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2022年5月29日 (日)

本日のプロパガンダ

昨夜のNHKニュースを録画しておいて、朝になってから観たけれど、怒りに震えた。
まあ、じいさんのわたしが震えても仕方ないんだけど、つまらないサル芝居を見せられたようで。

NHKはわたしのブログを気にしたわけではないだろうけど、わたしが公平な裁判といえるのかと書いた、例のウクライナにおけるロシア兵の裁判を、またしても取り上げた。
しかも裁判が公平であることを見せつけようと、今度は裁判のようすの公開映像や、弁護士がついたという証拠のために弁護士まで登場させていた。
むかしナチスドイツが行った裁判を思い出すよ。
ヒトラーを暗殺しようとした犯人の裁判でも、ちゃんと弁護士がつき、裁判のようすも公開された。
ただし被告ができるだけみっともないように見えるよう、だらしない格好をさせ、弁護士はもちろんナチス側が用意した国選弁護士だ。
このころのナチスにはプロパガンダ戦争の開祖ともいえる宣伝相のゲッベルスがおり、裁判のようすを徹底的に宣伝に利用した(被告たちの絞首刑の映像まで残っているという)。
ロシア兵の裁判でも、傍聴席にずらりと取材のカメラが並んで、もう最初からこの裁判をプロパガンダに利用しようという魂胆が見え見えだ。

NHKニュースを注意深く観ていると、今回の事件がどんな状況だったのかということが、アナウンサーの説明つきでわかる。
まず破壊されたロシア軍の戦車が映り、そうした戦場で、兵士たちは盗んだ車で逃走中に、自転車に乗った老人がケータイで話しているのを見つけ、自分たちの居場所を通報されると思い込んで射殺したのだそうだ。
ふつうに考えてみよう。
あなたが戦車さえ破壊されるような混乱した戦場で、敵地のなかを逃走中の兵士だったとする。
味方の軍隊に合流できなければ自分も殺される可能性があるのだ。
そんなとき敵方の一般市民が自分たちを見つけ、電話でなにか話しているのを見つけたらどうするだろう。
もちろんむやみに人を殺していいというわけじゃない。
しかし戦場という尋常でない心理状態の兵士たちに、平常心を保てというほうがむずかしい。

どうして今回の裁判だけ特別なスポットが当たるのかということを考えたことはないか。
アメリカ兵なら、沖縄で婦女子を強姦した兵士がいたときも、まあ、戦争が終わったばかりだからな、このくらい仕方がないさでチョンだ。
イラクやアフガンでも一般市民を殺しまくった米国兵が、戦争犯罪人として裁判にかけられたということを聞いたことがない。
わたしはこのロシア兵の裁判は、ナチスがやったような典型的なプロパガンダだと思う。
気のドクな若い兵士には、しばらく刑務所で静養していろといっておく。
死守しろ、玉砕しろの日本ではあまり聞いたことがないけど、あちらの戦争では終戦や戦いのあいまによく捕虜交換という儀式がある。
そのうち捕虜交換が行われれば、これだけ有名になった兵士だから、いちばん先に交換要員とされて釈放されるに決まっている。
その日が早く来るよう祈っているよ、キミの母親のために。

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