権謀術策
いま司馬遷の「史記」を読んでいる。
おもしろくて目が離せないというほどじゃないけど、人名や出てくる国家の名前などひじょうにややこしくて、風呂のなかで時間つぶしに読むにはふさわしい本だ。
のぼせながらこの本を読んでいるうちに、ウクライナ戦争と共通する要素があるのに気がついた。
アメリカ、ロシア、中国に、日本、EUのような大国から、中堅国家、小国家が入り乱れて、同盟や裏切りが錯綜し、権謀術策のかぎりを尽くす。
こりゃ「史記」の世界だなと思っても不思議じゃない、と思うかどうかは、まあ、個人の勝手だけど。
ワグネルの指揮官が、弾薬をくれないのはケシカラン、これじゃあ戦場から離脱するゾとわめいている。
どうやら狡兎死して走狗煮らる、つまりすばしっこいウサギがいなくなったので、今度は猟犬が煮られる番になったんじゃないか。
これ以上ワグネルに活躍されて、ロシアが勝てたのはオレたちのおかげだなんて言い出されると、あとあとの彼らの処遇が面倒だ。
冷静に戦況をながめていたプーチンは、もはや戦争は正規軍だけで勝てると見きわめ、このへんで彼らの力をそぐ方向に舵を切ったのかも知れない。
血も涙もない冷酷な男だなというべきじゃない。
戦争が終わったあとまで、ロシアという国のなかに、正規軍と民間の軍事会社が並び立っているほうが不自然なのだ。
口には出さないものの、プーチンがそう考えてワグネルを冷遇しているとしたら、やはり彼はロシア国民のことを第一に考える愛国者ではないか。
これはわたしの空想にすぎないけど、そんなことはないといえる人がいるかね。
問題はメディアに出てくる識者という人のなかに、この程度のことでも想像する人がいないということなんだよ。
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