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2022年3月

2022年3月31日 (木)

今年のサクラ

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今年のサクラは小金井公園より。

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今年の清瀬市の緑地保全地域のカタクリ。
去年のこのブログでは18日には満開だったのに、今年は遅い。

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2022年3月30日 (水)

プロパガンダ

ネットニュースを眺めていたら、中国は情報を遮断して、国民に真実を知らせないという記事があった。
その割には、わたしの中国人の知り合いは世界のこともよく知っていて、わたしのブログも読んでいたし、「中国人モンちゃん」の映像も観られるといってたけど、彼女だけなにか特殊な情報入手の方法があるのかも知れないから、情報遮断という点は認めることにしよう。

今朝のネットニュースを見ておどろくのは、あいかわらずデマやプロパガンダが多いこと。
デイリー新潮がソースの記事に「子供、妊婦、新生児を虐殺するロシア軍、まるで『地獄の黙示録』」というものがあった。
新潮っていったらあの新潮社でしょ。
どっちかというとわたしの好きな出版社だけど、これってまるっきりのデタラメでしょ。
デタラメでなければ、ウクライナか米国が発信したニュースのまる写しでしょ。
だいたい「地獄の黙示録」に描かれた残虐行為そのものが、アメリカの引き起こしたベトナム戦争が舞台なんだぜ。
しっかりしてくれよ、新潮さん。

わたしはロシア国内の実情がわかるニュースはないかと注意しているんだけど、これはなかなかむずかしい。
たとえば公平で客観的であるはずのNHKニュースにしても、あ、これはウクライナ側の撮影した映像だ、あ、これは米国のテレビ局が流したニュースだということで、ロシアからのニュースがほとんど入ってこない。
先日ロシアのテレビ局で女性が反戦プラカードをかかげたというニュースがあり、プーチンの側近が造反したなんて報道もたまにあって、お、これはと期待したけど、100人のなかにひとりかふたりでもそういう人間がいれば、アメリカの報道局が大喜びでそればかり強調することは目に見えている。
本当に注目しなければいけないのは、反戦プラカードの女性や、造反した側近のその後であって、彼らが問答無用でシベリア送りか、粛清されたのならともかく、いまんところ仕事をクビになったくらいで済んでいるようだ。
さらに注目すべきは、そんな映像がどうしてこちら側にすんなり伝わったのかということで、これはロシアのテレビ局内にも反戦活動家がいることの証明になるだろう。
さらにさらに注目するなら、アメリカにもアサンジ君のような異端児はよく登場するものだから、ロシアもアメリカ並みの開かれた国になったことの証明にならないか。
ここまで深く注目すると、いささかこじつけがましいから止めておくけど、わたしが知りたいのは、ロシア人全体で、プーチンを嫌う人、反戦を叫ぶ人の割合がどれほどいるのかということである。
あいにく信頼するに足るそんな報道が見つからないのだ。

現在は情報操作の時代ということで、戦争もまったく新しいかたちになってきた。
米国はちょくせつ参戦せずに、プロパガンダだけでロシアを追い込むことができる時代なのだ。
ひとつみなさんに聞きたいけど、ロシアにしても中国にしても、プーチン以降、鄧小平以降に、侵略戦争をひとつでも起こしたことがあるだろうか。
あったら教えてほしいや(同じことをアメリカもしてないかよく考えたうえで)。
にもかかわらず、ロシアは新しい帝国の建設を目論んでいるというニュースも目にすることがある。
ロシア一国だけでそんなことが可能かどうか議論されたこともないのに。

情報戦というのはこういうものだ。
なにをいっても、いくらグローバル大国になろうと努力しても、まわりは共産主義の独裁国家であるとしか見てくれない馬鹿ばかりとしたら、ロシアや中国がこちら側の情報を遮断したくなるのももっともだ。
こういう時代に大事なのは、私たちのひとりひとりがもっと賢くなり(ついでに疑い深くなり)、溢れるプロパガンダに踊らされないようになることしかない。
国の分裂を防ぐ方法が、他人を悪者扱いすることしかないとすれば、米国の落日は始まっていて、もはや止めることはできないと岸田クンに教えてやらなくちゃ。

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2022年3月29日 (火)

愚行の記念碑

やれやれ、世界でゆいいつのロシアに理解をしめすブログになっちゃったかな。
昨夜もNHKニュースを観ていたら、ロシアが核兵器や化学兵器を使うんじゃないかと憶測ニュース。
危機をあおって、昼間のバイデンさんの失言をもみ消す算段らしい。
公共放送のNHKがアメリカの肩ばかり持つのは不公平だから、米国大統領の失言と、それでわかった彼の本質を、忘れないようわたしのブログにはきっちり書いておこう。

アホなやつだよ、バイデンは。
といいたくなるバイデンさんの失言。
ロシアのプーチンを名指しで、虐殺者だとか、ああいう男が権力の座にとどまってはいかんという発言をして、ヨーロッパの首脳たちからたしなめられ、大慌てで取り消していた。
北朝鮮の正恩クンのような絶対的独裁者ならともかく、正式に選挙で選ばれて、それなり国家のために尽くしてきた大統領にこんなことをいえば、厭戦気分になっていた(かもしれない)ロシア国民を団結させてしまうだけだ。
ロシア国民がひとつにまとまれば、そんじょそこいらの制裁にネを上げないことは、第二次世界大戦が証明している。

まあ、ぽろりと本音が出ちゃったんだろうけど、ようするに冷戦時代や、赤狩りやマッカーシズムの嵐が吹き荒れていたころの、反共精神が抜け切れてないんだろうな。
米国の国内では対立する民主党も共和党も、社会主義が大キライということで共通していて、もはやロシアも中国も、かっての社会主義国ではないと何度いってもわからない。
こういう人は日本にもいる。
骨の髄まで旧弊な考えが染み込んでいて、臨機応変の対応ができなくなっているのだ。
老害の一種だろうか。
それとも反共が商売の人なんだろうか。
わたしも年寄りだけど、時勢に合わせてころころと考えを変えるぞ。
現代のように変化の速い世界では、そういう考えのほうが重要じゃないかね。

いずれにしてもわたしにはプーチンのほうが、オリガルヒとのきびしい闘いを勝ち抜き、ロシアのグローバル化を導いた尊敬すべき指導者だと思えるのに対して、米国大統領というのは国内のポピュリストをだまくらかして、その地位に登りつめただけのノータリンにしか見えない。
民主党というのはトランプさんの共和党よりマシかと思っていたけど、バイデンさんを見ていると、やっぱりどっちもどっちだ。
戦争がどう終結しようとも、わたしのブログは永遠に彼の愚行を伝える記念碑になるだろう(わたしが生きてニフティに金を払えるかぎり)。

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2022年3月28日 (月)

沖縄/アホウドリ

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笹森儀助は国粋主義者である。
といってもおどろくことはない。
現代のわたしたちから見ると、明治時代の日本人は多かれ少なかれ国粋主義者の傾向があった。
つまり天皇や皇室を敬うということである。
たまたま儀助が沖縄探検に出ていたころ、北白川能久殿下という皇族がやはり沖縄に巡行にやってきた。
殿下であるからおろそかにできない。
もっとも殿下のほうも、暑いからといって肌ぬぎにもなれまいから、敬うほうも敬われるほうも待遇はトントンだった。

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能久殿下の御成りである、琉球王朝に連なる門閥や、地方高官はみんな宿舎に挨拶に来るようにとお達しを出したら、だれも来なかった。
殿下が乗るために旧王家で使っていた駕籠を借りようとしたら、いま空いていませんといわれてしまう。
そのくせ殿下が出発する日になると、やっと空きましたといってくる始末。
どうも明治維新の廃藩置県で特権を奪われた上流階級は、みんな腹のなかではおもしろくないと思っていたようだ。
このへんは特権を奪われて日本を逆恨みした韓国の両班と同じ心境だったようである。
韓国人は見栄っ張りだから、独立後は一般庶民まで、いつのまにかみんな両班だったといいだして、全員が反日主義者になったけど。
沖縄県人の見栄っ張りもそうとうなもので、門閥のほとんどは貧乏人のくせして、むやみに駕籠に乗り、虚勢を保とうとしていた(と、これは儀助の本に書いてあることである)。

ただし、おもしろく思わなかったのは上流階層だけで、沖縄の一般庶民はすなおに殿下を歓迎していた。
まえに書いたけど、廃藩置県の後は税制などもすっきり公平なものになり、庶民の負担は軽減されたからだろう。
しかも日本の皇室は沖縄県民のこころをつかむために、能久殿下も庶民を公平に扱い、貧富の区別もなしに話を聞き、巡行中の昼食には県民と同じサツマイモを食べるといった努力もした。
中国や韓国ではこんなことはありえない。

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巡行を終えた能久殿下は軍艦大和で帰京した。
それはいいけど、軍艦大和って明治時代にもあったのかと、驚いて調べてみたら、太平洋戦争で撃沈されたのは同じ名前の2番艦だった。
最初の大和は明治20年に竣工され、日露戦争にも参戦した、蒸気機関つき3本マストの機帆船である。

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儀助の宿に某氏がやってきて・・・・“某氏”というときはたいていおおっぴらに話せないことが多いんだけど、沖縄の県情について報告してくれた。
沖縄県庁には無能の輩が多いけど、ここでは年功序列が当たり前になっていて、長く勤めれば自動的に昇進するせいです。
有能な役人を求めたければ、古いしきたりを改めなければいけないと。
この某氏というのは儀助と同郷で、国頭役場の所長である笹田柾次郎という人である。
せっかく名前を秘しても、後注を読めば読者にはすぐわかってしまうのである。

儀助が県庁に行って、道路の増設などを提言していたときは、書記官がおもしろい話がありますよと言い出した。
あなたが無人島について知りたかったら、ちょうどいま騙されて無人島に置き去りにされた島民が、なんとか本島まで帰りついて、雇用主を訴訟中ですから、話を聞いてみたらどうですか。

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騙された島民というのは、中国と日本が領有権を争っている尖閣諸島で、アホウドリの羽毛採集に従事していて、雇い主にそのまま島に置き去りにされたのだそうだ。
むかしはこんな事件もたくさんあったようで、悪徳雇用主は、アホは死ななきゃ治らないとでもほざいていたことだろう。
ところがあとから島に夜光貝採りの舟がやってきて、騙された島民たちはかろうじて飢え死にをまぬがれ、それに乗って帰ってきた。
このあとどうなったのか儀助の本には書いてないけど、日本は当時から法治国家だったから、雇用主は殺人未遂で勾留に加え、でっかい慰謝料と、島民たちが夜光貝採りの舟に約束した200円の船賃まで払わせられたのではないか。
天網恢々、疎にしてもらさずの好例である。

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わたしには尖閣諸島のアホウドリのほうに興味がある。
アホウドリは伊豆の鳥島などにもいたけど、乱獲によってすがたを消し、最近の復活事業でようやくぽつぽつと数が増えてきたところである。
なぜ乱獲されたのか、アホウドリって食べると美味しいのか、という人はいまどきいないだろうけど、以下のサイトに理由が書いてある。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/7780?page=2

復活事業というのは、無人島のアホウドリの生息地とおぼしき場所に、アホウドリを模したデコイという人形を置くことだった。
地表に置いてあるデコイを仲間だと思い込み、先着の仲間がいることに安心して、本物のアホウドリも営巣を始めるのである。
この方法で小笠原諸島の聟島などで数はじょじょに復活しており、なかには人形に向かって求愛行動をとるものまでいるというから、ん、やっぱり“阿呆”鳥だな。

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わたしはむかし自衛艦に乗り組んでいたころ、大きなつばさの鳥が、1羽だけで海面すれすれに飛翔するのよく見かけたものだった。
それをアホウドリだと勝手に思い込んでいたのは、この鳥の名前にひじょうにロマンチックなものを感じて、わたしはいつか実物を見てみたいと念願していたからである。
しかし当時からもうこの鳥は絶滅危惧種だったから、じっさいにはほとんどがオオミズナギドリだったようだ。
アホウドリとオオミズナギドリでは大きさがぜんぜん違うけど、まだわたしはバードウォッチャーではなかったし、海の上で遠くから見ると、大きさなんてわからないものである。

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これはイスタンブールで泊まったホテル・アルバトロスと、その看板で、アルバトロスもアホウドリという意味だ。

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儀助はブタの屠殺場を見学した。
じつに手際がよく、この日いちにちのブタの屠殺数は211頭で、肉食の西洋人も驚くほどの名人芸だったという。
明治時代にこの数ということは、ブタ肉は沖縄の重要な輸出産業だったのかしら。

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儀助は沖縄の資料を調査している役人に、琉球王朝の家系について尋ねてみた。
すこし前から舜天王のことを調べているんですが、伝説ばかりで確かなことはわかりませんねという返事である。
尚王朝の系統については三つの説があって、これこれがしかじかということで・・・・
そんな説明を訊いてるうち、琉球最古の正史「中山世鑑」なる書物が話題にのぼった。
正史というのはその国の歴史をつづった本ということで、たとえば司馬遷の「史記」なんかもそうだけど、たいていはそれを編纂した当時の王朝をたたえる内容になっているから、全面的に信用するとバカをみる。
しかし王朝にしてみれば、これがないと、まるで自分たちのアイデンティティがないみたいでみっともない。
そこで尚質という王さまが、羽地按司の向象賢(しょうしょうけん)という知識人に命じて、日本語で編ませたのが「中山世鑑」だそうだ。
漢文ではなく日本語という点が気になって、よく見たら、編ませたのは慶安3年だった。
これは1650年で、日本でいえば柳生十兵衛が死んだ年・・・といってもわからないだろうけど、つまりすでに徳川幕府の時代で、琉球はとっくに薩摩藩の勢力圏に組み込まれていた。
大国の中国(清)と強国の日本にはさまれて、どっちの機嫌もうかがわなければならなかった琉球は、とりあえず日本語の正史を作ったわけである。

