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2018年11月 5日 (月)

古民家

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わたしの散歩道のとちゅうにある古民家が、きちんと整備されて、昨日の日曜日から一般公開されていた。
他に予定がないから、昼ごろ、ぶらぶらと見学に行ってみた。

古民家のまえまで行くと、数人の見学者が入口のあたりにたむろし、柵に入場は1時からですと札が下がっていた。
時計を見ると、まさにその1分まえだ。
ものほしそうな顔で内部をのぞきこんでいると、すぐに時間になって、わたしが入場者第1号という栄誉を担うことになってしまった。
タダなんですかと訊くと、係員がこちらにという。
玄関を入ったところに券売機があり、おとなひとり200円だった。
でもきれいなパンフレットをくれるから、印刷代だと思えばよい。

古民家について詳しいことは三鷹市のホームページでも見てもらうことにして、ここではわたしの感想を。

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じつはこの前日にも散歩がてら、この古民家をのぞいたんだけど、そのときひとりの老人に話しかけられた。
彼はなぜか怒っており、自分もむかしはこのあたりの農家だったという。
東八道路(府中の試験場に通じる広い通りで、いまそこに自転車用の車線を増設中)ができて、このあたりも変わったという。
古きよき時代に郷愁を感じる、つまりこの人もわたしと同じ懐古主義者なのかと思った。

ところが彼は道路建設のために、田畑を市役所に買い叩かれてとこぼす。
ご存知のように、農民が農地を農業以外の目的で売り飛ばすには、いろいろとむずかしい制約がある。
世間の相場ではいい値で売れるはずが、けっきょく彼は市役所の言い値で売らざるを得なかった。
と彼の怒りはそういうことらしい。

これは他人が安易に同情すべき問題ではない。
日本の法律は濡れ手にあわで儲けることを禁じているからである。
あまり景気がよさそうでない彼に、でもそれなりのものはもらったんでしょうとは聞けなかった。
もしかするともらった金をみんな酒や賭博に浪費して、あとで文句をいっている人かもしれない。
どっちにしても売るべき寸土も持ってないわたしには関係ない話だ。

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さて、古民家のこと。
もともとは農家だった建物らしいけど、関東地方の農村をよく知っているわたしにいわせると、ちょっと農家として使うには小さすぎるような気がする(この写真は広角レンズで大きく見えるけど)。
わたしの親戚も農家だったけど、寝室などの居住空間に台所、かいこ棚、作業所、農具の物置き、おまけにウシかウマでもいればその居場所まで含めると、もっと広いスペースが必要だったように思う。
わたしがこの民家を見て思ったのは、これでは茶室か、老人の隠居部屋にしか見えないということだった。

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しかしそういう目的のために作られたとしたら、持ち主の風雅が感じられてすばらしい。
庭に面した2方向がガラス戸のある廊下になっていて、小さな池と、その向こうがそのままワサビ田につながっている。
自分が丹念に育ててきたワサビ田を、朝な夕なにながめて暮らす。
この民家の持ち主は箕輪一二三さんという人だったそうだけど、農民の晩年としては完璧だったと思う。

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