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2020年2月 4日 (火)

読後感バレエ・リュス

「バレエ・リュス/その魅力のすべて」という本、いちおう読み終わって返却したけど、わたしの関心をひくことがらが多く、なかなかおもしろい本だった。
とはいうものの、登場する人物については、ニジンスキーと彼の恋人だったディアギレフ以外には、アンナ・パブロワとジョージ・バランシンを知っていたくらい。
なにしろバレエ・リュスが活動したのが戦前の話で、わたしの両親すら生まれていたかどうかというむかしのことなのだ。

そういうわけでまたタブレットを手元に置き、わからないことはグーグルやウィキペディアを参考にしながら読んだ。
調べながら読むのは楽しい。
本のなかにアリシア・マルコワというダンサーの名前が出てきた。
聞いたことがない名前だけど、試しにウィキペディアに当たってみたら、彼女は英国ロイヤルバレエ団の創始者であることがわかった。
バレエ・リュスに参加していたころはまだ15歳の新進バレリーナだったそうだ。
彼女はじつは、リリアン・マークスという名前の英国人なんだけど、それがどうしてロシアふうな名前を持つに至ったのか、ウィキペディアを併せて読むとちゃんとわかるのだ。

しかしこの本でいちばん肝心な人物は、バレエ・リュスの主催者であり、プロデューサーでもあったセルゲイ・ディアギレフだろう。
彼が革新的なバレエ団をとどこおりなく運営したこと、才能ある新人を発掘するのに異常な才能を示したこと、また金策に駆けまわったことなどを知ると、この小太りのプロデューサーがいなかったら、バレエ団そのものの存在もなかったであろうこともよくわかるのである。

バレエ・リュスの活動も興味深いものだったけど、こういう裏の事情を知るのがまた楽しい。
しかしすでに世間から十二分に評価されているものについて、わたしに書けるのはこのくらい。
それより読んでいてふと感じたことを。

バレエ・リュスの舞台は、音楽や舞台美術、批評や宣伝ポスターなどにしても、新進気鋭の作曲家や振付師、文人、画家を動員した斬新なものだった。
関わった画家だけでも、ルオー、マティス、ピカソ、ブラック、ミロ、キリコ、ローランサン、ユトリロ、そして前に書いたように、わたしがロシアで知ったばかりのナタリヤ・ゴンチャロワさんなど、そうそうとした顔ぶれがならぶ。

ルネッサンスや印象派革命のように、芸術というものは、いろんな分野を巻き込んで大きなムーヴメントになることがよくある。
わたしが体験したものでは、ビートルズが登場したあとの70年代がそうだった。
あのころも音楽だけではなく、文学や絵画、映画、マンガから出版業界まで、新しいものがつぎつぎと現れた時代だった。
歴史というほど古くないから気がつかないかもしれないけど、ホント、わたしは不思議な時代に遭遇したものだなとしみじみ思ってしまう。
波乱のないおだやかな時代のように見えても、わたしが生きたのはけっして平凡な時代ではなかったのである。

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