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2019年6月 4日 (火)

楽園の最近

この季節になると、ベランダ側の窓を開け放したまま寝てしまう。
すると蚊にとって絶好の獲物でしかないことになり、蚊取り線香がなかったらとても生きていられない。
それがどうだ。
今年はずいぶん蚊が少ないような気がする。
原因はわかっている。
隣りの農家のおじさんが死んで、家の跡地がサラ地になり、おびただしく繁茂していた草木が一掃されたからだ。
これではヤブ蚊も生存権、発生権をおびやかされる。
たぶん、声には出さなくても、近所の住人たちも農家の消滅を喜んでいるにちがいない。

でも、でもわたしはちがう。
わたしがこの家に越してきたのは、隣りの農家の存在が大きかった。
日本の農家の例にもれず、おじさんの家のまわりには、季節の花が咲き、さまざまな果実が実った。
自分がそういうものを栽培するのは大変だけど、他人がやってくれるのだから、ここは居ながらにしてのパラダイスだったわけだ。
そのぶん蚊取り線香がよけいに必要だったけど、精神的充実度を考えれば、そのていどの出費がなんだってえのさ。

しかし時代は変わる。
便利になるかわり、わたしたちが失うものも多い。
蚊がいなくなるかわり、のんびり窓を開けたまま寝ることもできなくなる。
というのは、この秋口からサラ地でいよいよ住宅建設が始まるようで、すぐ目のまえを大工や左官屋が右往左往していたのでは、昼間から裸で寝ているわけにもいくまい。
くそ、そのまえに心筋梗塞かなんかでぽっくり逝くわけにいかんものか。

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