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2019年8月13日 (火)

つげ義春

Nj01

晴耕雨読ならぬ涼耕暑読である。
暑いので昼間はエアコンのある部屋で読書三昧。
こないだ熱中症で死にかけた友人もそんなことをいってた。

図書館で借りてきたつげ義春の「貧困旅行記」という文庫本を読んでいる。
つげ義春といったら、60年代の終わりごろに発表した「ねじ式」という難解な作品で有名になり、わたしの青春にもそれなり影響を与えたマンガ家だ。
もちろん「ねじ式」もよく知っているけど、その解釈をめぐる論争には(しちめんどくさいから)加わらない。
ただわたしがつげフリークであることは、このブログで何度か彼に触れていることから、わかっていただけると思う。

ここに載せたのは、「ぼくはメメクラゲに刺された」というセリフで始まる、あまりに有名な冒頭のカット(の一部)。

「貧困旅行記」は本人がつづった旅の記録だけど、そこに出てくる目的地は、関東近辺の、これといって特徴のない田舎が多く、彼のマンガ作品の原点みたいな無気力な旅ばかりである。
旅する当人も、是枝裕和
監督の「万引き家族」に出てきた、リリー・フランキー扮する頼りないオヤジみたい。
ま、つげのファンであれば、そういうところがおもしろいんだけど。

ところで、作品はよく知っているくせに、つげ義春の家庭環境についてはよく知らなかった。
奥さんがいるらしいことはうすうす知っていたけど、彼の性格からすると、地味でおとなしい女性にちがいないと勝手に信じ込んでいた。
ところが「貧困旅行記」を読んでるうち、その奥さんが只者ではないことを知った。
彼女は状況劇場(アングラ劇団)の女優だったそうである。
女優がなんでこんなネクラなイメージのマンガ家と結婚したのか、つげ義春ってすみに置けないなと思う。
そしてその奥さん、藤原マキって人だけど、彼女もとっくに癌で亡くなっていた。
ヒョーって風が吹き抜けるよう。

わたしの年になれば、自分のも他人のも含めて、人生を大局から俯瞰できるようになる。
人間の春秋になんか虚しいものを感じるけど、それはだれでもいっしょだろうから、ぶつくさいっても仕方がない。

ときおりパソコンのなかに収蔵してある、わたしの古い旅日記を読み返す。
文章を書くのはむかしから好きだし、書いておかないと忘れるのも得意だから、そういう日記の分量は多い。
以前にもやったことがあるけど、ブログのネタがないとき、そんな古い旅日記をそのまま載せてしまったらどうだろう。
読んでなにか役に立つものじゃないけど、わたしの旅は「貧困旅行記」と傾向が似ているのだ。

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