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2018年9月10日 (月)

華麗なる激情

また映画の話題だよ。
全方位的ブログをめざす当方としては、ネタが映画にばかり偏るのはいい気分じゃないけど、目下ひきこもり。
テレビから録画した映画を観るのが、金のかからないいいヒマつぶしなのだ。

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今回は法廷劇じゃないけど、カタそうな映画の第4弾だ。
先日テレビ放映された「華麗なる激情」って映画、チャールトン・ヘストンとレックス・ハリソンというアカデミー賞役者の共演した歴史大作だ。
「ベン・ハー」や「クレオパトラ」みたいに、豪華絢爛さを前面に押し出したコスチュームプレイ映画(最近のコスプレとは異なる)といっていい。
内容はうすうす知っていたけど、なんでもルネッサンス期の彫刻家ミケランジェロと、時の権力者ユリウス2世の対立を描いた作品だという。
派手な戦車競走があったり、半裸のきれいな姉ちゃんが出てくるわけでもなさそうだから、これまでじっくり観ようという気にならなかったのである。

でもじっさいにはなかなかおもしろかった。
監督は「第三の男」などで知られる巨匠キャロル・リードである。
彼はこの映画を喜劇として作ったのかもしれない。
たとえばシスティーナ大聖堂の天井画を依頼されたミケランジェロが、戦争大好きユリウスのところへ下絵を持ってくると、戦争中であるにもかかわらず、ふたりは芸術談義を始めてしまう。
部下たちが、相手が攻撃を開始しました、こっちも反撃したほうがよかないですかと進言してもおかまいなしだ。

またべつのシーンでは、高いやぐらを組んで、その上でミケランジェロが作業をしている大聖堂へ、ユリウスがとりまきを引き連れて礼拝にくる。
ミケランジェロはけっつまづいて塗料のバケツをひっくり返してしまう。
せっかくコスチュームプレイにふさわしいきれいな衣装を着た坊さんたちが、ペンキまみれになるところがおかしい。

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監督が意図してこういう映画にしようと思ったのなら、彼はなかなかの策士だ。
喜劇というものは、ほかの部分に手抜きすることなく、お金をたっぷりかけ、重厚な役者を起用し、まじめな顔でやったなかに、おかしい部分をさりげなく挟むのが、上質のテクニックだからである。

喜劇だとすれば、絵の構想を得るためにミケランジェロが、雲の形から啓示を得るといういいかげんなところや、個性派俳優のハリー・アンドリュースが、薄っぺらい人物を演じているのも納得できる。
「華麗なる激情」だなんて、大げさで、どこか感心しない映画のタイトルにも合点がいく。
そういうわけで、監督がどういおうと、わたしはこれは喜劇であると信ずるのである。
まじめなシーンが多すぎるのが欠点といえばいえるけど。

ただ、ぜったいに喜劇であると断言しにくいのは、じつはビデオデッキの不調で、2時間以上ある映画の最後の10分を録画しそこなったからだ。
その最後の10分間で、登場人物全員が殴り合いでも始めていれば、喜劇だという確信は不動のものになるのだが。

Kg05

そういうことはべつにしても、芸術に興味のある人には、へえ、ああやって描くのかって、当時のフレスコ画の制作風景を見られるのが楽しい。
ルネッサンス時代の壁画や彫刻、そして人々の生活ぶりも、随所で小道具、大道具として使われているので、そういうものを見るのも楽しい。

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