてなしに感動するらしいけど、そのかげにますますこういう人間味の感じられない、ロボットみたいな対応が増えているんだろうなあ。
病院でもそうだ。
「患者さま」だなんて、え、こっちを馬鹿にしてんのか。
医者なら医者らしく、ふんぞりかえって、きみ、ピロリ菌も大腸ガンもありゃせんよ、安心していいといわれるほうが、なんぼ幸せを感じるかわからない。
アメリカではマクドナルドの店員が、暴言を吐く客をぶっとばしたって事件があったそうだ。
そりゃ客のほうが悪いと、ぜんぜん問題にならなかったというから、あちらの市民意識のほうが高い。
相手にへりくだった言い方をされてうれしがっているアナタ。
そりゃ自分がますます矮小化していることの証明でしかない、ということにさっさと気がつかんかね。
| 固定リンク | 0
コメント