陰謀論
修理に出してしまってテレビがないけど、ネット空間も無知な人たちを煽ってよろこぶニュースがいっぱいだ。
まえに書いた河添恵子サンという人のYouTube映像をまた観てみた。
今回観たのは「中国が世界から嫌われる1番の理由」というもので、もちろんわたしには大いに興味のあるところだ。
彼女は中国の清と秦を間違えていると書いたけど、こんどの映像では国共内戦を国境内戦と書いているし、彼女ははっきり宋美麗(蒋介石の奥さん)と発言しているのに、字幕のほうは宋慶齢(宋美麗の姉)になっていたから、やはり字幕をつける人はべつにいるようだ。
というより、これは音声翻訳で、人間の発言をコンピューターに翻訳させてそのまま載せているのか。
しかしそれにしてはけっこうややこしくて、翻訳するのがむずかしそうな発言までちゃんと訳しているし、うん、わからん。
どっちにしても自分の発言がYouTubeで拡散するのに、本人が最終チェックをしないのは著名作家らしくない。
そんなことを放っておくようでは彼女の発言も、彼女のバックにいる未来ネットなるものもあまり信用できない。
最初のほうでは中国を作ったのはIMFだとかいう、よくわからない理屈が出てきて、そこはまあ、わたしがあまり熱心に理解しようとしないのが原因かもしれない。
そういうことにしておこう。
最後のほうではユダヤ資本の陰謀論が出てきた。
この手は右翼の一部やカルト宗教などが、でっち上げの辻褄合わせによく使うもので、これが出てくるとわたしは永久機関論と同じ扱いをしてしまうのである。
つまりでたらめだということだ。
歴史は予測不能なもので、それを特定の人間が自分の意思で動かせるとは、わたしは思わないのである。
たとえば孫文は中国の清王朝から命を狙われており、命からがら逃げ延びたことが何度かある。
彼が死んでしまえば彼に出資した者は大損をするわけだ。
孫文は最後に新中国の産みの親と称されるまでになるけれど、それはあくまで結果論で、ユダヤ資本が陰謀で彼を担ぎ上げたとは思えない。
そんなことができるとも思わない。
話のネタとしてはおもしろいけど、◯の陰謀論なんてものが出てきたら、まずウソだと思ったほうがいい。
政治は金で動いても歴史はそうはいかないのである。
考えてみたけど、もしわたしがいま20代の若者だったらどうだろう。
おそらくわたしもつまらない扇動に乗せられて、プーチンはけしからん、弱小国のウクライナに侵略して、と怒り狂っていただろう。
わたしがもう少し突っ込んだところまで考えられるのは、やはり年の功というやつだな。
だてに歳をとったわけじゃないから、わたしにはいま20歳の若者に比べれば、書物や映画など、そして実生活から知識を得る時間はそれだけたくさんあったことになる。
長い人生のうちには、まじめそうな会社員がサギを働いたり、一見するとコワそうな人が意外とやさしかったりという実例をたくさん見てきた。
こちら側から見れば◯、しかし相手側から見ればペケということも。
人間の知識というものはそういう経験から得る部分も大きいといわざるを得ない。
だから経験不足の若者たちがおかしな情報に扇動されるのは仕方がない。
問題はそういう若者たちを扇動する側だ。
偏ったイデオロギーの支持者なのか、たんなる無知なのか、あるいは商売でやってる扇動屋なのか。
どれにしても彼らの罪は重い。
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