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2023年1月 3日 (火)

フローズン・プラネット

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NHKが放映するBBC(英国の公共放送)の新しいシリーズ。
BBCというと、ウクライナ戦争ではなにがなんでもロシアがケシカランの急先鋒だから、このシリーズがウクライナに関係ないのが幸せだ。
「フローズン・プラネット」、BBCお得意の自然科学のドキュメンタリーである。

あいかわらずどうやって撮影したのかとおどろく映像がある。
第1回目には、シャチが流氷上のアザラシを狩るシーンが出てきた。
アザラシが流氷の上で昼寝をしていると、海のなかからシャチが海面にのびあがって、ここにアザラシがいるなと確認する。
アザラシはぎろっとシャチを見るけど、流氷の上にいるかぎり安全だ。
ところがシャチは数頭が群れになって流氷に突進し、大きな流氷は割って小さくし、波を起こしてアザラシを海のなかに押し流してしまう
この場面ではアザラシとシャチを交互にアップにして、おたがいの目線まで捉えており、まるで筋書きのあるドラマを見ているようだ。

かってのBBCの自然番組は、自然界の脅威、神秘、偉大さを見せてくれるものだった。
しかるに、最近ではこれにもうひとつ重要な要素が加わるようになった。
もはや待ったなしの地球温暖化というやつだ。
観ていてつくづく悲しくなる。
番組のなかにロシア極地のある島で、集まってくるホッキョクグマの数を調査している科学者が出てきた。
この島にはまだアザラシやセイウチなどの獲物が多いらしいけど、クマが集まってくるということは、ほかの場所に獲物が少なくなっているということである。
獲物が少なくなっている原因は、これも地球温暖化の影響だ。

以前このブログで、北極の流氷が減少して餌になるアザラシがいなくなり、飢えに迫られて内陸部の街までさまよってきたホッキョクグマのことを書いたことがある。
彼はゴミ捨て場をあさったあげく、地面の上にがっくりとあごを落として動かなくなる。
同じ映像が新しい「フローズン・プラネット」にも使われていて、その後がどうなったのか心配していたこのクマの後日談がちょっぴり出てきた。
彼は無事に救われたということだから、動物園にでも送られたのかもしれない。
なんにしてもよかったよかったというところ。

観ていて悲しくなるというのは、こういう温暖化に影響を受ける動物たちのことだけではない。
動物たちを救うために地道な努力をする一方で、人間は戦争をして殺し合っているのだ。
飢えて死んでいくホッキョクグマや、かっては大群でいたペンギンの大減少など、地球には新しい危機が迫っているのに、ケチな戦争なんかしている場合だろうか。
いがみあわなくても日本が世界に役立てることはあるだろうし、ロシア、中国と協力しあえる部分、しなければいけない部分だってきっとあるはずだ。
相手にとってこちらがなくてはならない存在になるほうが、軍備の増強なんかするよりずっといいことではないのか。

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