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2020年11月17日 (火)

パソコンと文学

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いませっせとマイヤ・プリセツカヤの自伝「闘う白鳥」を読んでいるところ。
おもしろいので読むのもはかどる、といいたいけど、そうはいかない。
なかなか手間のかかる本だ。
原因はロシアの人名にある。
ロシア人の名前というのは、名前と名字のほかに父称というものがあって、一例をあげると、たとえばこの本にリーリャ・ユーリエヴァナ・ブリックという人名が出てくる。
まん中のユーリエヴァナというのが父称だ。
ただでさえ聞き慣れない名前なのに、本のなかでは父称が省略されたり、名字だけということがしょっちゅうある。
そのたびにこれだれだっけと、まえにもどって確認しなければならない。

読書がはかどらないのはそれだけじゃない。
いま名前の出たリーリャ・ブリックという女性に興味がわいて、彼女の経歴を調べてみる。
現代はパソコンさえあればたいていのことは調べられる時代なのだ。
ネット上には、透け透けのネグリジェ姿というリーリャさんの写真があり、そうとうにぶっ飛んだ女性であることがわかる。
そして詩人マヤコフスキーと関わりのあった女性であることがわかり、今度はマヤコフスキーについて調べる。
ロシアでは有名だけど、わたしのぜんぜん知らなかった、自殺したイケメン詩人だそうだ。

そんなこんなでプリセツカヤのことがどうでもよくなってしまい、しばらくしてからハッと我に返って、また本にもどる。
これではいつになってもはかどらない。
でもパソコンと首っぴきで本を読むと便利な点もある。

プリセツカヤが有名になり、国外公演も許可されるようになって、フランスで画家のシャガールの家に遊びに行ったときのこと。
たまたまラジオから流れてきた、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲が話題になる。
どんな曲だっけ。
と疑問に思ったときは、パソコンがそばにあれば、世界中のどんな曲でもYouTubeでたちどころに聴いてみることができるのだ。
わたしもすぐに聴いてみた。
あまりいいとは思わなかったので、バイオリンから連想して、映画の主題歌「サンライズ・サンセット」に飛んでしまった。
うん、こちらはいい曲だ。
こんな具合に脱線ばかりしているからやっぱりはかどらない。

そういうことはともかくとして、ほんとうにわたしのようなタイプの読書好きには便利な時代になったものだ。
パソコンが普及するまえは、読書中になにか調べたいことがあったら、図書館にでも行くしかなかった。
いまはタブレットをとなりに置いておけば、ヘタな図書館よりずっと多くのことを調べられる。
読み終えるのにいくら時間がかかっても、こっちは時間がありあまっているじいさんなのだ。
まあ、ゆるゆると続きを読もう。

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