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2022年5月13日 (金)

ゾルゲ

以前のアパートで下の部屋に住んでいたロシア人の金髪クン、ロシアを擁護する街の遊撃手みたいなことをしていることは、このブログに書いたけど、彼のフェイスブックにちょっと気になる写真が載っていた。
多摩墓地にある墓の写真で、彫られた名前がロシア語だから葬られているのはロシア人らしい。
金髪クンのキャプションがついていて
『5月9日勝利の日!!』
『花束を持って外出し、ファシストからあなたを解放するために命を捧げた人々にひれ伏してください』

とある。
どうやらナチスドイツと戦ったロシア人をたたえる文章のようである。

同じ墓に細君らしい「石井花子」という名前も彫られていた。
しかし平凡すぎて聞いたこともない名前だった。
翻訳してまで知りたいわけではなかったから、しばらくほうっておいたけど、いったい金髪クンはどういうつもりで、このロシア人の墓の写真を載せたのだろう。
昨夜ヒマつぶしに「石井花子」という名前をウィキで調べてみた。

これはゾルゲの墓だった。
正体がわかってしまえば、わたしにはそのくらいのロシア語は読めるのだ。
石井花子というのは彼の日本人妻の名前だった。
そんなことをいまごろ知ったのかという人がいるかもしれないけど、わたしは他人の墓の詮索ばかりしているわけじゃないんでね。

ゾルゲは太平洋戦争中に、スパイとして特高警察に逮捕され、日本で処刑されたロシア人である。
むかし、いちじ中国の宋家の3姉妹について調べたことがあって、そのときにアグネス・スメドレーや尾崎秀実などとともに、ゾルゲの名前も出てきたのだ。
とはいうもののゾルゲについては、スパイとして戦況を左右するほどの手柄を立てたわけでもないし、きびしい顔つきのロシア人ということぐらいしか知らなかった。

そんなロシア人の墓が日本の多摩墓地にある。
そして写真で見るかぎり、墓は赤いカーネーションでいっぱいに飾られていた。
花を飾ったのは日本にいるロシア人かもしれないけど、日本人だって中国人や韓国人と違って、歴史の向こうに消えた人物をいつまでネに持ったりしないだろうから、日本人の可能性もある。
わたしはゾルゲの墓が花におおわれているのを見て、とてもほんわりした気持ちになった。
憎しみ合い、殺し合うより、こっちのほうがずうっといい話ではないか。

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