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2021年8月17日 (火)

アフガニスタン

アフガニスタンの首都カブールが陥落した。
数日まえからこうなることはわかっていたから驚かないけど、カブールを制圧したのはあのタリバンだ。
厳格なイスラムの教義を他人に押しつけて、文句をいわせない偏屈な原理主義者たちである。
女性のチャドリが復活し、恋愛も不倫も禁止、豚とアルコールとエロ映画も禁止、偶像崇拝も禁止、凧あげも禁止、女性の教育禁止、あれも禁止、これも禁止、アメリカにあるものはなにがなんでも禁止と、またこんな非常識な法律を人々に強制しやしないかと心配だ。
それにしたってカブール陥落がオリンピック終了後でよかった。
これがオリンピック開催中だったら、選手・役員は帰るところがなくなって、全員が日本亡命を申請していただろう。

しかしわずかながら、わたしは希望の火をともしている。
タリバンはもともとは神学校の生徒たちだったというから、まったくの無学な輩ばかりではないだろう。
そんな彼らが苦労しつつも、最新鋭の兵器を使う米国との戦争に耐えて勝利を収めた。
これはベトナムのときの状況によく似ている。

ベトナムでは戦争が終わったとき、有無をいわせない強引な共産党政治が始まり、一般市民の大量虐殺が行われるのではないかと危惧された。
中国系の民衆は恐怖にかられて、ボートピープルとなって大量に海に浮かんだ。
しかし陸に残った人々も、心配したほどたくさん殺されたわけではなかった。
西側諸国が思うほどベトナム人は残酷ではなかったのだ。
これは勝者の余裕だったのか、それともベトナム人は特別に理性的だったのだろうか、あるいは損得を秤にかけた結果だったのか。
そのへんの理由はわからないけど(わかろうとしても1円にもならないので)、考えないことにして、この先のことを考えよう。

ベトナムのようにトップの力が強く、まとまりがあれば、アフガンでもトップ次第でおだやかな統治に移行できるかもしれない。
しかし現在のタリバンの指導者はハイバトゥラー・アクンザダさんといって、写真で見ると、もう煮ても焼いても食えない因業っぱちの左翼主義者みたいな人だ。
おまけに彼らはさまざまな部族のより集まりで、トップの命令が下部組織に正確に伝わっているとはいえない。
マララはどこだといって、幼い少女に銃を乱射するようなはねっかえり兵士もいるのだ。
こういう連中が権力をにぎると、自分たちの取り分をめぐって、すぐに仲間割れを起こす可能性もあり、現時点ではやはり彼らのやさしさに期待できそうもない。

アメリカではアフガンを見捨てたということで、バイデンさんを非難する声が大きくなることは、あっても、小さくなることはないだろう。
するとバイデンさんの立場はますます厳しいものになり、国民の民主党離れをふせぐのと、自らの求心力を維持するために、ますます中国いじめに拍車がかかる。
すると中国は、これが米中協調の時代なら、中国もイスラム勢力の浸透をふせぐために米国と協調できないこともなかったんだけど、意地でもアフガンを支持せざるを得ない。
東欧や中東諸国にウケがいい日本だって、旗幟を鮮明にしないわけにはいかないから、のんびりあのへんを旅行できなくなる。
アメリカ国民がしっかりしてくれないと、アフガンの夜明けはいつまでも来そうにないし、わたしみたいな旅行愛好者も迷惑なのだ。

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