戦時体制下
太平洋戦争のことをおぼえているだろうか。
おぼえているわけがないよな。
だいたいそのころ生きていた人のほとんどがもう死んでしまっているし。
わたしだって戦後生まれだから、両親が戦後の混乱期に苦労していたことをかすかにおぼえているだけだ。
だからこそいっておきたいんだけどね。
いまの若い人たちに語り継いでおくことは、わたしみたいな年寄りの義務かも知れない。
太平洋戦争の終わりのころ、毎日B-29の爆撃にさらされ、防空壕への避難が日常だった日本人は、本音ではいったいなにを考えていただろう。
大本営発表だけはあいかわらず擊ちてし止まむなんて威勢はよかったけど、ほとんどの国民はいいかげんにしてくれよとうんざりしていたはずだ。
うっかりそんなことをいうと、まだ支配階級でいた軍部の怒りをかって、刑務所行きだから口にしなかっただけで。
戦時体制下では国民の声なんてなかなか反映されないのである。
ウクライナでも大半の国民は、もういいかげんにしてくれよと思ってるんじゃないか。
ゼレンスキーさんを始めとした指導者層は、自分たちの権益と命がかかっているからゼッタイに負けを認めたくないだろうけど、もっととことんまで頑張って戦争に勝利してほしいと考えている国民がどれだけいるか。
国際報道ではあいかわらずウクライナの優勢と、ロシアの戦死者ばかりが強調されるけど、ミサイルの空襲におびえ、冬空の下で停電と物資不足に困窮するウクライナ国民には、自国の悲惨な実情がよくわかっているに違いない。
戦争を引き延ばすアメリカと西側の罪は重い。
アメリカに協力して、ウクライナにまだ勝ち目がありそうなプロパガンダをふりまく日本の罪も重い。
おりしも昨夜のNHKでは、観光立国タイにロシア人観光客が押し寄せるなんてニュースをやっていた。
タイ観光に行くロシア人と、暖房もないままミサイルにおびえるウクライナ人、これはいったいなんなのか。
どうしてだれかがいってやらないのか。
こういう戦況になったらさっさと降伏してしまうのが、ウクライナ国民にとってもいちばんの幸せだということを。
太平洋戦争を体験した日本はそのことをようく知っているはずだ。
無責任で他人ごとという日本人は依然として多いけど、いまでもウクライナに反転の目があると考える人間がどれだけいるだろう。
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