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2023年5月12日 (金)

昨日のNHK

またNHKが大喜びをしている。
何事かと思ったら、バフムートでロシア軍が2キロばかり撤退したのだそうだ。
まあ、2キロでも撤退は撤退だ。
でも冷静に考えると、武力や勢いでいまのロシアが負ける要因はないんだから、撤退にはほかの原因があるはずだと考えないんだろうか。
たとえばいま騒いでいるワグネルだ。

ワグネルの指揮官プリゴジンさんは、以前はもっとまともな指揮官かと思っていたけど、最新はよくテレビに顔を出すから、なんか狂犬みたいな人だとわかってきた。
テレビのまえで、あそこがケシカラン、ここが気にいらんと吠えまくる。
しかしあと一歩で落とせる戦勝のほまれを放棄するほどバカじゃあるまい。
弾をくれなきゃ戦線を離脱するとストライキをして、ついでに兵士の休息をして、首尾よく弾丸補給という目的を達したら、また前線に復帰して、ハッキョイ、残ッタ、残ッタの続きが始まるんじゃないか。

ワグネルが囚人を兵士として雇用しているのがケシカランという人もいる。
でも、のぼせながら風呂場で「史記」を読んでいたら、秦の始皇帝が死んだときも中国では囚人を活用していたという話が出てきた。
始皇帝が死んで項羽や劉邦が反乱を起こしたとき、秦は囚人たちを兵士として採用し、戦果を挙げれば罪を減ずるなんて約束をしたものだから、彼らはよく戦った。
戦争はまじめにやらなければいけないなんて寝ぼけたことをいってるのは日本ぐらいで、始皇帝の時代から数えれば、囚人活用には2000年以上の歴史があるんだよ。

とにかくNHKは些細なことでも、ウクライナ優勢という状況にこじつけるのに必死である。
ウクライナが優勢だと報道した翌日には、また元の木阿弥で、ロシア軍の猛攻が始まるという事例が過去に何度もありすぎた。
ゼレンスキーさんは、戦勝記念日までにバフムートを攻略するというロシアの野望を食い止めたと、まるで勝利したみたいなことをいってるけど、わたしが知っているかぎり、プーチンがこの日までに攻略すると約束をしたことはないね。
期待していた人たちには気のドクだけど、どうやら反転攻勢はないようだ。

AFPの記者が死んだというけど、戦争を止めていれば彼が死ぬことはなかった。
戦死した若いウクライナ兵士たちも同じだ。
NHKはウクライナが優勢と報じたあと、すぐにこうした悲劇を強調するけど、いくら強調したって、戦争をやめないかぎり同じ悲劇は繰り返される。
他国のことなのに、領土やメンツにこだわる日本は、戦争引き延ばしのお節介をしているようなものだ。

昨夜のニュースではNHKは、3日後のトルコの大統領選挙も気になるらしかった。
エルドアンさんはロシアの味方ばかりしているから、親が憎ければ子も憎いというやつで、政権交代が起こってほしいと考えているんだろうけど、しかし肝心なのは大統領が変わったとしても、新大統領が西側に加担するかどうかだ。
トルコ駐在のNHK特派員もエルドアン不利といいたいらしかったけど、大統領が変わったからといって、いきなりトルコがグローバルサウスから抜けられるわけではない。
さすがにそれは期待できないというのが特派員クンの見立てだそうだよ。

この戦争がロシアの勝利で終わったとしても、アメリカはウクライナ人のこころに、ロシアに対する永遠の憎しみを植えつけることには成功しただろう。
戦後のプーチンがいくら努力したって、もういちどロシアとウクライナが、かっての蜜月時代にもどるのは容易ではない。
アメリカの高笑いが聞こえるようだ。
しかし彼らもいつまで笑っちゃいられないぞ。

これはただ単にロシアとウクライナの未来にかかわることじゃない。
いまアメリカが抱えている債務の上限問題について、米財務長官が新潟でいってるけど、経済面、金融面で大惨事を招き、多くの人が職を失い、収入も減少し、世界的な景気後退を引き起こすだろうと。
この言葉はそっくり未来世界にあてはまる。
憎しみは過度の警戒感を生み、協調の姿勢がそがれれば、みんながいっしょに豊かになろうという世界経済の発展も阻害される。
阻害されないのは伸びしろが大きく、貧しい者同士でまとまろうというグローバルサウスの国々だけかも知れない。
申し訳ないけど、繁栄の最中に生まれ、繁栄の終わりと同時にいなくなるわたしの世代は、幸運を食い逃げするだけだったとしみじみ思う。

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