9月の海
9月か。
海で泳ぐにはいちばんいい季節だなあと思う。
世間のフツーの家庭では、子供の夏休みが終わると、泳ごうという機運はしぼんでしまうけど、海水がいちばん暖かいのは9月である。
それ以外にも、わたしにとってもうひとつ興味深い事実がある。
むかし知り合いのヨットに乗せてもらって、西伊豆のどこかの海岸に錨泊していたときのこと。
船の上でとぐろをまきながら、なにげなく海面をながめたら、すぐかたわらに小さな魚がアップアップしているのが見えた。
網でかんたんにすくえたので、船に収容してよく眺めたら、なにしろこのころはダイビングに凝っていて、いろんな魚の名前にも詳しくなっていたころだから、ソウシハギという魚の幼魚であることがすぐにわかった。
体に青いラインの入ったきれいな魚である(写真)。
大きいものは1メートル近くになるけど、わたしがこのとき見たものはせいぜい10センチくらい。
ところでこの魚は、沖縄のサンゴ礁ではおなじみの魚だけど、伊豆あたりに根付いているのは見たことがない。
時期的にみて、おそらくぼんやりしたのが黒潮に乗ったまま流れてきてしまったのだろう。
9月になると伊豆あたりでも、ふつうなら見られない、こういうめずらしい迷子の魚を見ることがある。
この季節の海水浴が楽しいというのはこのことだ。
これとはべつに、以前房総の鴨川に行ったとき、海岸の岩場でウェットスーツを着て、なにか採集しているグループを見たことがある。
聞いてみたら、海水魚をとってそれ専門の店に卸している人たちだった。
房総あたりにもチョウチョウウオの仲間がいるから、まあ小遣い稼ぎていどにはなるのだろう。
秋ならばたまにサンゴ礁の海にしかいないめずらしい魚もとれるそうである。
海にいるものをタダですくって金儲けだなんてと、なんとなく腹がたったけど、考えてみると漁師だってやってることはいっしょだ。
遠路はるばる流れついた魚は、そのほとんどが年を越せず、冬のあいだに死んでしまうんだし。
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