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2023年1月30日 (月)

デイリー新潮

デイリー新潮が森喜朗もと首相の発言に噛みついている。
この雑誌はわたしのブログにも何度か登場しているけど、右翼的傾向があって、ろくな記事ではないなと揶揄される存在。
それでもいちおうれっきとした“新潮社”の雑誌であるから、影響される人も多いんだろうなあと暗い気持ちになる。

記事のなかに読者の声として
「ロシアの侵略戦争は言い訳のできない残虐な戦争犯罪」
「ウクライナ民間人に思いを馳せたことがあるんだろうか」
というものが引用されていた。
これが日本の国民の大多数の心境だと思うけど、わたしがいいたいのはまさにその点だ。

ロシアは最初からこんな戦争を始めるつもりはなかった。
ウクライナにNATOの兵器が配備されるようになったら、ロシアにすれば大問題だから、しょっちゅう右につくか左につくかで割れているウクライナの民意を、ロシア側に引き寄せようとちょっかいを出したにすぎない。
それがアメリカの介入と、ゼレンスキーさんの徹底抗戦の構えで、どんどんエスカレートしていっただけじゃないか。
何度もいうけどロシアとウクライナの関係は、そのままではアメリカが、なんとかして仲違いさせたくなるほど親密なものだったんだよ。

そもそもウクライナをNATO寄りにしようというのも、自分が永遠にトップでいようというアメリカの遠大な謀略で、ちょっかいそのものに問題があったにしても、ロシアの大統領にはほかに取り得る方法があっただろうか。
国際情勢というのは、そのくらいまで読み取らけりゃ真実はわからないものだと思う。
にもかかわらずデイリー新潮は防衛大学名誉教授の佐瀬さんという人まで担ぎ出して、反露の意見を述べさせている。

この名誉教授サンの意見は、最初から単純な見方しかできない多くの日本人には気持ちイイもので
「森さんの『ウクライナは負けない』という発言は非現実的であり、多くの国民はどうしてそこまでプーチンに肩入れするのかと思っているでしょう」
「プーチン氏は元KGBで、諜報活動のプロであり、利用価値のある人を籠絡することなど朝飯前です」
このあとさらに、ドイツがNATOに協力的姿勢を見せたのに、日本だけが孤立したらどうなるかなどと御意見・御高説が続くけど、ドイツがアメリカに引っ張られただけで、あまり積極的でなかったことぐらい、心得てから発言してほしいものだ。

わたしにはこの名誉教授サンの意見のほうが、国際情勢を上っつらからしか見ていない代表的意見のように思えてしまう。
森喜朗もと首相の発言には、ロシアは核兵器を持っている(だから負けない)という意味もあるんだけど、それについて彼がぜんぜん触れないってのはどういうことなんだ。
ロシアを追いつめれば、ヘタをすると第三次世界大戦の口火になりかねない。
雑誌に担ぎ出されるほどの識者なら、もっともっと深く突っ込んだ、場合によっては国民の総意に反するようなことをいってほしかったねえ。

でも防衛大学といえば国防を担うプロの軍人を養成するところだ。
そういうところの名誉教授サンには、軍人が相手の立場でものを考え、仮想敵国の事情に理解を示すようになっては困るという事情もあるのだろう。
考えが単純でわかりやすいものになるのは当然だ。
本を読むにもこのくらい深く読み取らなくちゃいけませんですよと、これは一般読者の方々へ。

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