ヤナギの綿毛
うちの近くの水の流れない川・空堀川を下っていくと、やがて柳瀬川と合流して水の流れる川になる。
この川ぞいの道は童心にかえって、どこまでもどこまでも自転車を走らせたくなるところだ。
昨日は天気がよかったから、どこまでも走ることに拍車がかかって、その先の清瀬金山調節池という、自然観察やバードウォッチングにふさわしい公園まで行ってみた。
公園のなかで、空中をおびただしい綿毛がただよっていた。
いまの季節はタンポポではなく、ヤナギの綿毛である。
これを見るとわたしは若いころ体験したシルクロードの旅を思い出す。
敦煌の莫高窟のまえで、わたしはひとりで迎えのタクシーを待っていた。
運転手はわたしが見物しているあいだに、街まで食事をしにもどってしまったのだ。
それはいいけど、約束した時間にいないってのはどういうことなんだ。
怒り狂うわたしのかたわらに、ポプラの綿毛がふわふわとただよっていた。
中国ではポプラを白楊といって、これはシルクロードにひじょうに多い木であり、畑のなかに一列にならんだ木があれば、それはたいてい白楊だ。
わたしは梢を見上げて綿毛の発生源を探したけど、それらしきものは見えなかった。
しかしほかに木なんか生えてないところである。
ポプラよ、ポプラ。
まだシルクロードがウクライナのことも知らない平穏だったころの思い出である。
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