情婦
暑い。
暑くなくても一日ひきこもりだから、あまり変わらないけど。
今日はいいネタがない(考えてる時間がない)ので、ずっとまえに書いた文章でお茶をにごしとく。
ミステリーの結果を語るのはモラル違反という説がある。
へそ曲がりのわたしは、もちろんそんなものは無視してしまう。
というのは、これから触れようとする映画は1957年の古い映画で、わたしがモラル違反だからとあいまいな説明をしておいたほうがいいか、いや、この映画のトリックは素晴らしいと、こまかい種明かしをしたほうがいいか。
はたしてどっちがいまどきの若い人たちに関心を持ってもらえるだろうということである。
うん、どうしても結末を聞きたくないという人は、この先を読まなければいいだけの話だ。
映画というのはアガサ・クリスティーの原作を、ビリー・ワイルダーが監督した「情婦」という作品である。
わたしは原作を読んでないけど、これについてはたぶん映画のほうがおもしろいのではないか。
なぜなら映画のなかにヒロインのひとり二役があって、ここはいかに映画を観ている観衆をだますかという、役者の変装ぶりにポイントがあるからである。
つまり視覚的なトリックで、文章からではこれほどみごとに引っかかったかどうか。
じっさいに種明かしをされるまで、わたしも見事に引っかかった。
しかしトリックだけで傑作というのでは監督に失礼だ。
この映画のおもしろさは、事件の裁判にとりかかるまえの、登場人物の気のきいた会話などにある。
たとえば冒頭に、いかにもたくさんの成人病をかかえたような太った弁護士が出てくるんだけど、皮肉屋の彼と、世話を焼きすぎる女性看護師のやりとりがおもしろい。
いい映画というのは背景も念入りに考えられているもので、最近のせせこましい映画ではそのへんを飛ばしてしまうものが多くて困る。
どうでもいいけど、この映画のタイトルなんとかならんかね。
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