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2019年11月10日 (日)

うた二つ

今日の新聞に自殺した歌人のうたが二首ばかり取り上げられていた。  
  血と雨にワイシャツ濡れている無縁
          ひとりへの愛うつくしくする
もう一首は
  夜明けとはぼくにとっては残酷だ
         朝になったら下っ端だから
前者は学生運動の闘士だった若者のうたで、後者は正規雇用からはずれた一般労働者のもの。

ふたりの絶望はよくわかるものの、学生時代ノンポリだったばかりか、学生運動に冷ややかだったわたしには、最初のうたは同調しにくい。
たとえば、エート、あの東京新聞の望月イソコさんが自民党政治に絶望したとしても、それは本人の勝手な思い込みが原因で、もうちっと他人の気持ちを理解しさえすれば、なにも自殺するほどではないでしょうと忠告でき、本人も、そういう考えもあるのかと、また明日から元気に仕事に励むのではないか。
政治活動というものは誤解、もしくは自己チュウに満ちているものだ。

もう一首は、これは悲惨である。
わたしが現代に生まれていたら、はたして冷酷な社会に耐えて生き永らえていけたかどうか。
なに、結婚しないでいれば、とくに男の場合、世間はそんなに厳しいものでもないよと、忠告はできない。
いまでこそのんきなことをいっているけど、異性を恋するというのは人間の自然な本質であり、あの子と結婚したい、そのためには社会的に認められなくちゃと、わたしも底辺で蠢いたことがあるのだから。

それでもまだ生きていて、同じような傾向をもつ若者にいっておく。
絶望しやすい青春の一時期を脱しさえすれば、たとえ孤独であっても、あとは平穏無事な人生が待っていると思う。
すくなくとも、うたを詠むほどの文学青年であれば。
  生きながらえてわが人生をふりかえり
           自死したひとのうたをよむ朝

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