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2018年11月22日 (木)

伊良湖岬/悲劇的な話

I01

今回の伊良湖岬行きは8人乗りのレンタカーで、参加者は7人、最年長はまもなく80歳に手のとどくSさんだ。
わたしともうひとりが前期高齢者で、あとの4人は若手である。
これだけ若手がいると、年寄りは運転をしないですむからありがたい。

ただ運ばれるだけだから、どこをどう走っているのかサッパリだけど、東名に乗ったのはまちがいないから、下りたのはおそらく豊川インターだろう。
沿線に車の販売店や郊外型レストランのならぶゴテゴテした市街地をぬけると、どこか漁村のにおいのするおだやかな農村風景がひろがった。
からっとした温暖な土地という予想は的中したようで、渥美半島も先端ちかくまで行くと、なんだか沖縄に似た雰囲気すらある。
しかし伊良湖岬が近づいてきたころ、車のなかでちょっとショッキングな事件が。

車中で最年長のSさんが、オレくらいの年になると免許証の更新時に認知症テストをやらされるよといいだした。
へえ、どんなことをするんですかと訊くと、たいしたことじゃないけどね、たとえば、今日は何日だっけと、これはわたしへの質問。
いきなり聞かれたのでわたしは面食らった。
ええ? 17日でしょと答えると、それみろという。
この日は18日だった。
間髪をいれず、何曜日だっけと質問が続く。
月曜日でしょうと答えると、日曜日だよとの返事。
オイオイ。

最近のわたしはマンネリぎみの、メリハリのない毎日を過ごしてますからね、日にちがわからなくなるなんてしょっちゅうですよと弁解しておいたけど、さすがにわたしも不安になってきた。
いずれも冷静に考えればかんたんにわかる質問だと思うけど、聞かれてとっさに即答できないなんて、これが認知症というものかもしれない。
本人はぜんぜんそうだとは思ってないんだけど、自分で意識できないところが認知症の認知症たる所以かも。

自殺した友人の顔がちらついてきた。
認知症ではなく初期の脳梗塞だったけど、それだけで人生を放り投げ、奥多摩で投身自殺をした友人は、まさにこの日のメンバー、つまり山登りクラブの仲間の一人だったのである。
ひとり者のわたしも、認知症になったら、いや、なるまえに身の振り方を考えなければいけないのである。

そんな憂鬱な気分も、宿に着くころにはなんとか消え失せた。
あらかじめストリートビューで調べておいたとおり、ほんとうにまわりに何もない、畑のなかの一軒家といった宿だった。
添付した画像は宿のまわりの、これはセロリの畑。

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