新しい紀行文学
ポール・セローの「大地中海旅行」という本を読んでいるけど、わたしはほかにもやることがあるので、700ページもある本をぜんぶ読み終わってから感想をまとめていたら、いつになるかわからない。
それだけ手間ひまをかけても、原稿料をもらえるわけじゃなし、認知症の予防以外に役には立ちそうにない。
そこでひとつ新機軸を。
わたしは写真でもよくやるんだけど、誰かか送ってきた写真を勝手にトリミングして、わたしなりの新しい写真にしてしまうことがよくある。
おかげでむかしは知り合いから文句をいわれたこともあった。
しかし、文句をいった知り合いが自分の写真をおおやけに公開したようすもないし、彼もわたしと同じように歳を重ねているから、その写真は墓場のなかまで持っていくことになるだろう。
わたしが手を加えたとしても、それだけがネットで公開された彼のゆいいつの写真になるわけだ。
わたしはトリミングをしたあとが、最終的な写真作品だとこころえているので、そのていどは許されてもいいと考える。
もちろん他人の写真を商業目的で使って利益を上げるというのは言語道断だけど、ネットに上げられたおびただしい情報を、本人だけのものにしておくのはもったいないと、いつも考えているのだ。
またセローの「大地中海旅行」にもどるけど、全部読み終わるまで待つとしたら、いつになっても感想文なんて書けない。
そこで、勝手な言い分だけど、ここで紀行文学の新しいスタイルを披露してしまおうと思う。
セローは地中海の沿岸を旅して、見たもの、聞いたもの、感じたことなどについて書いている。
わたしはセローとともに旅をして(つまりその本を読みながら)、そこから感じたことをまた文章にしていこうと思うのだ。
それじゃあ感想文と同じじゃないかという人がいるかもしれない。
その範疇におさまらないのがわたしの理想なんだけどね。
現在のは世界はめまぐるしく変わっており、つぎからつぎへと新しいものがあらわれる。
自分でじっさいに現地に行ったわけでもないのに、グーグルのストリートビューと、ネットのさまざまな情報だけで、バーチャル旅行をしてみようというのは、紀行文学の新しい行き方かもしれない。
ずるいといわれるかもしれないけど、金をもらってやってる仕事じゃないのだから、まあ、ぼちぼちやってみよう。
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