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それでも中国の使者である冊封使もたまにやってくる。
中国の顔も立てなければいけない琉球は困惑し、「世鑑」をもとにした「中山世譜」という漢文の正史もあらたに作って、中国にはそっちを見せてごまかすことにした。
いちばん信頼できるのはオリジナルの「世鑑」で、「世譜」はそのコピーなんだけど、琉球の王族のなかには日本に反感をもつ者もいて、できることなら漢文のほうを尊重したい。
ややこしいところへもってきて、関連書物として「文献通考」なんていうものまで出てきて、こちらは中国から見た琉球王朝の歴史ということで、内容は「世鑑」の記述を引用している。

ようするにどれも琉球王朝の歴史といっていいものだけど、いくらわたしのブログが人気がある?といっても、そんな固っ苦しそうな書物に興味を持つ人は、アクセスせいぜい100人の読者のなかにいそうもない。
それでさっと流すつもりで、これらの本にいちおう目を通してみたら、おかしな記述が目についた。
・・・・討ち死にした者があるときは、人々が集まって死人の肉を喰らう
豚肉の間違いじゃないかとよく見たけど、「文献通考」には以下のようなことが書かれていた。

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琉球は泉州(中国福建省の都市)の東にある島で、彭湖という湖が、しかじかかくかく・・・・よく知らないけど、台湾と間違えてないかと、浅学のわたしは心配になる。
以下の記述もわたしが知っている琉球のものではなく、台湾の高砂族に似ている。
この島の住人は戦争を好む人たちで、しょっちゅう部族間で闘い、死者が出るとみんなで集まって、その死肉を喰らう。
文字というものは存在せず、月の満ち欠けをもって時節を知り、草木の枯れるのを見て年が改まったことを知る。
鉄を産しない国なので、刀や槍は小さなものしかなく、武器には動物の骨などを使用し(おまえは『2001年宇宙の旅』のヒトザルか)、麻布を織ったものか、あるいはクマ、ヒョウの皮の鎧を身につける。
君臣に上下の礼はなく、男はヒゲを生やさず、女は手に虫や蛇の入れ墨をしていて、風習は、どっちかというと突厥(中国北方の蛮族)に似ている。
などということが6ページにわたって書いてある。
いくら中華のまん中にいる中国人が書いたにせよ、これじゃ琉球はまるで原始人の国じゃないか。

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どうも南海の離島の住人というと、人肉を喰らうというのが世界的に通説になっているらしく、ロビンソン・クルーソーの物語にも人間を食う原住民が出てくる。
中国の「史記」は、まだ伝説や迷信が大手をふっていたキリスト以前の書物(木簡)だから仕方ないけど、徳川時代という、まだ比較的最近になって書かれた書物にまで、中国以外は野蛮人だという中華思想がつらぬかれているには閉口した。
このへんはまだ、人間になったばかりのチンパンジーまで遡って書いてあるんだろうと、沖縄県民の名誉のために、話半分で聞いておこう。
ちなみにチンパンジーは、ときどきほかの種類の猿をつかまえて食べる動物である。

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2022年3月27日 (日)

おとなと子供

朝日新聞のニュースサイトに、なぜロシア軍は制空権を奪えなかったのかという記事が出ていた。
最新の記事というわけじゃないけど、なぜだろうと全文を読んでみようとしたら、途中から有料記事になってしまい、そこまでして読みたい記事ではないから、あとはわたしが補足することにした。

そもそもロシアとウクライナの戦争はおとなと子供の戦争だった。
ロシアにしてみれば子供をたしなめる程度のつもりだったのに、相手は親のこころ子知らずで本気を出す。
さらにアメリカが支援を始めて、相手はますますやる気を出すから、ロシアとしても戦争がしだいにエスカレートしないわけにはいかない。
ロシアが最初から本気を出していれば、制空権はロシアのものだっただろう。
現在でもロシア側にはいくらか腰がひけたところがあるのに比べ、ウクライナのほうは徹底抗戦の構えだ。
こういうガキを応援するよその家のおやじがいちばん悪いのだ。

しかしプーチンだって世界大戦は望んでいなかっただろうから、ウクライナ相手に最初から本気を出さなかったというのは、けっして責められることじゃない。
朝日新聞の記事の続きにも、制空権を取れなかったのはそういう事情だったと書いてあったのかもしれないけど、金を払いたくないから、わたしは読んでないのだ。

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2022年3月26日 (土)

YouTubeさん

前項で鈴木宗男サンのことにちょっと触れたけど、YouTube上には彼を非難する映像がたくさんある。
ほとんどが、ウクライナ擁護とはいえないまでも、被害者であるという見方に留保的な考えをする宗男サンに対して、文句をいう意見ばっかりだ。
どんな内容なのかと、そのいくつかを見てみたけど、大半がウクライナという国の現状も知らず、プーチンの実像も知らない、薄っぺらな見方の映像ばっかりだった。
ゼレンスキーさんてワイロ漬けの社会を正そうとしたことがあるだろうか。
アメリカがいじめられるウクライナを、善意だけで支援していると思っているのだろうか。

いまや日本のかたすみの、一介の個人でさえ世界に向けて意見を述べられる時代になった。
いちばん大きな問題は、おろかで単細胞の人たちが、YouTubeで客観的とはいえない個人の意見を発信できることだ。
YouTubeは世界を知るための強力な道具であると同時に、人間の判断力をいっそう迷わせる困った兵器ともなった。
最近ではテレビより YouTubeをあてにする若者が増えているそうで、これではなにがなんだかわからないという者も増えてしまうだろう。
わたしからのお願いだけど、公平で客観的ではない映像は、ウィキペディアのように、“信頼性に問題があります”というマークでもつけてくれないだろうか。
ついでにオンナの子のいやらしいサムネイルで引っかけようとする映像も取り締まって欲シイ。

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2022年3月25日 (金)

現代ビジネス

夜のニュースを観たら、ロシア軍がマリウポリを制圧したとのこと。
ウクライナ市民のおじさんが、あそこにあった家が爆撃でなくなったとぼやいていた。
子供を連れたおばさんは、避難している地下鉄のホームで、子供が可哀想だと嘆いていた。
でも、ひょっとするとこの市民の発言にはまだ続きがあったかもしれない。
「うちの大統領(ゼレンスキーさん)はいいかげんに戦争をやめてくれないかな」と続けていたかもしれない。
それでは厭戦気分が蔓延しているみたいだから、発言の後半はカットしたのかもしれない。
こうやって疑い出すと、なにが真実なのかさっぱりわからないけど、これがプロパガンダというものだ。
人間の発言なんて、切りようでなんとでもなるのである。

ネットニュースを見ていたら、「現代ビジネス」というサイトがわたしと同じ考えであることがわかった。
あまりにもウクライナに同情する意見が多いけど、はたしてそれでいいのかということである。
記事のなかではゼレンスキーさんのことを、どうして戦争をやめようとしないのかと疑問を呈していた。
犠牲者を増やすまえにどうして話し合いをしなかったのかと。
まさかわたしのブログを読んだわけじゃあるまいけど、ほかにも国会議員のなかにでさえ、おかしいんじゃないかと、アメリカのやり方に疑義を発言する人が増えてきたような気がする。
ロシア通の政治家、鈴木宗男サンも、ウクライナが被害者という意見には留保的である。
いい傾向だ。
ぽつりぽつりだとしても、そうした発言ができるようになったというだけで、以前より進歩だ。

ただ「現代ビジネス」って、あの「週刊現代」と同じ出版社かい。
現代ビジネスのべつの記事には「プーチンが崖っぷちで、中国・習近平まで追い込まれている理由」というものがあった。
ネコの目のようで、ぜんぜんスタンスが決まらないから、やっぱり売らんがための出版社かいと思ってしまう。
わたしは講談社という出版社が好きじゃないんだけど。

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2022年3月24日 (木)

むかつく

今日の昼のニュース(NHK)でも、ロシアのオリガルヒはと、まるでロシアだけにオリガルヒが存在するような言い方である。
ロシアのオリガルヒはプーチンのコントロールが効いているから、大統領がいるかぎり彼らは度を越してあくどいことはできないのにね。
腹が立つから最近はニュースの時間にあまりテレビを見ない。
わたしのブログをどんどん拡散してほしいけど、ココログもステレオタイプの米国支持で、今夜のわたしのブログはアクセスが37だ(夜の8時20分現在)。
むかつく。

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2022年3月23日 (水)

沖縄/国頭(くにがみ)

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ややこしくなるからこのブログでは触れなかったけど、かっての沖縄では「間切(まぎり)」という行政単位が使われていて、国頭(くにがみ)間切というと、明治時代には大宜味村と東村を併せた沖縄本島で最大の間切だったそうだ。
しかしそのほとんどは山ばかりで、開発も遅れたから、ヤンバルクイナというけっこう大きな鳥が、昭和の終わりごろまで表舞台に現れないまま生息することができた。
笹森儀助が本物の博物学者であれば、日本のダーウィンになっていたかも知れない。
あいにく彼は経済、産業などの調査を依頼された視察官で、探検家であることは間違いないものの、自然科学は門外漢だった。

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山歩きをしているとき、いいものがありますよと勧められたのは、ダシチャー(シマミサオノキ)という木で、軽くて丈夫なのでステッキにするといいそうである。
そうかいというわけで、儀助も3本ばかり仕入れていた。
ステッキというと、去年の暮れの沖縄旅行では、わたしは持参した安ものの杖をどこかに忘れてきた。
わたしの性格からして、傘や杖が旅の終わりまで無事であるわけがないと注意をしていたつもりだけど、やっぱり失くした。
最初のときは波照間島への連絡船乗り場に忘れ、2日後に行ってみたらまだそこにあったからことなきを得たけど、2度目のときは美ら海水族館に行って、今日は休みですといわれ、カリカリしていたもんだから、帰りのバスの車内に忘れた(らしい)。

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ほかの植物では虎斑竹というものが出てきた。
これは茶色の斑紋のはいっためずらしい竹で、わたしの知り合いで篠笛を作っている熊本のKさんは、しょっちゅうそんな竹を探している人だから興味を持ちそうである。

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となりの村との境界に異なる種類の竹を植えて、村同士の土地争いのもとを防いでいる村があった。
いいアイディアだねと感心して、もうすこし行くと、高さが1メートル以上、厚さが60センチもある長い石垣があった。
これも境界かいと訊くと、イノシシですという。
国頭地方にはイノシシがたくさんいて、畑を荒らすから、その防御柵なんだそうだ。
1メートルぐらいの柵では本土のイノシシなら簡単に飛び越えてしまうけど、沖縄のイノシシは小ぶりだから、これでいいらしい。
その数は(儀助の本によると)数万頭というから、せいぜい数千人の村人が朝から晩まで食ってもおっつかない。
外国では専門のハンターを雇い、暗視装置つきのライフルを撃ちまくって駆除する国もあるくらいだから、人間が彼らの領域に侵入して以来、両者の対立は絶えることなく続いているのだ。

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イノシシは八重山の西表島にもいて、わたしは浦内川のクルーズ船でそれが森の奥にすがたを消すのを見たこともあるし、去年の暮れに行ったときは、獲れたばかりのその肉をスライスした刺身の相伴にあずかったこともある(写真)。
気のドクにイノシシは多産系なので、ヤマネコに張り合って天然記念物になる日は遠いようである。

あいかわらず儀助の視察はかっちりしている。
村があれば戸数、田畑の面積はもちろん、家畜の数も調査するし、学校があれば教師の給料や生徒の数までかぞえ、銅の鉱山があれば、のぞいて収支を調べ、坑夫の給料を調べたりする。
農産物陳列場に寄ったときは、ついでに質屋の金利まで調べていたから、やっぱり彼の専門は博物学ではなく、経済や産業のほうである。

奥村というところでは、129軒の農家に対して役場の職員が14人いて、経費削減の観点からするとちょっと多すぎるんじゃないかと苦言を呈していた。
話を聞いてみると、ここでは役場の職員は名誉職のようなもので、ほとんど給料をもらっておらず、そのかわり永年勤続すると銀のかんざしがもらえる決まりだったそうである。
むかしの日本人が名字帯刀を許されるとむやみにありがたがったように、田舎者はこういうものに誉れを感じて、喜んで無給で働くものだから、日本政府も見習ったほうがいいと、これはちょっと儀助もまじめすぎるようだ。

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瀬嵩村というところで切絵図を見た。
これは「琉球国惣絵図(間切集成図)」といって、琉球王朝の検地後に、間切や周辺の離島などを絵図にまとめたもので、集落の場所や役所の名称、建物の配置、田畑や道路、河川、沿岸、山野などが正確に描かれていて、儀助の出身地の青森・津軽藩のものよりはるかに立派だったらしい。
絵図の説明には具体的な人名がずらずらと書いてあるけど、知念さん、玉城(たまぐすく)さん、屋比久(やびく)さん、喜屋武(きやん)さんなど、いかにも沖縄らしい名前があるのがユニークなだけで、それ以外に興味を持つ人はいないだろうから割愛。
どうしても見たい人は沖縄県立博物館に行けば見られるそうですヨ。

国頭にいるとき、儀助は農産物の陳列場で、陳列してあった木材の名前を全部書き写し、説明を加えている。
スギやシイやマキ、クスなど、めずらしくないものもあるけど、大半は沖縄方言なのか、あまり聞いたことのない名前が多い。
ひとつひとつどんな木なのか確認していたら、なにしろ56種類もあるし、そんなものに興味のある人もいないだろうから、名前の気になるものだけいくつか調べてみた。

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ガラギというのは肉桂(シナモン)のことで、中国などでは乾燥させた表皮が市場で香辛料として売られていて、そのままかじってみると、むかしなつかしいニッキの味がした。
テイゴ木というのは名前からピンとくるけど、沖縄で街路樹としてよく知られているデイゴ(ディゴではない)のことで、赤い派手な花が咲く。
九年母木という木があって、これは後註によるとシークワサーのことらしいけど、シークワサーのほうから調べると、そんなことは書いてないからアテにならない(だから載せない)。
ヨーナ木は黄色い大きな花をつけるオオハマボウのこと。
沖縄本島や八重山でよく見るフクギも出てきたけど、これは美ら海水族館の近くにみごとな生垣がある。

