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2020年10月20日 (火)

また「白鯨」

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あ、またわたしはまちがっていた。
というのは、今日はいい天気だったので、貸出期限のせまっていた本を返しに図書館へ行ったんだけどね。
返しに行けば、ついでにまたべつの本を借りてくるのはいつものことだ。
行き当たりばったりに借りた本に、最近はなかなかおもしろい本がない(ということは、すこしまえにこのブログで書いたことがある)。

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今日もとくべつに読みたい本があるわけじゃなかったけど、たまたま目についたメルヴィルの「白鯨」をばらばらとめくってみた。
わたしがはじめてこの本を読んだのは、忘れもしない阿部知二の訳による、河出書房の世界文学全集だった。
オンナの人ってのは初めての男が忘れられないそうだけど、なにしろ青春まっさかりのころだったので、わたしもこの本のことが忘れられない。
その理由のひとつが、文章だけではなく、この「白鯨」にはすばらしいモノクロのイラストがついていたこと。
まだ高校生の時分だったので詳しいことはわからなかったけど、これはアメリカで出版された本から転載されたものらしかった。

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で、今日もふいとイラストをながめてみた。
今日ながめたのは八木敏雄訳の岩波文庫だったけど、もちろんこれにも同じイラストがついていた。
しかも河出書房版では見たことのない絵まで。
わたしは以前にもこのイラストが見たくて、買ったばかりのべつの出版社の本を放り投げて、わざわざイラストつきの文庫を買ったことがある。
「白鯨」のイラストは、わたしが予想していたよりずっと多かったのだ。
いやいや、わたしのまちがいというのはこのことじゃない。

このイラストを描いたのは1882生まれの米国のイラストレーター、ロックウェル・ケントという画家である。
過去はともかく、現在はインターネットやウィキペディアという便利なものがあるので、わたしははじめて彼の経歴を調べてみた。
絵を描くだけではなく、政治にも鼻を突っ込んだ人だとか、いろいろなことがわかったけど、それを読んでいるうち、彼のイラストが・・・わたしはてっきり銅版画か木版画だろうと思って、以前にこのブログで「白鯨」についてふれたときもそう書いてしまったんだけど、ぜんぶペンによる直筆画であることがわかった。
ウィキペディアには、しばしば勘違いされることがあると書いてあるから、まちがえる人はほかにもいるらしい。

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これがわたしのまちがい。
まぎらわしい絵を描かないでくれると、ケントさんに文句をいっておいて、どんな絵なのか紹介してしまおう。
彼がこれを描いたのは
1930年ごろだけど、すでにマッコウクジラは垂直の姿勢で眠るということが知られていたらしい(寝ながら汐を吹くかどうかは知らないけど)。
冗談はともかく、まだ美ら海水族館のような巨大な水族館もなかった時代に、正確なマッコウクジラのかたちを画家が描いていることにおどろく。
ネット上には「白鯨」のイラストがたくさんあるけど、なかにはぜんぜんマッコウとは思えないクジラの絵も多いのだ。

追記として、岩波文庫の本には、当時の捕鯨船の構造図や、ピークォド号の航跡図まで載っていることを書いておく。
追記の追記として、コーヒー屋の
スターバックスの語源は、「白鯨」に登場する一等航海士の名前であることも。
そうではないかと、わたしはずっと疑っていたのだ。

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