日本の代表的景色
YouTubeを見ていたら、とある中国人のむいむいという娘が、「外国人が見た日本を代表する風景」という映像をアップしていた。
ヒマだから、あくまでヒマだから、これにいちゃもんをつけて遊ぼう。
日本を代表する風景のその1として、最初に河川敷というものが出てきた。
河川敷は外国人(中国人)が見ると日本を代表する景色になるらしい。
それでは中国には河川敷なるものは存在しないのだろうか。
わたしは開封という古都に行ったとき、黄河を見に行ったことがある。
河川敷はあったけど、ヤギがそのへんに繋がれているくらいで、ほとんど天然のまま、草ぼうぼうの河川敷だったから、日本のように公園やグランドのある河川敷はめずらしいのかもしれない。
つぎに鳥居が出てきた。
赤い鳥居のある風景は確かに中国にはない。
しかしこれは紅衛兵が廃仏毀釈を徹底したせいで、それさえなければ中国だって鳥居に代わるなにかがあったはず。
わたしは新疆ウイグル自治区でたくさんのモスクを見た。
宗教を大切にする国は多く、イスラムなら尖塔、キリスト教国には十字架というように、たいていの国には日本の鳥居に代わるなにかがあるものだ。
桜が満開の景色というものもあった。
日本はサクラを植えて植えて植えまくったから、サクラが多いのも当然だけど、そんな日本をうらやましがって、最近では中国でもあっちこっちで花の並木が作られている。
わたしが初めて中国に行った1992年ころは、農村に行ってもめったに花なんか見なかったものだけど、これではそのうちお株を取られ、日本人が大挙して中国に花見に行く時代が到来するかもしれない。
電信柱のある風景というのもあった。
え、中国には電信柱がなかったっけ?
そういわれるとあまり電信柱の記憶がないけど、これはむしろ東南アジアのほうに目立つ風景のようだ。
一本の電柱に蜘蛛の巣のように電線がからみついているのは、どっちかというとタイやフィリピンの風景ではないか。
踏切も出てきた。
はてね、中国に踏切がなかったっけ?
いいや、踏切はたくさんある。
中国は鉄道王国だから、わたしはあちこちで踏切を渡った記憶がある。
ただし日本のような、正確な信号機がついて、無人で自動的に遮断機の下りる踏切はめったにない。
列車の時間も不正確だから、はじめてシルクロードを旅したとき、とある踏切で延々と待たされている車の列を、列車の中から見たこともある。
河川敷の続きみたいだけど、グランドで子供たちが野球をしている風景もめずらしいという。
これは中国では野球がまだめずらしいスポーツだからだろう。
大谷翔平の活躍を見て、アジア人でも白人や黒人に勝てるスポーツというので、これからは中国が乗り出してくる可能性はありそう。
サラリーマンがたくさん乗っている電車というのもあった。
現在では中国にもサラリーマンが増えていそうだけど、通勤用の列車の本数は多くないし、それに代わるべき路線バスなら、客がドアに手をはさまれたままぎゅう詰めで走っているバスを見たことがある。
ひところは上海あたりでも自転車の洪水だったけど、いまはどうなんだろう。
にぎわう夜の飲み屋も中国にはめずらしいらしい。
会社帰りにイッパイやるサラリーマンが少ないというより、これは日本みたいに気楽に入れる飲み屋が少ないせいだな。
あちらではレストランが一般的で、中にはけっこう混雑している店もあったから、需要は多いと思われる。
むかしの西安には夕方になると、道路のはたにずらりと屋台が並んだ。
あれなんか飲み屋をしたら繁盛しそうだけど、客より屋台のほうが多かったくらいだからなあ。
ラーメン屋の行列。
中国で行列が少ないとしたら、考えられる理由はふたつある。
ひとつは本場のくせに行列するほど美味い店がないことで、もうひとつはアホな日本人が増えていることだ。
誰かがこの店のラーメンは美味いと口コミに書いたりすると、味覚音痴の日本人がわっとその店に殺到する。
だから日本ではラーメン屋の行列が増えるけど、相対的に中国では少なく見えるのではないか。
味覚なんて個人でさまざまなんだから、他人の情報なんかあてにするなと、わたしかいくら警告しても蟷螂の鎌みたいなものだ。
わたしもむかし、青森で変な寿司屋に入ってしまって、口コミ情報の重要さを認識したことがあるけど、あれは美味しいがどうかというより、まともな店かどうかという問題だった。
いま考えても腹が立つ。
ゴルフの練習をするお父さん。
そもそもゴルフをするほど中国は豊かではないし、と書こうと思ったけど、日本はどんどん貧しくなり、ゴルフ場の閉鎖、若者のゴルフ離れが続いているのに対し、中国はますます豊かになっているとしたら、この人口グラフの線はいつかどこかで交わるはず。
そのとき中国も夜中にクラブを振りまわすお父さんが増えるかもね。
見栄っ張りの多いことにかけては韓国と双璧の国だから。
お終いは、逆に中国らしい風景ってなんだろうというもの。
わたしがまっ先に思い出すのは、だらーっと伸び切った下着とパンツ姿で街角にたたずむおじさんたちだ。
夏の暑い晩にエアコンのない部屋にいられなくって、だらしないおじさんが屋外で夕涼みしている光景は、これこそ中国ってなもん。
昭和の日本人も、ステテコでホテルの中をうろついてイヤがられた過去があるから、これは日中で共通した民族の特性かもしれない。
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