カデンツァ
今朝の新聞の記事に、小さく「カデンツァ」という言葉が出ていた。
音楽用語で即興演奏のことだ。
即興演奏ならジャズのほうでおなじみのアドリブってことだけど、わたしはふつうならあまり縁のないこの言葉を、若いころ聞いたことがある。
ずうっとむかし、あれは確かニューポート・ジャズ・フェスティバルだったと思うけど、ブルース畑からB.B.キングが出演して、大勢の管楽器奏者と共演したことがある。
レコード・ジャケットの英語解説を読んでいたら、このとき彼がしめくくりのカデンツァを務めたと書いてあった。
カデンツァってどういう意味かと辞書を調べたら、上記のようにアドリブということだった。
アドリブなら最初からそう書けばいいのにと思ったけど、それはわたしの無知のせいで、クラシックでもジャズでも使われるめずらしくない言葉らしい。
このときのキングのカデンツァは演奏のいちばん最後に聴ける。
出演者の中でいちおう彼が最高齢者だったから、トリとして華を持たされたようだった。
ほんの短い演奏だけど、味わい深いブルースの断片のようで、いまでもわたしの耳に残っている。
音楽は空中に消えて二度ともどってこないといったのはエリック・ドルフィー、しかしひとりの人間が死ぬまで、その耳の奥に残る音楽もあるのである。
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