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儀助はある場所で「水螺」というめずらしい貝を購入した。
沖縄方言でワワ貝という巻貝の一種で、写真を見ればわかるように、かたちが漢字の“水”に似ているからスイジガイ(水字貝)とも呼ばれ、火災予防のお守りなのだそうだ。
沖縄の地方や八重山を散策していると、よく民家の軒先にぶら下げてあるのを見かけるから、天然記念物になるほど珍しいものではない。
外国ではクモ貝(Spider conch)と呼ばれることもあるらしい。
写真を見ると、貝の開口部からぎょろりと二つの目玉をのぞかせて、まるでSF映画に出てくる宇宙怪獣だ。

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奇妙な突起の貝だから、ひっくり返ったまま岩の割れ目にでもはさまったら身動きがとれないのではないかと、また自称ナチュラリストの好奇心がうずいて、いったいどんな生態なのか調べてみた。
そういう疑問を持つ人は多いらしく、YouTubeにはこの貝を裏返しにして起き上がるところを観察した映像もいくつか上がっている。
そうしたもののひとつ、美ら海水族館制作の映像にリンクを張っておこう。
https://www.youtube.com/watch?v=wrDjeg9aPfQ
餌はなにを食べているのか知りたかったけど、具体的に言及したサイトは見つからなかった。
ほら貝の仲間で、脚ものろそうだし、毒針もないようだから、おおかたヒトデでも食べているのではないか。

久志という村でノロクモイ神社に詣でて、神主から神職の首飾りである古い勾玉を見せてもらった。
するとこのあと、行く先々のノロクモイ(女の神主)たちが争って儀助に勾玉を見せにきた。
なんだ、なんだ、オレは古物商じゃないぞと、同行の巡査に理由を尋ねると、中央から来た役人で、あなたみたいに沖縄の神社に敬意をはらう人はめったにいませんでね。
あなたは話のわかる人だと嬉しがっているんですよという。
そうかい、みんなお化粧して出てくるから、オレに気でもあるんじゃないかと思ったよ。
しかしたいていのノロクモイはおばあさんだから、田舎の人の人心をつかむには日ごろの行いが大切だと、それ以上のことは儀助も書いてない。

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国頭を一周してから、儀助は久志村に一泊したあと、久志岳、名護岳をへて、いったん名護にもどった(久志岳の写真は「まったり名護暮らし」というサイトから、名護岳はウィキから借用)。
朝8時に出発して12時に名護へ到着したとあるから、所要時間は4時間である。
この区間のほとんどが登山であることを考慮すると、やっぱりNHK-BSの田中陽希みたいな健脚のトレッカーなのかなと思ってしまうけど、久志岳、名護岳ともに350メートルにも満たない山だから、岳という字を使うのが畏れ多い日本百低山のクラス。
名護、羽地、大宜味、国頭、久志の村々30ケ所を視察して、さすがにひじょうに疲れたと書いている。

それでも儀助はまた宿泊先で、名護病院の院長や、名護警察、柴田警察の署長などに話を聞いて、スキさえあれば情報収集に努めるというモーレツ視察官ぶりを発揮していた。
名護署長の説明では、沖縄では瓦葺きの民家は、どんなお金持にも許可されていませんとのこと。
わたしたちが沖縄というとすぐ思い浮かべる竹富島などの赤瓦の家は、明治時代にはほとんど見られなかったのだ。
かわりにどんな家があったのかというと、つぎの写真のようなワラ葺きの家で、これでは台風で飛んでしまうけど、そういうときは村中総出で直したのだそうだ。

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柴田警察の署長もマラリア持ちだったから、蚊というやつは悪人にも、それを取り締まる側にも公平に襲いかかるものらしい。
儀助は彼に、ここへ来るまえにハブに噛まれて死んだ人を、屋外に放置しているのを見ましたよ。
ああいうのって死体遺棄や葬祭の義務違反に当たらんですかと訊くと、死人は神に見捨てられたのですから、家に入れたら家が汚れるという迷信があります。
迷信は警察の管轄外ですとのこと。

署長はさらに続けて、国頭地方は遊惰の人が多いという。
この地方は那覇・首里方面で材木の需要が多く、景気がいいので、男はみんな焼酎を呑んで散財し、金がなくなったら森に入って薪拾いでもすれば、かんたんに小遣いていどの金は稼げるので、江戸っ子みたいに宵越しの金は持たない気質が発達したのだそうだ。
おかげで生産性を上げるような農業をおぼえようとしないし、彼らのためにも困ったものですという。
ほかにもこの地方には田畑代替え法という理不尽な法律があります。
5~7年おきに所有者が変わるもので、これではだれもまじめに畑を耕やしやしません。

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2022年3月22日 (火)

ロシアの事情

ウクライナ問題について、わたしは世間と正反対の意見ばかり出しているひねくれ者と思われているかもしれないから、このへんで整理しておこう。
わたしがウクライナに本格的な関心を持ったのは、プーチンがウクライナに侵攻してからだけど、じつはそれ以前から、世界のいまということに大きな関心を持っていた。

わたしたちはウクライナのことはよく知らないが、プーチンのことはよく知っている。
彼はオリガルヒ(新興財閥)に食いものにされていたロシアから、そういう連中を一掃して、国家を立て直し、市民生活を安全で豊かなものに替えた剛腕の大統領である。
オリガルヒという名のマフィアに支配されていた当時のロシアの実態は、たとえば「ロシアン・ブラザー」という映画を見ればわかる。
この映画はプーチンが大統領になる少しまえ、ちょうどオリガルヒやマフィアが大盛況だったころの映画だから、当時の世相を知るうえで都合がよい。
そのころに比べれば、ロシア国民が安全に生活できるようになったということはだれにも否定できない事実だ。
この点ではプーチンは、コワモテだけど、愛国者として称賛されていいと思う。

ひるがえってウクライナのことを考えよう。
ロシア軍の侵攻が始まるよりまえに、わたしは日本に来ているウクライナ女性が YouTubeで、自分の国はワイロばかりだ(だから日本は素晴らしい)と発言しているのを見た。
これだけではなく、かってウクライナにいた “美しすぎる大統領” にも興味を持ったことがあるけど、彼女の実体も褒められたものではなく、どうもこの国はそうとうに腐敗した国だという印象だった。

原因はなぜだろう。
わたしはこれまでブログで、ポール・セローの地中海やアフリカ紀行などを追いかけたこともあり、あくどい資本家に支配された国の運命などにもまあまあ詳しい。
国が貧しいという場合は、たいてい政治家や資本家が結託して、国民を食いものにしている場合が多いのだ。
そう考えればウクライナの状況も、おおかたの想像はつく。

さらに調べてみたら、ウィキペディアにウクライナはオリガルヒに支配された国だという記述を見つけ、しかもその財閥の顔写真まで出ていた。
財閥が強欲でないはずはないし、それに対してコントロールが効かない場合、彼らは大統領や政治家にまで影響を及ぼしている可能性が大ありだ。
たぶんゼレンスキーさんや、美しすぎる大統領は、彼らのパシリなのだろう。

さて問題だ。
なぜロシアは世界中の非難を覚悟のうえでウクライナ侵攻に踏み切ったのか。
わたしの推測だけど、たぶん、ウクライナのオリガルヒにとって、買収の効かないプーチンのような大統領はケムったくて仕方がない。
そこでNATOに加盟して、ロシアに口を出させないようにしようと計る。
それだけではなく、NATOの隠れ蓑の下に入ったうえで、ロシアにいる反プーチン派のオリガルヒと組んで、彼の追い落とし工作をする。
危機感を持ったプーチンがウクライナに侵攻した。
と、こんな筋書きだと思うんだけど、ここまではわかったかな。
そうじゃないといえる人はいるかな。

ここで割り込んできたのがアメリカだ。
米国にとってはトランプさん以来、ふたつに分裂した国をまとめるのに、国民共通の敵をぜひとも必要としていた。
まず中国に因縁をつけてみたけど、相手もさるもの、なかなか挑発に乗らない。
たまたま絶好の機会というべきときに、ロシアの侵攻だ。
あとは詳しくいわないぞ。

プーチンにとってはまずいときに侵攻したものだけど、ウクライナがNATOに加盟するのを止めるのはいましかなかった。
彼はもっと早くウクライナを制圧できると考えていたのだろう。
それがアメリカの介入でにっちもさっちも行かなくなった。
アメリカにとっては、戦争を長引かせて、犠牲者を増やし、ロシアにその責任をみんな押し付けるだけでよかった。
世界にはアメリカのやることはなんでも正しいと思う人ばかりなのだ(日本の首相を見よ)。
わたしは悲惨なニュースのほとんどは、アメリカのプロパガンダだと思っているんだけどね。
ロシアがウクライナ大統領のゼレンスキーさん暗殺を企てているというニュースを見たことがあるけど、そんな小者を殺してなんの役に立つのか。
代わりはいくらでもいるのだから、それもおそらくプロパガンダに違いない。

ロシアのまわりの国々をながめると、ベラルーシ、カザフなども、ソ連崩壊後の負の連鎖に陥っているようで、ろくな指導者がいない。
プーチンのような大統領を持てたということは、ロシアにとっては幸せだった。
わたしが頑固にロシアの肩を持つのはそういうわけだ。
ここでプーチンが失脚したら、ロシアはまた「ロシアン・ブラザー」の時代のロシアにもどってしまう。
ウクライナが勝利したら・・・・
どうにもならない。
あいかわらずウクライナはオリガルヒの支配が続くだけだろう。

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2022年3月21日 (月)

日本の首相

いま昼のニュース(NHK)を見ている。
あいかわらずウクライナとアメリカの側の報道ばかりじゃないか。
ゼレンスキーさんはいつでもプーチンと話し合う用意があるそうだ。
んならさっさとやらんかい。
どこまで犠牲者を積み上げれば気がすむんだ。

わたしはかならずしもイデオロギーで政党を支持したりはしない。
そのときそのときの是々非々で、与党を支持することもあれば、野党を支持することもある。
だから新総理の岸田クンにしても、もっと様子を見ようと思っていた。
ところがどうも困ったことに、そろそろ彼の本質が見えてきたようだ。

韓国には、日本を叩いてさえいれば国民の支持が得られるという考えの政治家がいる。
あさはかな考えだと思うんだけど、これは長い間の反日教育が国民ひとりひとりに染み込んでいるので、改めるのは一朝一夕にはむずかしそうだ。
まあ、最近大統領が変わったから(その地位につくのはまだ先だけど)、まず教育から変えてほしいやね。
むずかしいことじゃない。
だれでも読みたい本を読めるようにすればいいだけだ。

日本の政治家には韓国のように、なにかひとつに執着して支持を広げようという者はいないと思っていた。
ところがここんところの岸田クンをみていると、アメリカにしがみついていれは支持を失うことはないと、固く信じているように見える。
もちろんいまのような時勢に、まったくの中立を守るわけにもいくまいけど(わたしは相手の立場も考える男なのだ)、しかし大急ぎで相手のもとに駆けよる必要があるのか。
ゼレンスキーさんを招待するのは、乗り遅れまいと慌てふためいているようにしか見えないし、ウクライナの難民も無条件で引き受けますなんてわざわざ公言する必要があるのか。
国を追われた人々を匿うのはもっともだとしても、なんかアメリカへの忠誠心を示すのに必死のように思えてしまうわな。

昨日、おとといはインドのほうで、中国包囲網の打ち合わせをしていたみたいだけど、いまの段階でそこまでやる必要があるのかね。
日本の首相ならもっとどっしり落ちついて、適当に相手に話を合わせておけばいいじゃないか。
いずれにしても自分の国は自分で守らなければならない時代がすぐそこだ。
アメリカにしがみついていれば安心という時代は過去のものになりつつある。
そういう先見の明のない首相に、NHKまで忖度しているのを見ると、ホント腹が立つ。

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2022年3月20日 (日)

なり替わる

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わたしは有名人じゃないから、まだ好き勝手なことを書くことができる。
ところが村上春樹サンのような有名人は大変だ。
わたしのブログはアクセスが、1日に多くても100に行くかどうかってところだけど、彼のような有名人のサイトはつねに何万もの読者が注目しているのだ。
自分の信ずるところは他人も信ずるべきだという、おっそろしい信念を持った読者が。

彼がウクライナのことでなにか発言しているというので、「村上春樹RADIO」というサイトをのぞいてみた。
読んでみたところ、戦争はやめようというだけで、とくにロシアとウクライナのどちらにも味方しているような書き方じゃなかった。
ところが、ところがだよ。

どちらか一方に加担しないだけで、抗議してくる人がいるという。
なんでウクライナを助けようとしないのだというものらしい。
村上春樹サンほどにもなれば、そのへんのボンクラとちがって、どっちが悪いとはっきり断定できない戦争もあるだろう。
彼はわたしのように、ウクライナの問題点や、米国の欺瞞にも気がついていて、はっきり白黒をつけるのをためらっているのかも知れない。
しかしそんなことでさえ、いったら大変だ。
とくに有名人は大変だ。
この狂気の世界では、どっちかに加担しないかぎり、そして現在ではウクライナに加担しないかぎり、もうなにがなんでもゼッタイ悪い、許さないということになるのだ。
いったいなんだ、なんだ、なんだ。

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とりあえずウクライナ問題やプーチンをわきに置いても、こんな一億総右へならえっていう社会っておかしいと思わないか。
わたしは民放の馬鹿騒ぎがキライで、テレビはほとんどNHKしか観ない人間なんだけど、最近では公平を旨とするはずのNHKまで、朝から晩までウクライナ擁護で、ロシアは不法だ、プーチンはケシカランというニュースばっかりだ。
ひょっとすると日本人の多くは冷静で、春樹クンと同じように、どちらが悪いかはっきりいえないと思っているのかもしれないけど、そういうことをとてもじゃないけど口には出せない社会になっている。
太平洋戦争のときも、なかには異論を持った人がいたと思う。
そういう人は国賊とされて、まわり中から袋叩きにされて、日本は反対する人もないまま戦争につっ走ったんだよ。

