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2021年6月12日 (土)

積みすぎた箱舟

いまつぎの企画の準備に大忙しというところだけど、そのまえに読んでおきたい本があって、今日図書館で借りてきたのは、ヨーロッパの動物園に頼まれて、アフリカでめずらしい動物を捕獲することに “命をかけた” ジェラルド・ダレルという動物学者の「積みすぎた箱舟」という本。
彼がアフリカに出かけたのは1947年というから、おお、だれかさんの生まれた年じゃないか。
そんなことはどうでもいいけど、半分ぐらい読んだ感想をいうと、これは日本でいえばムツゴロウこと畑正憲さんの動物記や、ハドソンの「ラ・プラタの博物学者」のような、そういう分野に興味のある人には楽しい本だった。
ひところはわたしもこういう本を熱心に読んだもんである。

このころはまだ西欧でもアフリカの情報がいまほど十分ではなく、ヘミングウェイのような作家が、ライオンやゾウなどの動物をやたらにぶっ殺していた。
ダレルは動物学者だから、そんな残酷なことはしない。
彼はどっちかというと小動物専門で、密林に分け入ってヘビやネズミや小型のサルなど、まだヨーロッパではめずらしかった動物を捉まえていた。
しかし現在の基準でみると、命をかけたという言葉がオーバーでないくらいムチャなことをしている。
ヘビやコウモリなどの小動物を捕まえるのに、ワナや網を使ったとしても、最終的にはほとんど素手で扱ったようだ。
おかげで体中、噛み傷やすり傷だらけだったというんだけど、医療設備も万全でなかった第二次世界大戦直後のアフリカから、よく生きて帰れたなと思ってしまう。
コウモリに食べられちゃうことはないにしても、野生動物は狂犬病のような病原菌を持っていることが多いので、噛まれれば傷口が感染症の原因にはなることはあるのだ。
現在のコロナウイルスの蔓延をみて、つくづく危険なことをしたものだなと思ってしまった。

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