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2023年1月 7日 (土)

嘘と政治と民主主義

「嘘と政治と民主主義」というBSのドキュメンタリーを観た。
副題に「アメリカ、議会乱入事件の深層」とあるように、これは米国のもと大統領トランプさんが、バイデンさんに敗れて大統領職を失ったとき、未練たらしく支持者たちを煽って、米国の議会に乱入させるまでの顛末をとらえたドキュメントだ。

見終わったあとで全体を省みると、現在のアメリカの分裂をまねいた元凶ともいえるトランプさんを非難する論調が目立った。
米国にもまだまだ良識をもった人たちがいるのか、わたし個人的にはそうは思えないんだけどなと、そのへんが気になってこの番組を制作したのはどこかと、クレジットを眺めてみた。
WGBHボストン・・・・・・聞いたことがある。
ずっとむかしベトナム戦争をふり返るすぐれたドキュメンタリーを観たことがあるけど、あれが確かこの放送局の制作だったよな。
米国でよく知られたリベラル派のマスコミらしく、うん、あそこのものなら公平かも知れないと思う。

なんでこんなことを考えたかというと、日本のNHKをみてもわかるように、大手のマスコミといえど、いまの社会にはけっして公平でない偏向報道が氾濫しているからだ。

「嘘と政治・・」というこの番組は、議会突入◯◯日前、〇〇日前と、時系列で政局を追いかけ、共和党がいかにトランプさんに翻弄されたか、共和党議員たちが自己の都合でどのように離合集散を繰り返したかを暴き出す。
そして、ついにバスチーユの監獄のように、扇動された民衆のアメリカ合衆国議会議事堂への突入になり、そのうちのひとりの女性が射殺されるクライマックスを迎えるのである。
手に汗をにぎる展開で、ヘタなミステリーやサスペンス映画よりずっとおもしろい。

もうひとつ気になったのは、この番組はいつごろ作られたものかということ。
番組の最後に“もうすぐ中間選挙である”という字幕が入るから、去年の11月の米国の中間選挙の直前に作られたものと考えていいだろう。
番組ではかなり一方的にトランプさんをけなしているから、中間選挙でトランプさんが思ったより振るわなかったのは、この番組のせいかも知れない。
彼はまだ大統領選に出るつもりのようだけど、共和党がもういちど過ちを犯すかどうか、トランプさんのアメリカ第一主義政治を望むなら、まったく同じような政策をあげて、トランプさんより若い候補者がいるのだから、もう彼の目はないだろうというのがわたしの予想。

「嘘と政治・・」はなかなか素晴らしい番組だったけど、あいにくわたしにかぎれば、ウクライナ戦争とバイデンさんを見ているうち、米国では民主、共和のどちらが勝ってもろくなもんじゃないと思うようになったばかりだ。
米国も日本も政治家なんて大半が自分の都合しか考えない生きものだし、WGBHもリベラルの立場を声援しているにすぎない。
そう考えると、わたしだって自分の考えを押しつけているだけかも知れないから、これ以上番組の内容に触れるのはやめることにした。

しかし、なんでこの時期にトランプさんなのか。
NHKは米国の政治に関しては、共和党でも民主党でもいいみたいだけど、たまたまウクライナではバイデンさんを支持して、一も二もなくロシア批判にまわった。
だからこの先、共和党が政権を取って、ウクライナ支援はやめたなんて言い出されたら困る。
とりあえずバイデンさんの民主党に頑張ってもらわなくちゃいけない。
つまり米国の民主党とNHKは、同じ穴のむじなというわけだ。
ということになると、制作者の意図は別にあったとしても、この番組は民主党を支持する時点で、NHKにとってはやっぱりプロパガンダということになる。
ふざけやがって。
プーチンの味方ここにありだ、視聴料返せ。

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