有名人になり代わって、今日は無名のわたしがブウたれてみました。
添付したのは花壇のクロッカス。
あいかわらず世界はまだまだウツクシイ。

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2022年3月19日 (土)

欺瞞ということ

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ゼレンスキーさんが日本の国会で演説するそうだ。
わたしは怒っている。
いや、彼がアメリカでの演説でパールハーバーを持ち出したからじゃない。
韓国人じゃないんだから、わたしはそんな過去のことは歴史のひとコマとしてしか記憶していない。
怒っている理由は、この口ばかり達者な大統領の本質を見抜けず、うちもうちもと争って国会に招待しようという日本政府の姿勢だ。
彼はパールハーバーの件で、日本軍機の襲来におびえた米国人を例にあげたそうだけど、日本では今度はヒロシマ、ナガサキを持ち出すんじゃないか。
ほんとうに口から先に生まれた芸人である。
アメリカの空襲におびえたイラクやアフガンの人たちのことは、当然ながらまったく無視しているのだ。

作家の村上春樹サンもいっていた。
戦争はやめなくちゃいけない。
そんなことはわかっているけど、それなら開戦まで知らん顔をしていた大国はどうなるのか。
アメリカはロシアの侵攻日を予測していたくらいだから、戦争が始まることは知っていた。
なぜそのとき妥協案をロシア、ウクライナ双方に持ちかけなかったのだろう。
だれかが割って入ってくれることを、ロシアも期待していたのではないか。
いまアメリカが思い切りやっている広報活動を、開戦まえから同じくらい熱心にやれば、戦争は防げたに違いない。
そうすれば若い兵士たちは死なずに済んだのだ。
戦争が始まってから騒いでも遅いのである。

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若い人たちに教訓としてもらえるよう、もういちどいう。
いまウクライナで広がっている悲劇、大勢の難民が発生している、家族が殺された、親が、兄弟が、小さな子供が死んだ、都市が包囲され、水や食料が足りないなどというニュースは、このあいだまでアメリカが中東でやっていたとまったく同じじゃないか。
わたしはイラク戦争のしょっぱなに、市民が避難している体育館にアメリカがミサイルを撃ち込んで、建物に大穴があいた写真をよくおぼえているぞ。
これは欺瞞だ。
典型的な欺瞞である。
若い人たちにこの欺瞞について、大国アメリカの欺瞞について、考えてもらういい機会だ(とわたしは思っているのだ)。

添付したのは今年のフユシラズ。
あいかわらず世界はウツクシイ。

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2022年3月18日 (金)

恐喝

ロシアから有名企業が撤退しているという。
経済制裁が効いてる、効いてると喜ぶのは勝手だけど、またわたしのヘソ曲がりがむくむく。
つい先日ユニクロのところに、ウクライナの大臣だったか、大使だったかが訪ねてきて、耳もとにささやいた。
お宅の会社はロシアで商売を続けるわけですね、そうなんですね。
なんせこういうご時世ですからなあ。
あまりお宅のためにはならんと思うんですが、いいんですか、本当にいいんですね。
そういってアメリカのお墨付きをちらちらさせる。
まるでヤクザの恐喝だけど、これでは抵抗できる企業なんてありやしない。
ユニクロのまえにはシェルが、ロシア産原油の輸入を続けるといって、やはりウクライナの大臣に脅かされていた。
有名企業が撤退するというというのはこういうことらしいっすよ。

わたしは思うんだけど、ユニクロのような国際企業には、その国がどのていどグローバル化されているか、よくわかるもんじゃないか。
たとえば商売をするのにも、政治家や役人にどのくらいワイロが必要なのかということで。
柳井社長は、当初はロシアで商売を続けるつもりだったようだ。
少なくともロシアはそんなにむちゃな国ではないという確信があったのかもしれない。
彼にロシアとウクライナのワイロの額を聞いてみたいけど、いまの状況で彼が本音を話せるとは思わないしな。

残念なことに日本の宰相は、英国なみにアメリカ寄りになってきたようだ。
わたしみたいに叩かれても踏まれてもロシアに理解を示す国民もいるのだから、ここは自民党、というか日本のお家芸を見せてほしかった。
すっとぼけて、旗幟をあいまいにしておくということである。
そんなことをしたら米国から仲間はずれにされると思うだろうけど、トランプさんを見ればわかるように、日本はアジアでゆいいつ米国が頼れる相手だ。
日本に制裁なんかできるものか。
アメリカにももの言う意志をはっきり見せてほしかった。
いや、はっきりさせすぎると向こうもムキになる。
だからあいまいにしておけというんだけど、これが政治というものだから、べつに恥ずかしいことじゃない。
EUが日本も移民を引き受けろといってきたとき、安倍クンがすっとぼけてごまかしたのと同じだ。
岸田クンはゼレンスキーさんのような御用政治家になりたいのだろうか。
なにもかもアメリカに頼らずとも、法律改正も、軍備増強も、核の傘さえ不要になる日がもう近いのに。

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2022年3月17日 (木)

沖縄/らい病患者の家

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あまり暑いのでとうとう儀助は、もともと粗末だった衣服、といっても肌着にズボン下、手甲脚半ぐらいだったけど、それをみんな脱ぎ捨てた。
こうなるとひっかぶった芭蕉布一枚ってことになり、ヒッピーを通り越してインドの行者のようだけど、合理的といえばこれほどリラックスできるスタイルもない。
そして川があったらかならず水浴をしながら行ったそうで、これは健康にいいと自賛していた。
ところがそんなみっともない儀助を見て、村人たちがみんな冠をとり、地上にひざまづいて合掌するではないか。
爺さん婆さんが神仏を拝むような格好だから、なんで拝むんだろうねと随行の巡査に尋ねると、このあたりはかって目上の者を敬えというしつけのキビシイところでしたから、その名残りかもしれませんねという。
そうかい、オレはまたみんながオレのことを、とっくに死んでいる仏さまと信じてんのかと思ったよ、たまんないなあ、あはは。

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本島北端の辺戸岬へ向かって歩いて行くと、道路のわきの絶壁の途中にみすぼらしい掘立て小屋が見えた。
場所的には、まえの晩に与那村というところ泊まり、このあとで辺戸村の宜名真神社に寄っているから、地図の上で与那村と辺戸のあいだのこの赤い楕円マークのあたりと思われる。
現在は海岸にそって立派な車道が走っているけど、陸地側は険しい斜面になっているから、明治時代にはさぞかし難所だっただろう。

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あの小屋にはだれか住んでるのかねと訊くと、巡査が、あれはライ病(ハンセン氏病)の患者の家です、病気が感染るとコワイので、ああやって隔離されているのですという。
ちょっと寄って見ていこう。
やめたほうがいいですよ、すごく臭いだけですと、もちろん全員が儀助を止めた。
んにゃ、ライ病患者といえど天皇陛下の赤子である、たとえほかのだれも行かなくてもオレは行くと、儀助の言い方は歌舞伎役者みたいだけど、彼のこの後の視察ぶりを見れば、彼が中央から来た高慢ちきな官吏ではなく、弱者の悲惨な境遇を見逃さない慈悲深い役人であったことがわかるのである。
同時にどんなものも見逃さない博物学者の一面をもった人間でもあることも。

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彼はひとりで絶壁をよじ登り、小屋をのぞいてみた。
小屋のなかには体中から腐臭をただよわせた若い女と、7、8歳の小さな子供がいた。
女は儀助を見ておびえているようだったと書いてあり、おそらくライ病患者特有の正視できない惨状だったのだろう。
このときはせいぜい声をかけることしかできなかったけど、あとで儀助はこの患者について役場の職員に問いただす。

この村ではライ病患者をどう扱っているのか。
やっぱ感染るとコワイですからね、ライ病の気配があった場合は、戸籍を抹消して、人里離れた場所に追いやるのが普通です。
気配があったらってのはなんだよ。
つまり、このへんでは農家はみんなブタを飼ってます、ブタには人糞を食わします、そのブタを人間が食べるので、ブタ肉からライ病がうつるとコワイもんで、早めに隔離しようってことですと職員は答えた。
なんとなく理解できそうでなくもない理屈だけど、儀助は彼らを叱責していう。
オレが聞いた話では、日本政府は先日、ハワイまでわざわざ専門医を派遣してライ病患者を治療したそうだ。
それなのに日本国内ではだれひとり患者の面倒をみようとしない。
なんでよその国の患者の面倒はみるのに、自国の患者はほうっておくのだ。
うん、これは帰って国に報告しなくちゃいかんなと、儀助はしっかり報告書にメモした。

わたしの東京の団地の近くに、「全生園」というハンセン氏病患者の療養施設がある。
ペシミストの散歩コースにふさわしいところなので、わたしもよく自転車で出かけるけど、院内の敷地に植わっている桜の古木を見ると、ここに隔離されたまま、肉親にも見放されて生きなければならなかった患者たちの怨念がこもっているようで、たまらない気持ちになる。
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この病気はいまでは伝染するものでないことが明白になっているけど、もちろん明治時代はまだそんなことは知られていなかった。
映画「ベン・ハー」にもライ病患者が出てくるくらいだから、昭和になってさえ、恐ろしい病気であるという迷信はまだ外国でも信じられていたのである。
おかげでさまざまな悲劇を生んだことは、えーと、たとえば松本清張の「砂の器」。
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映画化されたものはつまらない作品だったけど、ライ病をかかえた父と子の巡礼が、各地を放浪するシーンだけは名作にふさわしく、その場面だけでもっている映画だった。
いまでこそ◯◯四十八カ所めぐりだなんて、スポーツ・ウォーキングと勘違いしている人がいるけど、巡礼そのものが、はびこっていた迷信のために故郷や家族を捨てて、野たれ死が確実の旅に出た人々だったことを忘れてはいけない。

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儀助の視察は続く。
宜名真神社をすぎると、まもなく絶壁の上にある「茅打(かやうち)バンタ」という景勝地にさしかかった。
ここは現在でも展望台から絶景をながめることができるので、ちょいと寄っていこう。

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儀助の重要な仕事に、土地の経営状況を調べ、どの土地がどのように活用されて、税収がいくらあるかを把握することがあったから、彼は行く先々でマルサの女みたいに役場の帳簿を調べる。
久口という海岸には200年まえから貧乏士族が住みついており、これは増えすぎた士族を琉球王朝が体よく開拓団に追いやった人々で、地元では「居住人」と呼ばれていたそうだ。
もと士族とはいうものの、彼らは小作人として生計をたてざるを得ない境遇で、王朝の温情だったのか、税金は免除されていたという。
この地方にはほかにも「ヲナワ畑」という、琉球王朝のころから続く無税の土地があったけど、たいていは税金を取り立てるのも気のドクな、耕作に不向きの荒地だった。
明治時代には荒地でも、沖縄の最僻地ということで、このへんまで観光に来る人も多いから、現在はけっこう観光ポイントもできているようだ。

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島の北端に近いこの地方では、まだサトウキビが作られてなかった。
砂糖は薩摩藩が専売の権益を一手ににぎっていて、いくら作っても利益はみんな薩摩藩のものになっていたからだそうだ。
沖縄では日本の本土の人間のうち、鹿児島県人を倭人(ヤマトンチュウ)と呼び、それ以外を大倭人(オオヤマトンチュウ)と呼んでいて、ヤマトンチュウは乱暴者ばかりだと怖れていたそうである。
たしかに薩摩藩は江戸期を通じて、倒幕の念を燃やし続けた体育会系みたいな藩だったから、乱暴者が多かったのは事実かもしれない。

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最北端の辺戸村に着いた。
儀助がここで泊まった民泊では、風呂は家から4町(400m)ばかり先の水風呂で、雨が降っていたけど強引に入浴した。
帰りは雨の中をもどって、泥だらけになり、なんのための風呂なのかと笑われる。

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この地方の産物を那覇や首里に運ぶ場合、辺戸岬より東側にある村の船は嶋尻地方与那原港に向かい、西側の村は那覇に行く(地図参照のこと)。
したがって辺戸岬は東西の航路の分岐点となる。
奥村というところで、那覇にはどのくらいの頻度で行くのかねと儀助が質問すると、年に7回との返事だった。

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このあたりで山原(ヤンバル)船についての話が出てきた。
沖縄には山原船と慶良間船という船があるというんだけど、山原船のほうは写真を見たとたんに、中国のジャンクに似ているなと思った。
柳田国男の「海南小記」のなかに、わざわざ山原船についての一項があり、それによると交易のために福建省あたりに渡った沖縄人が、中国の船のほうが運輸に向いていることに気がつき、あちらで注文して造ったのが山原船で、だからこの船が中国のジャンクに似ていても不思議じゃないとある。
わたしは初めて大陸中国に行ったとき、上海の黄浦江でジャンクが見られるかもしれないと期待したけど、1992年の時点で、そんなものはもうひとつも残ってなかった。

慶良間船については、調べてみたけどわからなかった。
なんでも頑丈で、積み荷は多く、日本の船に似ていたというから、和船の歴史についてさらにネットで調べてみたけど、奥が深そうなので断念。
それでも瓢箪から駒というか、和船のことを調べていて、わたしの認識のひとつがまちがっていたことに気がついた。
わたしはむかしシルクロードの勉強をしていたころ、砂漠というものは人間の生存に適さない過酷な土地らしいので、そんなところを行き来する人はめったにないと思っていた。
ところが知るにつれ、ここが大昔からさまざまな民族の行き来する活発な交易路で、ウイグルのような砂漠の民にとっては、東海道や中山道とたいして変わらない道であることがわかってきた。
同じように南方の島から日本列島への海の道も、わたしが思っている以上に、船の往来や人の行き来が激しかったようである。
糸満の漁師のようなプロの海人(ウミンチュ)にとっては、ちょいと出稼ぎに行ってくるていどの道にしかすぎなかったらしい。
これじゃ源の為朝が沖縄まで来てタネを撒いていったという伝説も本物かもしれない。

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船といえば「海南小記」にはサバニのことも出てきた。
これは沖縄独特の、もともとは手漕ぎの丸木舟で、なんというか、迷い込んできた文明人を追いかける原住民の舟みたいである。
そんなものがいまでも使われているのかと聞かれると、うーんだけど、沖縄のハーリー祭では盛大にこれの競艇が開催されるから、いまでも見ることはできる。
ほかにも博物館やホテルに展示されていることがあるから、見るのはそれほどむずかしくない。
ここに載せたサバニの写真は、西表島の船浮にある「海人の家」という宿屋に展示されていたもの。

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2022年3月16日 (水)

またウクライナ

朝おきてテレビを点けたら、まっ先に飛び込んできたのが、アメリカ軍とウクライナ軍が共同訓練をしたというニュース。
すみっこに米軍提供とあるから、これって米軍のプロパガンダ映像じゃないかと、むかっと来た。
とにかくアメリカのやることはすべて正義で、ロシアのやることはみんな悪という図式。
もう書きたくないけど、ココログの他のブログをのぞいてみると、ウクライナ問題を取り上げたものがちらほら。
そのほとんどがステレオタイプにロシアを非難するものばかり。
ほうっておくと若いものが毒されて、公平客観的という原則からますます遠のくばかりだと思うので、蟷螂の鎌であることは承知のうえで、あえて異論を書く(見ちゃいられないのだ)。

ウクライナ問題はロシアによる侵略だという。
そうかも知れないけど、プーチンにとっては、ナチスドイツがロシアを併合しようとしたようなものではなく、かっての同盟関係を維持できればいいという程度のものだっただろう。
ようするにNATOを加盟を阻止し、ウクライナをロシア寄りにしておくことだけで十分なのだ。
それだって侵略だって?

