松本城へ/なわて通り
城から下りてきて、ネコおばさんと落ち合ったころにはもう昼になっていた。
メシでも食いますかというと、ワタシの知ってる和風レストランがコイのうま煮を食べさせるからという。
おばさんのいう店というのはわたしの口に合わないところが多いんだけど、フランスやイタリア料理でなければ大丈夫だろう。
なんにせよ、彼女のほうがこの街に詳しいのだからと、おとなしくついていくことにした。
街を流れる田川のほとりに「なわて通り」という、屋台が軒を接したような観光名所がある。
コイのうま煮はこの通りの先だというので、ぶらぶら歩きながら、ついでにその通りも見物してみた。
通りの入口にでっかいカエルの像が鎮座していたけど、なんでカエルなのか、メンドくさいから質問しない。
こういうことは帰京してから調べればたいていわかるのである。
帰京して調べてみたら、田川にたくさん生息していたカジカガエルを、むかしのように増やそうという願いをこめたんだそうで、ウソかホントかわからない。
なわて通りは、若者や女性たちなら興味を持ちそうだけど、わたしみたいにひねたおじさんには別になんてことがないところだった。
300メートルほどのほそい通りの両側に、甘味から喫茶、食堂、骨董品屋、八百屋までがならんでいる。
骨董品はほじくればなにか出てきそうだけど、終活中のわたしがそんなものを買い込むわけにはいかない。
八百屋ではひねこびたような小さい大根を売っており、ネコおばさんにいわせると、煮て食べると美味しいのだそうだ。
ようやく見つけた店で、ビールやチューハイを飲みながら、串に刺したおでんを食う。
おでんというからコンニャクかと思ったら、これは豆腐だった。
過去に食べた記憶がないから、珍しいといえば珍しいのかも。
松本市のある長野県は海なし県だから、海鮮は期待できないけど、コイが名物だそうなので、コイの洗いとうま煮も注文した。
うま煮は、ぶっ太いコイを輪切りにしてまっ黒に煮込んだものだった。
ブリ大根みたいですね、ブリなら目ん玉をほじくるのが趣味って人もいますねと、どうでもいい話をする。
どうも、わたしの文章を読んでもせんぜん食欲がわかないかもしれないけど、もともとわたしは健啖家ではないし、味覚にうるさいほうでもないから、この店をけなそうとか褒めようかというつもりではない。
わたしの評価が口コミになっても困るから、店の名前は明かさない。
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