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2018年12月13日 (木)

天才の遺産

さっきまで、むかし録画したスティーヴ・ジョブズのドキュメンタリー番組を観ていた。
七転び八起きという波乱の生涯をおくった天才を映像で追ったものだけど、彼の死によって世界屈指の大企業アップルは孤児となった、という最後のナレーションが感動的だった。
あとに残された孤児は天才でなかったみたいで、最近のアップル社は創立者の遺産を食いつぶすだけの、ただの米国企業におちぶれたのが残念だ。

ジョブズが創造した革新的なIT機器のなかに iPod がある。
アップルがそれを発表したとき、ソニーのウォークマンに変わる新しい音響機器が出たというので、ビートルズ世代であり、なおかつロックやジャズにも凝ったことのあるわたしは、当然のように注目した。
ただしいきなり購入するほど無鉄砲でもなかった。
テープを使ったウォークマンに比べれば、ケタ違いの曲を収納できるとは聞いていたけど、肝心の曲は、ディスクを買ってきて中身を自分で iPodに移すか、いちいちネットから購入しなければならないと思っていたのである。

ここから先は書いていいものかどうか迷うけど、このころネット上にはすでに YouTube が登場していた。
iPod を買ったあと、すぐにわたしはジョブズの野望に気がついた。
彼自身はアップル・パソコンを通して、音楽コンテンツを販売するつもりだったかもしれないけど、iPod と YouTube を組み合わせることによって、音楽好きにとって夢のような音楽世界が広がるのだ。
おそらく世界中の音楽ファンが、わたしと同じことに気がついたにちがいない。

ジョブズがこのことに気がつかなかったとは思わない。
彼の頭のなかには、法律の遵守よりも、とにかく新しい世界を作りたいという欲望しかなかったのだろう。
いまこの瞬間にも世界中で、おびただしい曲が YouTube にアップされており、またいっぽうで、おびただしい曲がダウンされている。
世界中のありとあらゆる音楽が YouTube の中を飛びまわっているのである。
音楽好きで、ちょっと考え深い人であれば、この天才が残した遺産の意味を容易に理解するだろう。
iPod という機械を生み出した、それだけでも偏執狂的音楽マニアのわたしは、彼に感謝してやまない。

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