ここで若い人たちに考えてほしいんだけど、それを非難する側は、過去に同じようなことをしてないだろうか。
アメリカはイラクで、アフガンで、もっとむかしにはソマリアやキューバなど、数えきれないくらい世界のあちこちで、自分たち寄りの政権を打ち立てようと介入を繰り返してきた。
しかも対抗勢力をとっちめる方法は、最新の殺戮兵器を使って、いまのロシアなんて目じゃないねというくらい残忍なものだった。
YouTubeには暗視装置を使って撮影した戦場の映像も上がっているけど、逃げまどう相手の兵士のひとりひとりまで、まるでノミかシラミをつぶすように消していく。
もちろん誤爆による市民の殺害もダントツだ。
いったいこういう国が、オレたちはなにもしてないという顔をすることが許されるのだろうか。

正直にいうと、NATO加盟を阻止すればいいのだから、おそらく他国が介入してくれて、戦争がこれほど泥沼に入るとは思わなかったというのがプーチンの本音だったろう。
アメリカは、その気さえあれば簡単に戦争をとめることができたのに、そうしなかったのだ。
そのへんの事情も、冷静に現在の世界状況や、アメリカの事情を考えればわかるはず。
いま昼のニュースを観ていたら、バイデンさんがにこやかにウクライナ支援予算の増額にサインしていた。
これは戦争を長引かせようという手段にほかならず、それがなにもかも順調にいってるのだから、彼がにこやかになるのも当然だ。

若い人たちにもういちど言いたい。
公平で客観的な見方を、つねにするよう心がけてほしいと。
それがプロパガンダや、ネットに氾濫する悪質なフェイクニュースにひっかからない最善の方法なのだ。

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2022年3月15日 (火)

三段論法

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民主主義の時代だそうで、数の多いほうの意見がハバをきかすものらしい。
つまり歴史は愚か者(ポピュリスト)によって作られるということである。
いまのご時世だから、これは盲目的にウクライナを擁護して、ひたすらロシアのプーチンを責める人にいってるんだけどね。
こんなことを書くと、てめえばっかりが利口ぶりやがってと苦情が来そう。
そこでわたしの説が正しいことを三段論法で証明してみよう。

まず一段目の前提として
1・歴史は数の多いほうによって作られる
これが第一段の前提で、いくらプーチンが正しい愛国者だといっても、世間の大半は無能なウクライナ大統領を支持しているから、わたしの意見なんか聞かれようがない。
ゼレンスキーさんが悲劇の主人公みたいな顔をしてテレビに出てくるたびに、役者やのうと思うのはわたしだけみたいだ。
二段目の前提にいってみよう。
2・世界は愚か者ばかりだ
こんなことを書くと、ムッとして、オレは愚か者じゃないぞという人がいるかもしれない。
しかし、わたしは確信をもっていうけど、そういう愚か者じゃないという人にかぎって、自分以外はみんな愚か者だと信じているものだ。
だから彼の言い分を認めても、やはり世界は愚か者ばかりということになるのである。
したがって二段目の前提も正しく、こうなればもう自然に結論に行きつくしかない。
3・ゆえに歴史は数の多い愚か者によって作られる

ロシア国内からもプーチンに反抗する者があらわれた。
戦争反対のプラカードを掲げたテレビ局の女性は、両親がロシア人とウクライナ人だという。
さぞかし葛藤があっただろう。
もともと仲のよかったそういう人々を悩ませて、ニタニタしているのがバイデンさんとアメリカである。
目下、中国に対しても、手を出すんじゃねえぞと恐喝中。

世界はウツクシイ。
添付したのは、いまわが家の花壇に咲いているスイセン4種。

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2022年3月14日 (月)

ヒマラヤユキノシタ

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さあて、花の報告が忙しくなってきたぞ。

ウチの花壇にいま見てくれのよくない花が咲いている。
わたしは花にも好き嫌いがあって、ツワブキやツバキ、サザンカのように、どうもあんまり好きになれない花もある。
この花もそういうタイプの花だけど、名前がわからない。
名前のわからない花があると思うと腹が立つものだ。
で、調べてみた。
「ヒマラヤユキノシタ」というそうだ。
遠くから見ると葉っぱが大きくて、しかもその葉が赤茶色に変色したりしていてみっともない花だけど、こうやってアップで見ると可愛らしいところもある。
いずれにしてもブログに書いておけばなかなか忘れないし、いつもタブレットを持ち歩いているわたしは、ほれっと他人にすぐ見せることもできるわけだ。

そういうわけで、去年ブログに書いたイベリスという花、あれをひと株もらっていいかしらというご婦人があらわれたけど、いいんじゃないですか、どうせわたしのもんじゃないしと、とっさに返事ができたのもブログに書いておいたおかげだ。
ええ、いいんですよ、じゃんじゃんおたくの花壇に植えたって。
シバザクラなんか、暖かくなると手に負えないくらい増えるし、こうやって花壇の輪がひろがっていくのを見るのは幸せな気分なんだから。

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2022年3月13日 (日)

自転車のバッテリー

最近臨時収入があったので、なにを買おうか迷ったけど、なかなか踏ん切りのつかない自転車のバッテリーを買うことにした。
わたしの持っているアシスト自転車は某メーカーのもので、バッテリーは1個4万円ぐらいする。
年金暮らしの歳寄りにおいそれと買えるものじゃない。
しかし最近、最初のバッテリーがだいぶへたってきた。
フル充電しても、すぐに目盛りが半分ていどに下がってしまうのだ。
これはバッテリーの宿命だから仕方がないけど、それを少しでも長持ちさせようと、最近では近所の用事などはできるだけバッテリーを使わず、ひたすら人間の足こぎパワーだけで行く。
これでは次回のオリンピックには競輪選手として出られるかもしれない。

それはいいけど、バッテリーが不安では長距離のサイクリングに行こうという気になれない。
季節が春めいてきて、また多摩湖のあたりまで自転車で出かけようという気にもなって、そこへたまたま臨時収入があったものだから、ついに決心して新しいバッテリーを買うことにしたのである。
じいさんが自転車ってのは、ダンプカーなんかに引き潰される恐れもあって、あまり勧められないんだけどね。

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2022年3月12日 (土)

フキノトウ

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うちの団地の花壇を自家農園として活用しているおばさんがいて、彼女の畑にいまフキノトウがちらほら顔を出している。
食べないんですかと聞いたら、食べたいなら上げますよと、三つ四つばかりつまんでくれた。

部屋にもどって、どうやって食べようかと考えた。
テンプラは・・・・わたしの知り合いは、家でテンプラを揚げてるうち、ちょっと電話に気をとられて火災を出しそこなったというから、わたしの部屋では揚げ物は作らないことにしているので、ボツ。
味噌汁に入れるなんてのはどうだろう。
うまい具合に豆腐とナメコと長ネギが揃っていたから、味噌汁ならそのまま刻んで放り込むだけで簡単に作れる。

いくらかタイミングを誤って煮すぎということがあったけど、それでもちゃんとフキノトウのほろ苦い味がした。
ぬか漬けといい、味噌汁といい、あいかわらず高血圧で自爆覚悟のわが人生かな。
さっさと死にたい。

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2022年3月11日 (金)

選挙の結果

韓国の選挙が終わったよ。
今回はホント、紙一重の勝利だというけど、そんならふつうは負けたほうがインチキだといちゃもんをつけるだろう。
それがまったくなく、すんなりあきらめたってことは、じっさいにはもっと大きな差がついていたんじゃないか。
まえのクネちゃんのときもそうだったけど、彼女が弾劾されたとき、それなり擁護する声もあったのに、投票の結果にはそんなものはぜんぜん反映されなかった。
あの国の統計というのは、つねにいっぽうに偏る傾向があるから、信用できない。
あ、韓国ギャラップというのは、米国のギャラップとはぜんぜん関係ない別会社だってことを、なにかで読んだことがあります。

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明日は未来は

プーチンの誤算だったようだなあ。
アメリカの介入がなければウクライナ問題はとっくに解決していただろうに。
いや、介入はあらかじめ予想済みだった。
誤算というのは米国がここまで完璧に世界を味方につけているとは思わなかったこと。
ありとあらゆるメディアを動員して、自由の国アメリカが、独裁主義の国ロシアにいじめられているウクライナを、助けているのだということを印象づける。
最初のうちは模様ながめだった日本まで、プーチンが水に落ちたイヌだとわかると、やむなく(とわたしは思いたい)叩くことに加担する。

考えてみればアメリカは、とっくに財閥に支配されている国だった。
そんな国が新興財閥と闘うプーチンに味方するはずがない。
こういうときこそユダヤ資本の陰謀論が噴き出してきていいはずなのに(ウクライナのオリガルヒの出自を見よ)、その手の人たちは沈黙したままだ。
バイデンさんは武力を使わず、謀略だけでプーチンを追いつめたということで、おおいに株を上げるだろう。
二度とトランプさんの亡霊に悩まされることもなくなるだろう。
完璧だ、米国の民主党にとっては。

世界は財閥に支配され、格差がとめどもなく拡大する道を選んだ。
来るべき社会は・・・・と考えているうち、そうか、わたしが心配しても仕方がないと思い当たった。
もうすぐ老衰死のわたしが文句をいっても仕方ないのだ。
わたしはたまたまこういう時期にめぐりあったわけではなく、わたしがもうすぐ死ぬからこういう時期がやってきたんだろう。
ちとオカルトっぽいけど、またこの世界はわたし中心で、まわりのすべては夢まぼろしだと思いたくなってしまうね。

若い人たちに遺言がわりにいっておくけど、大切なのは、どんなときでも公平で客観的な考えを持つことだ。
相手の立場でものを考えることだ。
わたしはこのブログで、ウクライナにも非難されるべき点があること、プーチンにも同情すべき点があること、戦争はアメリカ次第でもっと早く止められたことを、でっち上げやプロパガンダではなく実証でもって訴えてきた。
もともとアクセス数が少ないブログだから、どれだけの人が読んだかこころもとないけど、わたしの役目はひとつ済んだよ。
あとはキミたちが自分の頭で考える番だ。
わたしはこれからCIAの暗殺におびえなければならない。

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2022年3月10日 (木)

沖縄/大宜味村

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旅行というのは近くて楽なところからまわると、終いにメンドくさくなって遠いところがおろそかになるものだ。
わたしもそういう傾向があるからよくわかる。
だからということで、儀助は沖縄本島探検の最初に、いちばん危険とされる本島最北端の、辺戸岬を一周してやろうと考えた。
内務大臣の秘書待遇の彼には、随行者として、通訳をかねた那覇市役所の笹田という職員と、警護役の柴田という巡査のほかに、人夫ひとり、水汲みひとり、下級役人ひとりがつくことになった。
あとでわかるけど、この3人はのんびりしていて、まるっきり役に立たなかった。
さらに現地でもつねに数名の人夫が荷物運びとして加わることになったから、現代なら、さしずめシェルパを雇ったエベレスト登頂隊というところか。

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持っていくものは、白米、醤油、ローソク、蚊帳、ワラジ、茶、タバコ、酒(蚊除けの泡盛らしい)、外套は重すぎるというので雨具としては油紙を用意した。
ほかに変わったものとしてコンデンスミルクがある。
写真を見ればわかるけど、これはイチゴを食べるとき上からかけるもので、濃縮されているからたぶん栄養も濃縮してあるのではないかと、疲れてグロッキーになったときなどに儀助が愛飲していたものだ(チューブ入りは明治時代にはまだない)。
エベレスト登頂隊のような装備だと、気になったのは彼が、たとえば馬のような乗り物を使ったのではないかということである。
しかし一行6人が全員馬に乗ったら、そうとうおおげさな視察になってしまうし、かかった時間から推察しても、やはりほとんどの場合徒歩の旅だったようである。
大臣秘書だと問答無用でベンツが迎えに来てくれる現代とは違うのだ。

