エリナー・リグビー
YouTubeでビートルズについて調べたら、それ以来ビートルズに関する映像がぞろぞろ出てくる。
そのほとんどはユーチューバーが勝手に自分の考えを映像にしたものだけど、あらためて彼らの人気ぶりにおどろいた。
といっても誰もおどろかない。
それほどビートルズというのは、あらゆる世代を通じて、まだ生まれていなかった子供たちも、じいさんばあさんから話を聞いて、また新たなファンになっているのだから。
彼らが忘却の彼方に消える日が、そんな日が生きているあいだに来るのがどうか、わたしにはわからない(残りの人生を数えるとそりゃなしだな)。
こういうグループと青春を共にしたわたしの、ピンポイントのごとき幸運に感謝するばかりだ。
YouTube の映像の中に、わたし(あるいはボク、もしくはオレ)の選んだビートルズのベスト10なんていうものもあった。
たいていの音楽にいえることだけと、これこそ本人の主観であって、その人の選んだ曲が他人にもベスト10であるとは限らない。
人間が百人いれば百のベスト10があるわけだ。
そう断ったうえで、これはわたしの主観だけど、「エリナー・リクビー」という曲が出てこないベスト10というのは、わたしにはどうも信用できないのである。
ビートルズの曲の中で、「I Am the Walrus」という曲があって、これは何度も聴いているうちに、じわじわとその良さが伝わってきて、最終的にベストに加えたくなった曲だけど、「エリナー・リグビー」は、アルバム『リボルバー』で初めて聴いた瞬間から、素晴らしいと思った作品である。
わたしは長調と短調の区別もつかない音楽オンチだから、これは直感としかいいようがない。
しかるに他人の選んだベスト10を眺めると、この曲が取り上げられているものは少ないような気がする。
なぜかというと、ポールの独演会であるところへ持ってきて、オーケストラのストリングスなんか使ったその曲調が、どうも万人が認めるところのビートルズらしくないからじゃないか。
残念に思っていたけど、この曲はアニメ映画「イエロー・サブマリン」で、いちばん目立つところに使われていた。
社会の不条理を告発するような、シルクスクリーンを多用したきわめて印象的な場面だった。
映画を作ったのはアニメの詩人といわれたジョージ・ダニング(故人)である。
やっぱりわかる人にはわかるんだねと、同調者に出会ったような気分でホッとしたものだ。
| 固定リンク | 0
コメント