流氷
この冬はひとつ出かけてみるかと思う。
行くならいつがいいだろう。
あまり早く行って流氷がなかったら困る。
やっぱりいちばん寒い2月がいいのではないか。
ところが運行開始のニュースが1月10日で、その日に調べてみたら、もう2月のガリンコ号は予約がほとんど埋まっていた。
かろうじて予約表の上のほうにいくつか空席が。
でもこれは土日の早朝のサンライズクルーズというやつで、出航が朝の6時だそうだ。
そんなに早く起きられるものか。
と思ったけど、これはかえって具合がいいかも。
最近のわたしは昼と夜が逆転して、昼間は寝ぼけているのに、夜はいたって元気。
朝の6時というと、さあ寝るかという時間だから、そこをちょっと我慢して起きていればいいだけの話だ。
起きているのは、目覚ましで無理やり起こされるよりはラクチンである。
最近出不精になっているわたしが、じっさいに出かけるかどうかは別にして、ここで流氷の思い出をひとつ。
若いころ流氷を見るためにオホーツクの沿岸を旅したことがある。
ガリンコ号なんてものはまだなかったけど、列車を乗り継いで紋別に着いたのがその年の2月9日のことだった。
さっそく港へいってみたけど、沖のほうに白いものがちらほら見えるだけで、流氷らしきものは影もかたちもなかった。
地元の人に流氷ありませんねというと、ああ、今日は陸からの風だからなという。
いったん寄せたら春まで寄せっぱなしだと思っていたけど、流氷というのは気むずかしいものらしい。
最近のわたしは、富山のホタルイカも空振りだったし、どうも自然現象から見放されているようだから、あまり期待しないほうがいいかも。
その翌日、路線バスを乗り継ぎながらオホーツク沿岸を北上し、沙留(さるる)というところでようやく海を埋め尽くす流氷を見た。
降りしきる粉雪のなか、わたしはバスを降りて港まで行ってみた。
港も雪におおわれていたけど、人っ子ひとりおらず、それはそれは美しい光景だった。
また、腰まであるのにまったく抵抗を感じない雪を体験して、これがパウダースノウというやつかと、感動したのもこのときが初めてだった。
明日死んでも惜しくないくらい、わたしにはこんな思い出がたくさんある。
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