彼が那覇を出発したのは明治26年6月15日のことだった。
まず汽船・大有丸で本島北部にある名護市を目指した。
名護市の屋部港に上陸して、陸伝いにひたすら島の北部へ向かう。

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名護市をはずれると、そのあたりに作りかけの道路が残っていたという。
これはかって首里の都を北部の運天港に還都する計画があって、それが王さまの気が変わって中止になったものの跡で、景気のいい時代もあったんだねと儀助は感心する。
この写真は、道路がおもしろくなければいけない理由はないけど、おもしろくもおかしくもない現代の名護と運天港をむすぶ道路。

歩けば腹がへる。
儀助たちはとちゅうで昼食にした。
随行の職員や警察官は弁当箱で、儀助は芭蕉(写真参照のコト)の葉でくるんだにぎり飯だった。
本土からやってきた大臣秘書だから、漆に螺鈿の豪華な重箱でも出てくるんじゃないかと期待していた随行員たちは、まるで木こりの昼メシですねといってげらげら笑った。

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ちなみに芭蕉の葉というのはタイやボルネオでも、市場で包装紙として活用されていた。
トイレットペーパー代わりに使われたこともあるそうだけど、わたしは見たことがない。

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このあと大宜味(おおぎみ)地区の役所に到着したときは、田舎者は格好にこだわるから、えらい人が来るというので全員が紋付袴で出迎えた。
儀助のほうは芭蕉布一枚に兵児帯、ズボンに脚絆、わらじ履きというヒッピー・スタイルである。
どうも軽蔑されたようだけど、儀助の仕事は冠婚葬祭に出席するわけじゃないので、本来の仕事ができればなんだっていいのである。
大宜味の旧役場に興味のある人はこちらから。

大宜味地区は儀助が最初に視察した本島北部の大きな自治体なので、調査は徹底していた。
村の戸数・人口から始まって、農産物、海産物の生産と輸出入の状況、年間予算の内訳、官有地、私有地の面積、役所の職員の給料などなど。
明治26年の大宜味地区の戸数は1,164戸、人口は男が6,733人、女が3,437人だったそうである。
地区区分がいまとは違うかもしれないから、いちがいな比較はできないけど、現在の大宜味村は2010年の13万人をピークに、人口が下がり続けている。

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農産物ではサツマイモが330万斤、米が1,700石、以下にキビ、大豆、小豆がと続き、タバコや綿なども作られていた。
家畜はウシやブタ、ヒツジなどの頭数まで調べていて、ウマが1頭しかいないのは、この地方は急峻な土地が多いので、ウマでは農耕に向かないからなどと書いている。
山が多いかどうかは写真で判断してほしい。
冒頭の写真とここの2枚は、大宜味あたりの高所の風景。

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自称ナチュラリストのわたしの興味をひいたのは、海産物の名前で、ヒヨ、ヒキ、ブリクン、章魚、クツナケという魚名が出てきたこと。
後注によると、ヒヨはシイラじゃないか、ヒキはスズメダイの仲間じゃないか、ブリクンは沖縄の県魚であるグルクン、章魚は足が8本のタコのことで、クツナケはフエフキダイのことだと書いてあった。
そんなことをいってもわからない人のために写真を添えておく。
ブリクンだけがカラアゲなのは、これでビールを飲むと美味しいからで、わたしは沖縄に行くとたいていこれでイッパイやるのだ。

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大宜味地区には学校が2カ所あって、生徒が161人、うち男が152人で、女が9人しかいないというのは、この時代の男女の教育事情を物語っている。
大宜味地区を含む国頭(くにがみ)地方全体では、生徒から授業料以外に村費というものを徴収していて、通学時間の大小でそれをまた生徒に還元していたそうである。
遠方から通学する生徒のほうが近くから通学する生徒より大変なので、こうやって負担を公平に分担していたらしい。
なかなかいいことだと儀助は感心する。

農地を見てまわった儀助は、この土地には棚田が多く、農民はひとり一反にも満たない土地で生計を立てていて、どうもあまり熱心に耕作をしていないようだと見た。
沖縄では肥料に人糞を使うことも知らなかったという。
ちと臭うのが欠点だけど、まだ化学肥料のなかったころは、人間が排泄したものが野菜の肥料になり、育った野菜を人間が食べてまた排泄するという、自然な循環が完成していて、人糞を使った農法は理想的な有機農法ともいわれる。
こんなことを書いたからといって、わたしがそういうものに郷愁を感じていると思われちゃ迷惑だけど。

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江戸、東京は大都会だったので生産される人糞の量も多かった。
昭和のはじめごろまで、それは大八車に乗せられ、畑のコヤシにするために中野や杉並などの農村に運ばれていた。
新宿の中野坂上には大八車の後押しをして手間賃を稼ぐ商売もあったそうである(ということが井伏鱒二の本に書いてあった)。

沖縄だけに人糞農法が普及してなかった理由は、こちらでは農家はたいていブタを飼っているので、畑に撒くはずのそれはブタの餌にしていたからだそうだ。
トイレはブタ小屋のま上にあり、上から落とすだけでブタが喜んだので、畑に撒くより楽でいいし、まわりまわって最後は人間のお腹に入るのだから、野菜の肥料にするのと変わらないというわけだ。
それでも沖縄は他国の人間がうらやむほど土地が肥沃で、作物はそれほど手をかけなくても収穫できたらしい。
放っておいても作物が取れるなら、わざわざ苦労してコヤシを撒く者もいないし、沖縄県人がのんびりしているのはこれが原因かもしれない。

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沖縄県人はブタが好きである。
市場に行くとたいていの本土人が、売られているブタの顔にびっくりする。

一行は視察を続け、見里村というところの榕樹(ヨウジュ=ガジュマルのこと)の下で昼食にした。
これは沖縄を旅していると街のなかでもよく見かける木で、気根という根っこをもじゃーっと垂らした宇宙怪獣のようなかたちの木である。
わたしは十数年まえに名護市に行って、道路のまん中にそびえるガジュマルの古木を見たことがあるけど、これは成長の早い木なので、まさか儀助の見た木じゃあるまいね。

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ここではカジュマルの表記にレンケンクツバンというむずかしい名前も使われていて、ここに載せようと思ったけど、漢和辞典にも出ていない漢字なので変換できなかった(とりあえずひと文字だけごまかして載せてみた)。

このあとは大宜味の海岸や観光ポイントをながめていこう。

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儀助は行く先々の村で経済状況などを詳しく調査し、大宜味地区の生産物の出納は、輸出金額から輸入金額を引くと大幅に黒字で、この地方の景気はいいはずだと書いた。
ところがこのあと国頭(くにがみ)地区の奥間村というところで、本土から来ていた巡査から話を聞くと、あんな出納帳はみんなデタラメですよという。
なにそれ。
沖縄では負債は隠すのが常識になっていて、そんなことはだれでも知ってます。
ホントかよというわけで、さらに詳しく調べてみたら、負債額は最初の帳簿の倍にふくれ上がった。

よくわからない。
儲けが多すぎて隠すならわからないこともない。
琉球王朝の時代には、うっかり儲かっていますなんて正直に書くと、その分も税金としてごっそり持っていかれることが多かったから。
中国、韓国などはそういう国だったのだ。
しかし沖縄県人はわりあい呑気で、これまでのところ、赤字を恥じるようなタイプには見えないんだけど。

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儀助は沖縄に来るまえに寄った奄美大島でも、似たように状況があるのに気がついていた。
出納をごまかすという悪しき風潮は是正しなければ、新政府になったばかりの日本のためにならないと、儀助は報告書に書いた。
そのせいか、彼は南島探検が終わったあと、奄美大島の島所長に任命され、この島の負債をなくすことに奔走することになる。

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2022年3月 9日 (水)

お得意さん

いったいこれはなんなのか。
世界中がたったひとつの意見にしがみついて、その他の意見をゼッタイに認めない。
わたしがプーチンだったら発狂してるワ。
悪いのはウクライナのほうだ、アメリカだと、ちゃんと理由も書いて説明してるのに、そんなものは無視、無視、無視。
自分にとって都合のわるい意見はぜーんぶ無視。

とにかく、なにをいってもロシアが悪い、悪い、悪い、悪い、悪い、悪い、悪い、悪い、悪い、悪い、悪い、悪い、悪い。
問答なんか無視だ。ぜんぶ無視だ。上から下までみんな無視だ。
マスコミもネットもぜんぶロシアが悪いで意見統一、そうではないという意見に対しては、大音量で徹底的に罵倒して圧殺する。
NHKでニュースキャスターがやはりロシアの悪口をいっていた。
それでも国際情勢に詳しいはずのキャスターかと文句をいいたかったけど、いまのご時世、そういわなけりゃコワくておもても歩けないんだろう。

わたしのブログは世界でたったひとつの、ロシアに理解をしめすブログかも。
おかげでそろそろ爆発炎上するんじゃないかとドキドキしてるんだけど、そんなものもなし。
ただ相手の言い分にも耳を傾けようといってるだけなのに、それすら自分の都合のわるいことらしく、やっぱり無視。
せめて反論とかいちゃもんでもつけてくれればいいんだけど、それもなし。
ああ、病気になりそう。
わたしがおかしいのか、この世界のほうがおかしいのか。
いよいよボケが頭にまわったか。

聞こえてくるのはあれもこれもロシアの謀略だって。
サイバー攻撃も犯人はロシアだって。
こういうことがいちばん得意なのは、インターネット発祥の国アメリカに決まっているのに、そんな声はただのひとつも聞こえない。
テレビが流すのは、これでもかこれでもかっていうウクライナの悲劇と、無能なウクライナ大統領のインタビューだけ。
今朝のニュースじゃフランスでプーチンの蝋人形が倉庫にしまわれたって。

プーチンもそうだけど、中国の習近平サンも悩んでいるだろうねえ。
そんなことはないと100回いっても、返ってくるのはそれをさらに何十倍、何百倍した、怒涛のような “おまえが悪い” の言葉だけ。
ムチャクチャだな。
これじゃ彼らが反論はムダだとあきらめるのも納得。
顔の見えないファシズムだ。

わたしたちは米国の謀略に踊らされているんだよ。
いつのまにかニュースはロシアのことばかりで、アメリカが二つに分裂していたことなんかどこかへすっ飛んじゃったじゃないか。
おかげでトランプさんが霞んじゃったのが、ゆいいつの取り柄か。
これほどうまくいくとはと、バイデンさんも取り巻きもほくほくなのに違いない。
まあ、アメリカの一極大国化を世界が望んでいるならそれもいい。
しかしその先に待っているものは、オーウェルの「動物農場」のような、もっと絶望的で悲惨なもののような気がするワ。

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2022年3月 8日 (火)

戦争の裏側

だんだんわかってきたよ。
確証があるわけじゃないけど、こいう見方もあると参考のために読んでほしい。
まちがいやカン違いがあったら、むしろどしどし指摘してもらって結構だ。

ウクライナはオリガルヒ(新興財閥)に牛耳られた国だそうで、ウィキペディアには当の新興財閥の顔写真まで出ている。
たぶんウクライナの政治家は、すべてというわけじゃないけど、西側寄りの政治家にかぎれば、そういう連中の傀儡なのだろう。
たとえば、かっていた美しすぎる政治家のティモシェンコさんなども。

新興財閥が夢見るのがアメリカだ。
うるさい規制がなく、自由にやりたい放題で、とことんまで富を追求できる米国は、彼らにとって夢のような国にちがいない。
それにひきかえ、ロシアのプーチンは、経済人が政治に口を出すなという頑固な信念の持ち主で、新興財閥とはまっ正面から衝突する大統領だ。
こんな融通のきかない相手に積極的な関与をされてはたまらない。
ウクライナの新興財閥たちは、なんとかロシアと距離をおこうとさまざまに工作する。
もちろん彼らはおもてには出てこず、すべて政治家にやらせるから、はたから見ていると民主的な選挙で選ばれた政治家が、まともな政治をしているように見える。

EUの一員になり、NATOに加入するというのは、ロシアに関与させないためにもっとも効果的な方法だ。
ロシアにとってはまったく逆で、ウクライナがNATOと組んでしまったら、関与がむずかしくなるばかりでなく、ぜったい関与させないために、彼らは西側の兵器でハリネズミのように武装してしまうかもしれない。
これはロシアから見ると安全保障上でもひじょうに危険なことだし、ウクライナの新興財閥と、冷遇されていたロシアの新興財閥が結託して、プーチンに歯向かってこないともかぎらない。
これまで自重していたプーチンは、ここで一気に連中を壊滅させてしまおうと考えたのかもしれない。
これは国家間の戦争ではなく、ウクライナの新興財閥とプーチンの戦争なんじゃないか。
そう考えれば、ウクライナの無能な大統領がNATOにこだわる理由も符牒が合う。

そんな新興財閥に、どうしてアメリカのようなまっとうな大国が味方するのかって?
まだ皆さん、国際政治がわかってない。
北朝鮮やミャンマーのようなヤクザ国家とも、そのときどきの都合でくっついたり離れたりするのが国際政治というものだ。
まして現在のアメリカは、分裂や衰退に歯止めをかけようと必死なときじゃないか。
組める相手や利用できる相手なら、ギャングとでも組むさ。
しかも相手は自分たちの社会を見習おうという、同じ穴のムジナのような連中だ。

こんなことを書くと、わたしは世界的にもめずらしい、ロシアに味方する異端児ということになるだろう。
んにゃ、わたしが名うてのヘソ曲がりだということは認めよう。
しかしウクライナという国がけっしてほめられた国でないことは、ここまで書いてきた通りだ。
ウクライナにも批難される部分があるし、プーチンのほうにも擁護される部分はある。
わたしがいいたいのは、物事の背景をくわしく知ろうともしないで、戦争は仕掛けたほうが悪いと短絡的に思い込んでいる人たちが多すぎるということだ。
若い人たちにいいたいけど、キミが相手の立場ならどうするかということをつねに考えるべきだ。
いまテレビでウクライナの大統領が必死でなにかいってるけど、彼はそれ以前に国のためになにをしたのだろう。
NHKはプーチン大統領が病気ではないかとまでいいだしたけど、マスコミが日本で流しているニュースはすべてこちら側のものなのである。

