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2021年2月 8日 (月)

李子柒チャンネル

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わたしが李子柒のチャンネルのことを知ったのは、彼女が中国伝統のキムチを漬けるという映像をYouTubeに上げて、韓国人からあれはうちの伝統だと文句をつけられているということがあったからだ。
キムチといえば韓国の漬け物で、わたしもそれにはべつに文句はないけど、あまり騒ぐとまずいんでねえかと韓国人に忠告したくなる。
そもそも唐辛子という香辛料がアジアに伝わったのはそれほどむかしではないし、韓国という国は戦後に生まれたもので(いまだに北朝鮮から国家として認めてもらえないくらいだ)、伝統うんぬんするほど歴史があるわけじゃない。
それに比べると中国は何千年も歴史のある国だから、なかにはひとつくらいキムチに似た伝統の漬け物があったかもしれない。
しかもそこは有数の多民族国家で、国内に朝鮮族もたくさん住んでいる。
李小姐(小姐=お嬢さん)はキムチについて、“延辺朝鮮族の伝統料理” と正直に書いているくらいだから、キムチが韓国(朝鮮)の伝統だと主張するのは、そのまま中国の伝統であるといってるのと同じではないか。
どっちにしても韓国と中国のゴタゴタは、いつもいちゃもんをつけられている日本人には安心してみていられる話題だ。

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ところで李子柒チャンネルについてだけど、じつに丁寧に、手間ひまかけて作られていて、カメラや編集に専門家スタッフを使っているんだろうなあと思わせる。
被写界深度を駆使した撮影と、それが醸し出すしっとりとした画面の味わいなんて、そんじょそこいらの素人ユーチューバーにできることじゃないよ。
それ以上にコンセプトが素晴らしい。
この映像の背景になっているのは古くからの中国の田園風景で、上海や北京のような先端都市は出てこない。
李小姐はモンペみたいな野良着にゴム長で、鎌や鍬をふるい、牛をひいて耕作に励んだり、泥だらけでレンコンを収穫したり、ソバの実を天日にさらしたり、ザリガニを獲って料理して食べたりする。
建物や家具や小道具にしても、使い古して黒光りするタンスや土のカマド、人力で動かす脱穀機や石臼、ま四角な中華包丁、雑種の子犬やニワトリなど、わたしの世代には郷愁を誘われるものばかりだ。
これだけじゃダサくなってしまうところを、ファッションにして生活様式にしても、さりげなく現代的なものが取り入れられ、李小姐は羊の毛でマントを編んだり、自分のドレスを葡萄の汁で染色したり、野良着でさえ若い女の子から見てもカッコいいものになっているのだ。
ようするに先進国の住人が興味をもつ中国の生活を、徹底的に美化して映像化しているわけだ。

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バカいってんじゃねえよ。
当時の中国の農民にそんな余裕があるようには見えなかったぞ、田舎に花なんか咲いてなかったぞ、自家製ビールを飲むシーンがあったけど、中国人てビールを飲んだっけと、30年まえに中国に行ったことのあるわたしには、突っ込みをいれたくなる部分もあるけど、この映像からは中国の農村がまるで桃源郷のように思えてしまう。
ようするにこれが李子柒チャンネルのコンセプトだな。
しろうとが作った映像があふれるYouTubeで、こういう手間をかけたチャンネルが人気を得ることは歓迎すべきだし、こうやって正攻法で来られると、ただ声を張り上げるだけの韓国はそのうち押し切られて、キムチも中国発祥の漬け物ということが、世界の常識になってしまうにちがいない。

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