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2018年11月24日 (土)

伊良湖岬/灯台への道

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今回はもともと山登りクラブの納会ということだから、やっぱり散策ぐらいはしなくちゃまずいだろうと、宿に着いたあと、全員で伊良湖岬灯台を見物に行くことにした。
半島の先にあるフェリー乗り場の駐車場に車を放り込み、目のまえにある樹木の繁茂した小山にとりつく。
山頂に大きな塔のある建物が見えるけど、それがどうやら灯台らしい。
そこまでお粗末な舗装道路が続いている。

道ばたに黄色い花が咲いていた。
アレなんですかと若手のメンバーのひとりが訊く。
ツワブキだよとわたしは答える。
そのくらいはわかるのである。
その先にまた黄色い花が咲いている。
こちらは名前がわからない。
スマホでググれよとわたし。
植物にせよ、魚、昆虫にせよ、もはや分厚い本形式の図鑑なんて要らない世界を生きているのだ、わたしたちって。

山頂の大きな塔の直下まで来た。
先に着いたメンバーが、これは伊勢湾海洋交通センターという施設ですよ、灯台じゃありませんという。
塔の側面には羽根をひろげた鳥(じつは後述するサシバだけど、うかつなわたしは気がつかなかった)の絵が刻まれていて、お子様向きの楽しそうな施設に見えるけど、どっちにしてもこの時間には門が閉まっていて入れなかった。
そういえば写真で見た伊良湖岬灯台は、山の上ではなく波打ちぎわあったっけ。

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ぼやきながらみんなでまた山を下り、とちゅうにあった標識にしたがって海岸に出た。
岬のとったんを一周するように遊歩道ができていて、灯台はその途中にあった。
ごろた石の波打ちぎわにある無人灯台で、ふきんに芭蕉の句碑などがあり、観光客の数は多い。
でもそれっきりで、とくに目的のないわたしたちにはやることがない。

なんでこんなところへ来たのかと聞いてみたら、伊良湖岬というのはサシバの渡りで有名なんだそうだ。
サシバというのは小型の猛禽類で、冬になるまえに集団で南方へ移動することが知られており、伊良湖岬はその通過コースなのである。
それなら自称ナチュラリストのわたしの領分ではないか。
もうすこし早くいってくれれば、双眼鏡でも持参したものを。

あれサシバじゃありませんかというだれかの声に上空を見上げると、黒い鳥がたった一羽だけひょろひょろと高いところを旋回していた。
べつに南の方へ急ぐようすもなかったから、カラスかトンビのようだった。
わたしはホタルイカの身投げを見にいって、みごとに空振りに終わった2年前の富山行きを思い出した。
自然観察というのは運まかせになる場合が多いものだ。

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このあとは恋路ケ浜という、おじさんたちには縁のなくなった名前の海水浴場をだらしなくながめて宿にもどった。

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