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2022年3月 7日 (月)

ああ、ウクライナ

話がどんどんややこしくなるな。
ロシアのテニス選手がユニフォームからロシア国旗を外したといって、ロシア国内で袋叩きにされているそうだ。
パラリンピックでも発言するのはウクライナ選手ばっかりで、そもそも政治の介入を認めないはずの五輪でも、問答無用でロシア選手の排斥が起きる。
日本にいるロシア人ユーチューバーたちは、いっせいに謝罪の映像をアップする。
もうすこし冷静に考えることは出来ないのだろうか。

わたしにいわせれば、この戦争を引き起こした張本人はウクライナである。
相手が絶対に容認できないことをゴリ押しすれば、結果はこうなることがわかっていた。
だいたいそこまでNATOにこだわる理由がウクライナにはあったのか。
以前クリミヤ半島にロシアが侵攻したときのことが記憶にあって、それでNATOに後ろ盾になってもらおうと考えたんだろうけど、ロシアが気にするだろうということは考えてなかったのか。
そのクリミヤの問題にしたって、信頼していたウクライナが造反の動きを見せたから、せめてロシアにとっては貴重な軍港だけでも返せと実力行使をしただけで、取り戻したあとロシアはそれ以上積極的にウクライナに関わっていない。

ウクライナについて調べてみたら、欧州でも有数の貧困国だという。
しかしこの国は日本の倍ちかい面積と、肥沃な土地を持った、けっして条件のわるい国ではない。
いったい貧しい原因はどこにあるのだろう。
なんでもしょっちゅうデモばかりやっている、そうさな、韓国みたいな国といったらいいか、そしてオリガルヒがのさばっているというから、ちょうどエリツィン時代のロシアのような国であるらしい。
このブログでも取り上げた、日本在住のウクライナ人ユーチューバーの発言通り、そうとう腐敗した国のようで、わたしが想像する、地平の彼方までヒマワリと麦畑の続く、うるわしのウクライナとはイメージがだいぶ異なるのだ。

世間には悪ノリして、ロシアはソ連時代の帝国復活を目論んでいるなんて、これはNHKの解説委員までいっていたけど、また冷静に考えてみよう。
ロシアはいちおう世界第三の大国ということになっているけど、図体がデカイだけで、この国だけで世界を相手の戦争ができると考える人がどれだけいるだろう。
まだしもナチスドイツのほうが、指導者の判断を誤らせるくらい、その実力を備えていた。
まして今回の騒動で、西側諸国は結束の固さを見せつけたところだ。
ロシアに出来ることはかぎられているのだ。

いちばんタチが悪いのがアメリカだ。
この機会を最大限に利用しようと、ウクライナ軍を支援する。
支援されたウクライナ軍は、あのアメリカが味方だと勢いづいて、徹底的に抵抗する。
最初はおだやかに済まそうと考えていたロシアも、そうなると攻撃が手荒にエスカレートせざるを得ない。
ウクライナ軍が米国から提供されたミサイルで露軍のヘリを撃ち落とす。
露軍は敵陣地にミサイルをぶち込む。
死ななくてもいいはずの若い命が失われてゆく。
これでは解決策は遠のくばっかりだ。
アメリカはなぜウクライナを説得して戦争をやめさせないのか。
これがわたしのいちばん気になるところだけど、おそらく米国は自国の都合のために、むしろ戦争をあおる立場なのだろう。

テレビを観てもネットを閲覧しても、ロシアの非道を訴える人ばかりで、あきれかえったことにNHKまで、すべてロシアが悪いという前提で、相手の発言の言葉尻をつかまえて、拡大解釈をしていた。
プーチンが核兵器を使うっていったそうだけど、たかがウクライナ相手にどうしてそんなものを使う必要があるのか。
核兵器というのは北朝鮮のような弱小国家が、巨大な相手に脅しとして使うもので、そんなものを使ったら自分のほうにも被害はハンパじゃない。
それが小型の戦術核で、ほんとうに自国が侵略されてにっちもさっちも行かなくなったときなら使うかもしれないけど、そんなことは日本だって考えているだろう。
たとえば将来、中国が圧倒的な大国となって侵略してきて、もはや通常兵器では太刀打ちできないとなったら、日本だって核兵器を持ち出すかもしれない。
プーチンの発言は売り言葉に買い言葉みたいなもので、アメリカがロシアを困らせようと、無責任なことを続けなければ出てくるはずのないものだ。

欧州には経済をロシアの天然ガスに依存している国が多いけど、これはロシア経済にとっても重要なものなので、どちらもこのパイプラインを止めようとは思わない。
しかし戦争になればそんなことはいってられない。
おかげで欧州では原発廃止や温暖化対策の見直しまで計られる始末で、アメリカの行為がめぐりめぐって、バイデンさんと米国民主党の公約である温暖化対策までひっくり返そうとしているわけだ。
ややこしい、わけがわからない。

いったいウクライナという国は、政治家が日本のようにまじめでありさえすれば、大国のあいだを上手に綱渡りして、それなりのポジションを得ることも可能だったんじゃないか。
あるいはプーチンのように、大統領がオリガルヒとの対決も辞さない真の愛国者でありさえすれば、もっとまともな国になっていたんじゃないか。
いまの大統領は芸能界上がりらしいけど、それが悪いとはいわない。
しかしわたしにはどうしても彼が、オリガルヒの手のなかで踊らされているパシリにしか見えないのである。
中国やロシアなど、もとの共産主義大国がきらわれているのは世界的風潮だけど、そのいずれももはや共産主義とはいえないグローバル国家になっているのだから、国民ももっと冷静になってほしかった。
わたしはウクライナという国が好きだから、あえていう。
いたずらにアメリカや欧州に所属したいと考えるまえに、もうすこし自分たちでなんとかすることはできなかったのだろうか。

日本やその他の国の人たちにもいいたいけど、戦争は仕掛けたほうが悪いと、表面的なことばかり見ていないで、もっとその根っこまで勉強してほしいやね。
戦争反対を叫ぶ人たちは、どうしてウクライナを説得しようとしないアメリカに抗議しないのか。
ロシアが帝国の復活を夢見ているとか、核兵器を使うなんて意見に耳を貸す必要はまったくない。
いま必要なのは、まず戦争をやめさせることだ。
まえにも書いたように、それはやる気があればすぐにでも出来るのである。

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2022年3月 6日 (日)

ウクライナのために

わたしが有名人だったら、おそらく出来なかったと思うけど、またロシアとプーチンを擁護してみよう。
断っておくけど、わたしはウクライナがきらいというわけじゃない。
わたしにはロシアもウクライナも(コーカサスなども)、同じように旅をしてみたいと思わせる歴史と文学の国なのだ。
わたしがいいたいのは、物事を公平・客観的に見て見てほしいということなのである。

ソ連が崩壊してすでに30年が過ぎ、プーチンがあとを継いでからさえ20年が経過した。
いまの若い人の中にはプーチンの功績も知らない人が増えているようだけど、わたしは彼が大統領になってからの歩みをリアルタイムで見てきた年寄りだ。
ソ連邦が崩壊してからエリツィン大統領が執権をとったころのこの国の惨状は、目をおおいたくなるほどだった。
社会をマフィアと結託した新興財閥(オリガルヒという)が支配して、正直な一般市民を食い物にした。
エリツィンにそういう社会を正す能力があったとは思えない。
エリツィンのあとを継いだプーチンは、剛腕ともいえる手法でオリガルヒを排除し、不正が蔓延したロシアを立て直した。
彼のことを悪くいう人はいくらでもいるけど、プーチン後のロシアが、一般庶民にとっても安全で豊かな国になったことを否定できる人がいるだろうか。

わたしは2013年に、知り合いに連れられてロシアに行ったことがある。
知り合いの知り合いはスズキの四輪駆動車(軽ではない)でわたしたちを迎えに来た。
すでにロシアでは一般人も日本製の自家用車を持てるようになっていたことに、モノ不足で窮屈な国だと思っていたわたしはおどろいた。
しかも相手は、車は日本製がイチバン、ロシア製はダメなんてことを平気でいう。
もの言えばくちびる寒しのソ連時代、人々がつねに密告や粛清におびえていたロシアはどこにもなかった。
わたしはアメリカ入国と同じていどの容易さでロシアに入国したのである。

プーチンは自分の息のかかった仲間(オルガリヒ)たちを起用して勢力をのばしただけだという人がいる。
しかしマフィアというのは他人が儲けるのを喜ばない。
儲ける金があるなら上納しろと、ケツの毛までむしるのがマフィアであり、国のことより自分のことだけを考えるギャング集団なのだ。
プーチンとその仲間がマフィアなら、北朝鮮のぼんぼんのように、自らの贅沢のためだけに権力を行使して、国民を悲惨なままにしておくこともできたはずだ。
おそらく彼は、自らが起用したオルガリヒたちに対して、儲けるのはいくら儲けてもかまわない、ただし商売はまっとうな方法で、税金はちゃんと納めろよと厳命したのだろう。
信じられない人は、プーチン以前のロシアと後のロシアで、社会がどう変わったかを見ればよい。
国民が安心して暮らせるようになるというのはどういうことか、自分の頭で考えてみればよい。

おどろくのはロシアがやると悪で、アメリカがやると正義と思う人が多いこと。
ロシアにとってウクライナがNATOに加盟するということは、そのまま西側の兵器がウクライナに配備されるかもしれないということで、ゼッタイに容認できることではなかった。
かってキューバにソ連のミサイルが配備されようとしたとき、アメリカはどうしただろう。
立場をひっくり返せば、現在の状況はそっくり当時のアメリカに当てはまるのに、自ロ他不(自分がやればロマンスで他人がやれば不倫)の見本を見せられているようだ。

こういうとき、むかしなら西欧諸国がウクライナに向かって、物質的援助は続けるけど、いまNATOに加盟するのは時期尚早だといってなだめたものだ。
いまでも台湾にはそうしている。
台湾は中国からの独立が悲願だけど、米国を含めた西側諸国のどこも、台湾に理解は示すものの、独立してしまいなさいとはいわない。
それはなぜかと自分の頭で考えてみることが必要だ。
ウクライナの場合は、主権国家がなにをしようとその国の勝手だなどと、もっともらしいことを言い張る。
これではむかしのほうが融通がきいたような気がするし、政治というのはそういうものじゃないか。
ちょっとウクライナをなだめるだけで、市民をまきぞえにする悲惨な戦争を終わらせることができるのに。

ところでこれについてもいっておくけど、中東の戦争で盛大に誤爆をして、民間人をいちばん殺傷したのは米国である。
その米国がこれ以上の犠牲者を出さないように、ウクライナ説得に乗り出さないのはなにか理由があるのだろうか。
あるんだろうな。
ウクライナ問題を平和的に解決されてしまっては、敵を作ることで国内をまとめようという米国にとってありがたくない。
戦争をあおって、双方がネを上げ、自分がいちばん目立つ場面で仲裁に入ろうと、そのタイミングを待っているんだろう。

若い人たちにいうけど、他人を責める場合はつねに、同じようなことを責める側もしていないか考えてほしい。
わたしたちのひとりひとりが、つねに公平・客観的であることは、情報が氾濫し、情報操作をしようという輩の多い現在は、とくに必要なことなのである。
この戦争は止めようと思えばいますぐにでも止められるのに、だれもそうしないのだ。

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2022年3月 5日 (土)

ポピュリストたち

ポピュリストというのはわかりやすいことを好む人たちのこと。
戦争は仕掛けたほうがわるい。
こんなにわかりやすいことはない。
世界中にプーチンを非難する声が溢れている。
しかしプーチンにはウクライナのNATO加盟を傍観するという選択肢はなかった。
ひるがえってウクライナの大統領には、悲惨な戦争を防ぐ機会はいくらでもあった。
NATOにもロシアにも頼らず、自分の国だけでやっていくという気構えを持つだけでよかったのだ。
それが政治というものなのに、努力をするより他国に頼るほうを選んだ。
それもロシアにとっては最悪の方法で。

無能な大統領でも、抵抗することで英雄になってしまう。
有能な大統領でも、侵攻したことで悪人になってしまう。
いまやロシア国内でもプーチンを責める声が溢れているようだ。
たしかにプーチンには自国の実力を過信するという、アメリカがしょっちゅうやっていると同じ過ちがあって、その点を突こうと早くも冷遇されていた新興財閥たちが動き出している。
プーチンの未来は危ういかもしれないけど、彼がいなくなったらロシアはどうなるだろう。
そのツケはロシア人自身が身をもって支払うことになるのか。
というところまでは、複雑すぎて考えられないのがポピュリストの特徴だ。

わたしもこの戦争が早く終結するよう願う。
ナポレオンやナチスドイツに想いを馳せながら、自由にロシア、ウクライナの土地を歩きまわりたい。
このふたつの国の蜜月時代ほど、わたしにうるわしく見える時代はなかったのに。

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2022年3月 4日 (金)

沖縄/ウミウサギ

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儀助が寺社めぐりをしたとき案内をしてくれた人で、謝花寛顕という沖縄県人がいた。
謝花(じゃはな)という姓は沖縄に多い名前で、地元の人だから沖縄の政治にも詳しく、儀助にこの世界の裏の事情をいろいろ教えてくれた。
これがおもしろいから、長いけど要約してみよう。

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日本は明治維新で廃藩置県という大改革を断行し、それまで沖縄にあった琉球王朝を廃止して、その末裔である尚泰王を貴族待遇で東京に住まわせた。
沖縄には旧藩主、つまり琉球王国の国王をしたう保守政党と、日本のもとで新しく出発しようというリベラル政党があった。
保守政党というのはかっての士族階級で、これ自体が黒党、頑固党、開化党の三つに分かれていて、手法は異なっても、いちおうすべてが王政復旧を目的としていた。
黒党と頑固党は中国(清)を頼りにして、ひんぱんに密航しては中国政府と連絡を取り合い、人心を撹乱するために、中国が攻めてくるというデマを飛ばすこともあった。
中国を頼ることは共通していても、その配分では、黒党は完全に中国一辺倒で、頑固党は日本と中国を天秤にかける主義だったそうである。

