WRCの意外
韓国にヒュンダイという自動車メーカーがある。
いや、べつにいま知ったわけじゃないけどね。
これがいまやトヨタを追い越す勢いだ、というのは韓国人の悲願であって、現実にはそうではない。
日本人ならたいていの人が、ヒュンダイがトヨタに勝てるわけがないというだろう。
世界的にはけっこう売れているといえば、そりゃ安いからさ、性能じゃまだまだ雲泥の差がある、といって安心する。
わたしは年の功だけは若いモンに負けないから、自分の経験を引っ張り出して、どこかで似たようなことを聞いたなと思う。
日本車はいまでこそ世界にその名をとどろかせているけど、せいぜい4、50年まえまでは、欧米から日本車なんぞはゴミだと思われていたのだ。
猿マネだなんだとけなされながら、ひたすら改良を重ね、気がついたら日本車に対抗できるのは、せいぜいドイツ車だけになっていた。
いい気になっているとヒュンダイに同じことをされるぞ。
こんなことをいうと笑う人がいるだろう。
じつはテレビでWRCラリー選手権の、今年前半のレースがまとめて放映されたので録画しておいた。
この選手権には、現在、日本からはトヨタだけが参戦している。
それを観て意外に思ったのは、ヒュンダイが参戦していて、しかもけっこう頑張っていたこと。
ネット上には、韓国の自動車メーカーなんてそのうちつぶれるという意見も多いけど、つぶれるメーカーがラリーに出るか。
わたしの頭のなかには、相手をバカにしているうち、いつのまにかはるか後方に追いやられた欧州車がちらつく。
韓国をバカにして喜ぶ日本人は多い。
わたしも嫌韓家のひとりだけど、日本の優位性だけをあげつらって喜んでいる嫌韓サイトなどをみると、ちょっと心配になる。
もちろん韓国と日本ではいろんな点でちがう。
日本は戦後70年もずっと平和が続き、自動車メーカーは事業に集中して改良に改良を重ねることができた。
しかも日本には伝統的に技術を尊ぶ精神があり、製品向上にひたむきに取り組む国民性がある。
はたして韓国に同じことができるだろうか。
わたしはちょっとまえ、このブログに、サムスンというのはまじめな会社ではないかと書いたことがあるけど、ヒュンダイもそうかもしれない。
おたがいにけなしあっているのは国民だけで、メーカーは日本との実力差をきちんと理解しており、なんとか追いつこうと必死の努力をしているところかもしれない。
日本のメーカーもまだまださと馬鹿にされつつ、果敢にF1やラリーに挑戦して実績を積み上げてきたのだ。
ここは冷静に、謙虚な姿勢を失わないようにと、アホな日本の国民に訴えたい。
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