韓国からの報告
図書館で「韓国・現地からの報告」という本を借りてきた。
前項で書いたように、ひじょうにイライラさせられる本である。
で、またいちゃもんをつけようと思ったんだけど、ヘタにつけると著者の順子サンから、なにさ、韓国に行ったこともないくせにとわめかれる可能性がある。
なにしろ彼女の売りが、韓国に住むジャーナリストの、現地からのナマの報告ということなのだ。
そしてわたしはもちろん韓国にいちども行ったことがない。
そのへんを突かれると困るので、いちゃもんをつけるというより、わたしが感じた、彼女への疑問を問いかけるかたちにしようと思う。
この文章の、とくに終わりのほうに疑問文が多いのはそういう理由である。
いちゃもんのまえに、韓国について書こうとというすべてのジャーナリストに、簡にして要を得た指針というものを伝授しておく。
まず韓国では、新しい大統領や政権が誕生しても、それが左右のどちらであるとに関わらず、その支持をむやみに明確にしてはいけないということだ。
就任当初こそカッコいいことをいうけど、あの国では大統領、もしくはその側近が腐敗することは、もう絶対に確実なことなのだから。
これは過去の政権を見れば一目瞭然だ。
李承晩から最近の文在寅サンに至るまで、本人、もしくは取り巻きが腐敗しなかった政権はひとつもない。
順子サンは、なぜか現在の文在寅大統領をひいきにしているようだけど、やっぱり裏切られて恥をかいているのである(本人はそう思ってないかも)。
この本にいちゃもんのタネは多い。
多いどころか、初めからお終いまで、朝日新聞やカルト宗教がよくやるような、自分に都合いい意見だけを並べ立てた本である。
とても全部あげつらってはいられないので、最初のほうでとくに目についた、前大統領の朴槿恵(クネ)ちゃんのことを取り上げてみよう。
韓国では大統領の権限は絶大だけど、これはか弱い女には手にあまる職権で、つい古くからの親友に相談してしまう。
すると相談されたほうは、大統領の親友という特権をふりまわして、当然のように利権を漁る。
ブレーンを作るというのは、歴代の大統領ならだれでもやっていることだけど、問題は、選ばれたブレーンかならず腐敗することなのだ。
そういう土壌があることが韓国の悲劇なのである。
日本で共産党の書記長(いまだれだっけ)が腸捻転かなんかでポックリ死ねば、昨日の敵は今日の友、自民党のお偉いさんが追悼の辞のひとつでも述べることはまちがいがない。
これは立場が違うだけで、どちらも国のために働いたのだというコンセンサスができているからである。
ではクネちゃんがそんなにひどい大統領だっただろうか。
立ち位置のむずかしい韓国で、彼女は彼女なりに精いっぱいそれを模索した。
それがどのくらいむずかしいかは、現職の文サンも、米国につくか独自路線で行くかでぐらぐら揺れていることでわかる。
日本との関係でも同じこと。
反日でいくか、親日にするか、移ろいやすい自国民の顔色をうかがいながら、適切な判断を下さなければいけないのだ。
フェミニストのわたしはクネちゃんに同情してしまう。
順子サンにいわせると、弾劾され、罷免されたクネちゃんが、支持者のもとへ笑顔で帰ったのがケシカランという。
自分の責任をどう考えているのかと、米国のニクソン大統領まで引き合いに出して叱責しているけど、しかしこの時点ではまだ彼女は闘うつもりでいた。
だとすれば、支持者のまえで弱気な顔を見せられないのは当然ではないか。
ましてお化粧をしていた、おしゃれをしていたと責めるようでは、順子サンてはたして女なのかと悩んでしまう。
途上国や独裁国家ならいざ知らず、わたしにはクネちゃんが、懲役20年とは信じられない。
順子サンにいわせると、この判決は裁判官の全員一致の結論だったそうだ。
だから文句はいえないということらしいけど、民主主義では、裁判官の全員一致はまず疑ってかかれというのが鉄則だ。
裁判のとちゅうでクネちゃんが、これは政略裁判だと叫んでいたけど、おそらく彼女の言い分に耳を貸す裁判官はひとりもいなかったのだろう。
どこが民主主義だ、なにが三権分立だ。
順子サンはしきりに現職の文在寅サンの肩を持つけど、彼の化けの皮も剥がれてきた。
だからわたしはいう。
韓国ではこれからも、間違いなく同じことが繰り返される。
大統領はともかくとしても、登用される政治家や役人は、右や左に関係なくことごとく腐敗する。
そしてまた弾劾だ、政権交代だが繰り返される。
ジャーナリストたる者は、早とちりをせずに、相手を慎重に見極めるべきである。
慰安婦問題に関して、順子サンが、50年もむかしに流行ったキーセン観光を持ち出したには驚いた。
良し悪しはべつにして、安く女を買える国があれば、男が大挙して押し寄せる。
これはいまでも世界中で見られる現象である。
だいたい韓国が禁止すればあり得るはずのないことだったのに、なんで日本の男だけが責められなけりゃいけないのか。
そんな男の本能に関わることを、しれっと慰安婦問題に結びつけるくらいなら、日本政府が戦地での暴力や強姦を防ぐために、慰安所を設置したということにどうして考えが至らないのだろう。
順子サンは韓国からのナマの報告をうたっているけど、現地に住んでいったいなにを見ていたのか。
韓国人と同化したいというならわかる。
彼女の思想はまったく韓国人そのものだから。
しかし、そんなことをいうと反発する韓国人もいるかもしれない。
わたしがよく読むネット記事には、べつの考えの韓国人もけっして少なくない。
このへんまで読み進んできて、わたしはわけがわからなくなった。
わたしみたいなしろうとでさえ疑問を持つ本を、頭脳明晰であるはずのジャーナリストがなんで書くのか。
ひょっとすると順子サンは、わかっていてやってるんじゃないのか。
これは韓国人の肩を持つようにみせて、じつはけなすという、逆転の発想で書かれた本じゃないのか。
だとしたらあの百田尚樹さんより、テクニックはそうとううわ手だ。
それとも、なんでもいいから話題をこしらえて、売れ行きのいい本をこしらえようという出版社の陰謀だろうか。
順子サンは筑摩書房におだてられて、ついつい調子に乗って書いてしまったのだろうか。
内容があまりむじゃきなので、読むさいは、そういうことに注意をしたほうがいいかもしれない。
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