琉球王朝の末裔である尚家は、かっての家来たちをかかえていまなお隠然たる力を有していたから、頑固党は尚家を味方にして、その支持者たちを自分の陣営に引き込もうとした。
この党の人気は、表面的にはまずまずだったけど、中国が彼らの支援に動いたことはいちどもなく、現実にはたいした運動にならなかったばかりか、そのうち運動資金という名目で中国にワイロばかり取られていることに気がついた。
このころの中国は、上の者に会うためには下の者にワイロが当然の国だったので。

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中国に本気で支援してくれる気があるのかどうか、使者を何度も送って確認してみたけど、相手はどうにも煮え切らない。
黒党、頑固党に所属する人間は、現実には密輸のために加入している輩が多く(中国の品物は日本で3倍に売れた)、日本と中国を行ったり来たりするうち大儲けする者もいた。
そんなわけだから、大義は立派でも、このグループの人気が盛り上がるはずがなかったのだ。
開化党は前のふたつとちがって、琉球王朝の復旧を悲願とするところは同じだけど、日本を交渉相手にするという方法で細々と運動を続けていた。
もちろんいずれのグループも、廃藩置県を断行したばかりの日本政府に相手にしてもらえるはずがない。

一般平民はどうかというと、日本の新政府を歓迎する空気が強かった。
理由は、王政のころはワイロが横行し、税金はむやみに上がって生活が苦しかったのに、新政府になってからは税金は軽くなり、ゆとりのある生活もできるようになったからである。
だから王政復旧なんてとんでもないというのが、大半の平民の立場だった。

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最近あった事件のひとつは、頑固党のなにがしが密航のため尚家に費用を借りに行ったら、日本政府に反抗するなんてケシカランと会計係に断られ、その会計係はなぜかまもなくクビになり、なんとか借金できて密航することができた。
これが警察にバレて、密航者の家族まで取り調べられ、中国政府の密書なんてものまで出てくる騒ぎになり、まきぞえを恐れた尚家の家族はみんな上京してしまった。
密書には代々の琉球王朝の王さまの名前があったそうだけど、いまさら影響力のある者はいなかったばかりか、活動家の行動はみんな日本政府に筒抜けだったようで、どうにもだらしない政治運動である。
謝花さんの話はこんなところ。
この話をもっと詳しく書けばおもしろいスパイ小説になりそうだけど、わたしはサムセット・モームでもグレアム・グリーンでもないしなあ。

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沖縄の士族が琉球王朝の時代にもどりたいというのは、特権階級だった彼らにしてみれば当然のことで、廃藩置県が紛糾するのを日本政府はあらかじめ予想していた。
日本政府がすべきことは、無能な役人のクビを切ること、租税システムの改善などで、県民の不満を抑え込むことだった。
しかし沖縄で功績のあった知事というと、10年まえの西村知事が県内の事業を推進したり、学校や道路を作ったりしたことぐらいで、ほかの知事はだれひとり目に見える功績を残していない。
どの知事も沖縄に長く赴任したがらないのが原因だと、こんな打ちあけ話を聞かせてくれたのは、沖縄の島所長をしていた西常央(にしつねのり)という人である。
ただしほかの知事に聞かれるとさしさわりがあるので、ここでは某氏というふうに伏せ字にしてあって、儀助も守秘義務を守っている。

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儀助は首里役所で西所長に会った。
今度はさしさわりがない話だから、おおっぴらに名前をだす。
じつはこの西という所長、長崎の平戸から警察官として沖縄にやってきたあと、八重山に視察に行ってたちまちマラリアに罹り、いまなお完治せずに定期的に高熱を発するという人だった。
これをみてもマラリアは、沖縄ではありふれた、めずらしくない病気だったようである。

なかなか豪気な人で、なにマラリアなんか、科学の発展のためにわたしが生きた標本になりますよといっていたらしい。
もう7年間も人体実験を継続中ですというから、なんかわかりましたかと訊くと、医者の注意はあてになりませんなという。
わたしは医者じゃないから専門的なことはわからんけど、実地に見たところでは、人が大勢住んでいるところのほうが、少ない土地より患者が少ないから、小さな村を合併して人口の多い村にしてしまうのがマラリア根絶の第一歩です、がははなんて笑う。
彼は儀助よりさらに国粋主義者だったらしく、沖縄の最初の神であるアマミクは、日本の天照大神(アマテラス)の子孫にちがいないし、波照間島という名前も果てのウルマの転語ですから、沖縄がむかしから日本の領土であったことは間違いないなどという。
なんだかよくわからない理屈で、わたしにもサッパリわからないから、無視して先に進むことにする。

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この西常央という人は博物学者としての評判のほうが後世に知られていて、このときも自ら蒐集した土器や、古代の墓の埋葬品である勾玉や、昆虫や貝のコレクションを儀助に見せてくれた。
島生活というのは退屈なものなので、貝の収集というのはだれでも思いつくらしく、ここに載せた貝の標本は、わたしが西表島の旅館に泊まったとき、玄関に展示してあったものである。
この旅館の標本のなかには、白い貝殻に赤い目と口を描いて海ウサギと名札をつけたものがあり、思わずわたしをほっこりさせた。
海のなかにはじっさいに「ウミウサギ」という貝がいるのである。
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これはタカラガイの一種で、名前の響きが美しいし、白い貝殻が白ウサギを思わせるきれいな貝だ。

柳田国男の「海上の道」のなかに、古代の人にとって海はひじょうに危険なところのはずなのに、それを承知で、どうして人々は日本列島に渡ってきたのだろうという話がある。
それはひとえに、当時通貨として使われていた貴重なタカラガイを求めてではなかったかという。
ゴールドラッシュで氷雪のアラスカに押し寄せた人々もいるのだから、この推察は当たっていて、日本人の祖先は欲の皮のつっぱった人ってことになるのかも。

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波打ちぎわを歩いていると、よくタカラガイの死んだ貝殻が落ちているのを見つけることがある。
生きているときのタカラガイは全体がナメクジのような外套膜におおわれ、外から貝殻が見えにくいけど、かならずしも白いものばかりではなく、いろんな色と大きさのものがある。
わたしはダイビングにはまっていたころ、伊豆の海でウミトサカについている小指の爪ほどのこの貝を見つけ、全体が宝石のように美しかったから、ぜひコレクションしたいなと思ったくらいだ。

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西所長のコレクションのなかに、ほかにも“鳩目銭”という琉球時代の古銭があった。
ごれは簡易通貨で、中国から冊封使が来たときだけ使用するものだという。
なぜそんなものを使うかというと、冊封使の従者たちは中国から持ってきた品物を、沖縄で高く売りつけるくせに、こっちの品物は安く買いたたく。
一度や二度ならともかく、こんなことが続くと、差額として持ち出される日本の銅銭もバカにならないので、冊封使との取引にかぎって安ものの硬貨を使うことにしたのだそうだ。
写真を探してみたけど、もともと貨幣としての価値のないいいかげんなものだったから、まともなものは残っていないようだった。

那覇滞在中に儀助は風邪をひいてしまった。
どうも東北からいきなり熱帯に来たのがいけなかったらしい。
さいわいマラリアではなかったものの、熱が出て終日体がだるい。
責任感のつよい彼は探検を目前にして寝ているわけにはいかないと、まえに書いた落平(ウチンダ)の泉まで行き、冷水を浴びて強引に病気を抑え込んだ。
いろんな治療方法があるものだけど、マラリアをものともしない西常央といい、この儀助といい、明治時代はバンカラな豪傑たちの時代といえるかもしれない。

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宿屋で書類を整理していると、大有丸の船長がやってきた。
儀助は沖縄本島のあと、この船に乗って八重山に行く予定だったので、いろいろ話を聞いてみた。
この船長は沖縄県から土地を借りて開墾事業もしているという。
人は集まりますかと訊くと、ええ、こちらでは人身売買の風習が残っとりますからね。
一時金を40円、50円も貸してやれば、大のおとなが一生タダ働きで使えますんで、まあ農夫には不自由しませんよという。
奴隷農法じゃありませんか、そりゃひどいというと、でも沖縄人というのはなまけ者で、労働時間は朝8時から夜の6時ということになっておるんですが、だいたい1日3回は休憩をとるし、メシのときは4時間も仕事をおっぽり出して帰ってきませんのでね。
実働は6時間にもなりゃしませんとのこと。
どうも労働者も経営者も、南国特有ののんきな気質だったらしく、平和な時代があったものだ。

大有丸の出航が遅れたので、儀助はこのあいだに沖縄本島を視察するつもりで、キナ丸300錠を準備した。
それだけのキニーネが必要なくらい、沖縄探検は危険なものだったのである。

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2022年3月 3日 (木)

暴力的に

ウクライナではあいかわらずドンパチが続いていて、ネタがないわけじゃないけど、いまうかつなことをいえない雰囲気。
そういうときはどうするか。
わたしにできることは、暴力的に音楽を聴くことしかない。
YouTubeで手当たり次第に思いついた音楽を聴いてみる。
なんとなく耳に残っていたビートルズの Here, There And Everywhereって曲を聴く。
つぎにB.B.King の The Thrill Is Goneを聴く。
とつぜんボサノバが聴きたくなって、「マシュ・ケ・ナダ」を聴いてみる。
そのつぎはミンガスのジャズで「直立猿人」だ。
ドアーズの「アブソルートリー・ライヴ」の中の Who Do You Loveで頂点に達し・・・・・

今夜もひきこもってしみじみ音楽にひたる。
え、宗教なんかに凝っているよりよっぽどマシな夜だ。
早く平和がきて、また日本にいるロシア人、ウクライナ人のユーチューバーが、好きなことをいえる世の中になるよう祈るしかない。

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2022年3月 2日 (水)

花壇

朝の10時ごろ、何気なく花壇のようすを見に行ったら、どこかの女の人がせっせと枯れ葉を片付けているのが見えた。
近所の人らしく、せっかくの美しい花壇が手入れもされていないので、見かねて片付け始めたのだという。
うちの団地も創価学会ばかりやってないで、こういうことに熱心になってくれればいいのに。

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わたしは肥料をやってないというひけめがあるから、枯れ葉をそのままにしておけば肥やしになるのではないかと、冬のあいだ花壇をほっぽらかしにしておいた。
彼女はいくらか花のことに詳しいらしく、冬でも植物は日に当たらないといけないので、枯れ葉はできるだけ片付けたほうがいいという。
なるほど。
ついでに葉ばかり伸びているヒガンバナの扱いについて聞いてみると、抜いたら球根も抜くことになるので、ほうっておけばいいでしょうという。
なるほど。
そこへ庭木に1羽の小鳥が飛んできた。
あら、カワイイ小鳥がというから、あれはジョウビタキですねとわたし。
わたしのほうが詳しいものもあってうれしかった。

いろいろ勉強になった。
いずれにしてもそろそろ花の季節になるので、手入れを始めなければいけないと考えていたところだ。
今日は枯れ葉を2人で6つのビニール袋にいっぱいにした。
これを手始めに、また花壇に関わろうと思う。

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2022年3月 1日 (火)

宗教

となりの部屋のおじさん、聖教新聞さえ読ませりゃわたしを勧誘できるとカン違いしてるようで、せっせと新聞を入れてくるし、ビールさえ差し入れれば折伏できると信じているらしく、先日も缶ビールを持ってきて、何をいうかと思ったら、会館の集まりに行きませんかだって。
会館て、あの、創価学会のと聞くと、そうですという。

アノネ。
あんた、わたしのブログ読んでないのとどやしつけたくなったけど、読むわけないよな、パソコンなんかさわったこともない相手だ。
わたしは筋金入りの無神論者で、創価学会、立正佼成会、天理教、そういうものを全部ひっくるめてカルト扱いしている男だぞ。
え、オウム真理教でもなんでも、個人でやるぶんには文句いわないよ。
でも他人を誘うのやめてくれる?
会館なんてところに行ったら、まわりは全員が会員でしょ。
そんなところで創価学会をボロくそにいう度胸はないやね、わたしには。
話があるならわたしの部屋に来れば、1対1ならいくらでも相手になってやるよ。
こっちも退屈しているところだ。
あ、そんときはビールとおつまみ忘れんといて。

思うんだけど、他人を勧誘してポイントを稼ぎ、将来は幹部候補生というのでは、やっぱり信者を競争させることで勢力を伸ばしていったオウム真理教と同じだ。
それより団地のまわりの花壇に、種を蒔き、肥料をやって、花をたくさん咲かせ、幸せな気持ちになるほうがよほど功徳や悟りに近いんじゃないかね。
わが家の団地は創価学会の巣窟だそうだけど、そういう気持ちになる人はいないのだろうか。

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どうしよう

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団地の花壇に、白いスイセン、黄色いスイセンのつぎにクロッカスが伸びてきた。
ぽつんぽつんとだけど、これは引っ越ししていった6号棟さんの形見だ。
ああ、どうしたらいいだろう。
もうすぐ花の季節が始まるのに、わたしには花壇を維持する方法がない。
わたしは農家でも園芸家でもないので、花を増やす方法を知らないのだ。
去年は見るに見かねて草むしりをしたけど、肥料をやったり、種を蒔いたわけじゃない。
これでは花が増えるはずがないけど、そもそも種や肥料に金をつぎこめるほど金持ちでもない。
そこまでやって団地の人たちに頼りにされたら、かえって困ることになる。
もうすぐ花の季節ということは雑草の季節ということでもある。
草むしりぐらいはするつもりだけど、あれってけっこう重労働で、去年はギックリ腰の寸前までいった。
さあ、どうしよう。
わたしがここへ越してきた当時の、あの奇跡の花の王国はもう見られないのか。

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