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2019年1月21日 (月)

ル・ソンジュ

またバレエの話。
「白鳥の湖」に代表されるような古典バレエがどのくらいあるのか知らないけど、現代では新感覚のバレエが花盛りで、古典の範疇に入るものでさえ、いろんな方法で現代化されている場合が多いようだ。
前回のバレエの話題で取り上げた「くるみ割り人形」では、登場人物がスケートボードに乗ってあらわれる場面があった。
絵画でいえば、ピカソやミロのような前衛的作品に仕立て直すということなんだけど、わたしみたいに官能的であるかどうかを物差しにするファンには、とっつきにくい作品もある。
逆に官能的すぎてとまどっちゃう作品もあるんだけどね。

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しばらくまえに、やはりNHKのBSで、モナコ公国モンテカルロ・バレエ団による「ル・ソンジュ」というバレエを録画した。
「夢」という副題がついているけど、これはシェイクスピアの「夏の夜の夢」のバレエ版、しかもそれをさらに現代化したものだった。
このブログで取り上げた「コッペリア」や「くるみ割り人形」が、ご家族向けの楽しいバレエだったのに比べると、これは18才未満お断りといいたくなる刺激的なバレエだ。

わたしは原作を読んでないから、これについてブログに書くまえ、念のためウィキペディアに当たってみた。
なんか人間と妖精が入り乱れる喜劇らしいけど、ややこしくてよくわからない。
それでストーリーをうんぬんするのはやめて、目と脳みその直感で評価してみよう。

Sg06Sg07

冒頭に登場するのは、イロ気もなにもないぞろりとした衣装の数人の男女。
自己紹介によると、彼らは大工、鍛冶屋、服の仕立て屋、金物屋などで、これだけなら怒って録画をやめていたところだ。
しかしすぐに彼らの背景に二組の男女のペアがあらわれる。
こちらは宇宙船の乗組員みたいなSF的ファッションで、それでもわりあい体にぴったりの衣装だし、女が可愛いから許せる。

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問題はこのあと登場する妖精の大魔王とその奥さんだ。
奥さんを演じているダンサーはベルニス・コピエテルスといって、ひとかけらの贅肉もない渾身のバレリーナ。
それが全身を、骨盤のかたちまでありありと見せてしまうシースルーの肉襦袢につつんで、いやらしく亭主に絡んだり、のたうちまわったりするのだ。
奥さんの浮気を暗示するような場面、旦那(の大魔王)とよりをもどす場面、性行為を暗示するような場面などがつぎつぎにあらわれる。
こんなのをステージでどうどうと披露して、ナントカ陳列罪に当たらないだろうかと心配になるくらい超過激。

Sg04Sg05

見ればわかるように、たとえば舞台のセットなどは未来的で、古典の現代的解釈としてはおもしろい。
ただわたしは絵画や音楽でも、あんまりとんがりすぎると、精神に変調をきたすので、抽象的なものや前衛的なものが好きではない。
このバレエは古典を下敷きにしているけど、完璧に、もうなにがなんだかわからないの、コンテンポラリー・ダンス(現代舞踊)といっていいだろう。
だから本来はニガ手のはずなんだけど、やっぱりおおった手のあいだからのぞいてしまうのは、コピエテルスさんのみごとな肢体と、卑猥な演技のせいだよな。
バレエも、その他もろもろの芸術も、同じタイミングで同方向に向くんだねと、ひとつ真理を悟った気分。

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